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マカオの所得補充税(二)

2024-05-31 | 税制

4.課税所得

 

所得補充税の対象となるのは、居住地若しくは会社登録場所と関係せず、個人又は企業の事業活動による所得となります。マカオでの家賃収入はこの限りではありません。課税所得とは総所得(事業所得、資本及び利子所得、キャピタルゲイン等、詳細は下記の内容をご参照ください)から経費、損失、非課税項目を差し引いた金額となります。

 

マカオの会社が資本資産(固定資産)の売買による所得又は損失は課税所得として計上されます。資本資産の処分による損失も税引き前に所得から控除されることができます。

 

マカオの会社の利息所得も課税所得として計上されます。

 

マカオで登記設立された会社であれば、配当金による所得補充税を納付完了した場合を除き、あらゆる源泉からの配当金は所得補充税の対象となります。利益所得から株主に配当金を支払う場合、利益所得による所得補充税が納付されていないと、当該配当金に対し補完所得税は課されることになります。

 

下記のいずれかに該当すると所得補充税の免除対象となります。

 

(1)    協同組合の自己資本の活用による収入

(2)    法定法人資格を有する宗教団体又は組織による収入。

(3)    特別制度に基づき納税を行う且つ契約/規定により所得補充税を免除される個人又は事業体。

(4)    純粋に雇用から得た個人収入。

(5)    居住地又は実質的な経営地がマカオ以外にある航空運送会社がマカオで航空機事業およびそのその他の補助的事業活動を行うことによって得た収入。ただし、その居住地または実質的な経営地を有する同種の会社に同等の免除が認められる且つそれが航空運輸協議に承認され又は行政長官が政府公式報道機関により認めたに限りです

 

5.  税務上の欠損金

 

A組 の納税者は、税務上の欠損金を 3 年間まで繰り越すことができ次の課税所得と相殺することもできます。一方、 B組 の納税者は欠損金を繰り越すことができないしグループ内での相殺も認められません。

 

6   申告と納付

 

A 組又はB組 のどちらに所属していても、財政局に前年度の経営状況を説明する納税申告書を提出する義務があります。納税申告書の提出期限は下記のようになります。

 

(1)     A組の納税者 – 毎年の4 月 1 日から 6 月 30 日まで

(2)    B組の納税者 - 毎年の2 月 1 日から 3 月 31 日まで

 

通常、納税義務者はマカオ財政局の指示通りに9月と11月の2回に分けて所得補充税の納付を行います。ただし、 納税金額がMOP$3,000 以下の場合、通常 9 月に 1 回限りで全額納付しなければなりません。

 

課税所得の申告に虚偽がある又は納税申告書の提出が遅れた若しくは期限内所得補充税を納めなかった場合、100~20,000MOP のペナルティーを罰せられる可能性があります。特に所得補充税の納付が遅れた場合に割合で延滞税がかかります。上記の罰金および延滞税は、補完所得税の控除項目ではありません。

 

7   特別税務上の優遇政策

 

2020年度のマカオ政府の財政予算案によると、2019年度の所得補充税に対し、課税所得を60万MOPに引き上げられた以外、最大30万の所得補充税の免除もできます。

更に、A組の納税者に対して、研究開発活動に費やした最初の300万MOPの3倍金額、又、同一目的の上記の金額を超えている部分の2倍金額を課税所得から控除できることになります。控除上限額が1,500 万MOPです

 

又、2020年度ではマカオで発行された国債、地方政府および中央国営企業債の利子、債券売却およびポルトガル語圏諸国からの収益は所得補充税の免除の対象ですが。ただし、関連収益に対する税金は収益源の現地で完納されなければなりません。

 

納税者がマカオ又は中国本土で公益社会団体や慈善団体を設立する場合及び行政区分県レベル以上の国家機関にコロナ救助に関する現金又は物品を寄付した場合、その支出は当該会計年度の経費又は損失と計上されます。

 

8.   二重課税条約

 

(1)    二重課税に関する条約及び取り決め

 

同一納税者による同一所得又は収益に対して二つ以上の地域政府が税務法規に基づき課税すると二重課税となります。 よって、二重課税を回避するために、ほとんどの国の間に関係税務条約が結ばれました。マカオも同じですが、その動きが相対的に遅れました。2020年6月30日の時点で、マカオ政府はベトナム、カーボベルデ、モザンビーク、ポルトガル、香港、中国本土などの国又は地域と二重課税回避条約を締結しています。

 

(2)    租税情報交換条約

 

租税情報交換条約の締結は租税情報の交換が有効に活用され、締結した国又は地域が現地税務法規に基づき税務管理を行うことに役立ち、更に、各国又は地域の脱税犯罪を撲滅することにもつながります。2020年6月30日の時点で、マカオはアイルランド、ガーンジー島、スウェーデン、日本等10以上の国や地域と租税情報交換条約を締結しています。

 

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