2019.5.19 21:00~
『草野マサムネのロック大陸漫遊記』
TOKYO FM
https://www.tfm.co.jp/manyuki/
いきなりの昔話。
デビュー当時、某音楽雑誌の編集長との会話の中で草野くんが当時好きだった日本のバンドの名前を出したら、その人が「彼らは音楽はすごくいいんだけど、売れないと思うな」と。
そして、「ポスターを部屋に貼りたくなるようなバンドが売れるバンドなんだよ」と。
だけど当時の草野青年は、「じゃ、スピッツは?」とは怖くて尋ねることができず、いまだにポスター制作のときにその話を思い出す・・・と(笑)。
そして今日は、月に一度のワンアーティスト特集で、「ミック・ロンソンで漫遊記」。
草野「まさに、ポスターを部屋に貼りたくなるギタリストの筆頭!」
Mick Ronson …。
デヴィッド・ボウイの成功を陰で支えたギタリストとして、その功績が近年、再評価されている人物。
映画『ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡』予告編
2017年制作の「ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡」が今春日本でも公開になり、これを見て、改めて「すごいギタリストだな」と感じて、そして特集が組まれたという経緯。
オンエア曲
01 たまご(スピッツ)
02 Hang On to Yourself(David Bowie)
03 Moonage Daydream(David Bowie)
04 Life On Mars?(David Bowie)
05 Star(David Bowie)
06 Growing Up & I’m Fine(Mick Ronson)
07 Hangin’ Round(Lou Reed)
08 We Hate It When Our Friends Become Successful(Morrissey)
09 涙 風にたくして(つじあやの)
漫遊前の一曲は、スピッツで「たまご」(1994年、5thアルバム『空の飛び方』)。
オンエア曲を見て、どんな理由でこの曲?と思ったのですが、ミック・ロンソンとは全く関係なく、最近ゆで卵をよく食べているな・・・というところからの選曲だとか。
私にとっては、最近のライブでも聴くことのできる、古いけど妙に気分があがる楽曲。
当時プロデューサーだった笹路氏からの「好きなコード進行やメロディラインにとらわれすぎるな」というアドバイスに、苦心して作った、という思い出があるそうだ。
一曲目は、「ボウイ初期の曲から」、David Bowieで「Hang On to Yourself」(1972年、5thアルバム『Ziggy Stardust』)。
このアルバムは、「宇宙から来たバイセクシャルのロックスターの成功から没落を描いていて彼の代表作とも言われる」。
草野氏も大好きなアルバムと言い、「ギターはアンドロジナス」などの歌詞の「ネタ元にもなっている」と。
草野「ミック・ロンソンさんのギターって、独特の音で気持ちよくないですか? レスポールカスタムの音です」
ミック・ロンソンの簡単なご紹介。
1946年、イングランドの東海岸ハルで誕生。
1966年に、ザ・ラッツのギタリストとして人気者になるが、このバンドは1969年に解散。
庭師として働いていたところ(へ~)、デヴィッド・ボウイからお呼びがかかり、ロックスター、デヴィッド・ボウイを成功へと導く重要なギタリストとなった。
次の曲も、アルバム『Ziggy Stardust』から、「Moonage Daydream」。
草野「(彼のギターは)バッキングもレスポールのざっくりした音が気持ちいいんだけれど、ソロもメロディアスでいいんですよね。すごいテクニックをもちながら、それに頼らずに独自の世界をもっている。ブライアン・メイさんに通じるところもあるかな」
シロウトですけど、この曲のソロパートを聴いていると、「テクニックに頼りすぎずに独自に世界」という部分はわかる気になってくる。
曲終わりで、「好きなギターソロ3つ」の中に入るのが、この曲のミック・ロンソンのソロ、と言ったあとで、「ほかは・・・、スコーピオンズ時代のウルリッヒ・オロビエクの『Top Of The Bill』のソロと、マイケル・シェンカーの・・・、何にしようかな。ソロのなにかしら」と選ぶときのうれしそうな口調(笑)。完全にギター小僧に戻ってる?
Scorpions-Top Of The Bill
スコーピオンズ時代のウルリッヒ・オロビエクの『Top Of The Bill』、ライブ映像じゃなく音源だけです。草野マサムネのルーツが伝わるような・・・。ここからスピッツ、というのがうれしいほどのギャップで楽しくなる。
次は、David Bowieの「Life On Mars?」(1971年、4thアルバム『Hunky Dory』)。
このアルバムは、『Ziggy Stardust』の半年前にリリースされ、「双子みたいな存在」と言われているそうだ。
草野氏はこれまで、デヴィッド・ボウイの作品は、彼自身とトニー・ヴィスコンティらのプロデューサーで作り上げてきたものだと思っていたが、「あの映画を見て、ミック・ロンソンさんもかなりのアレンジの部分で関わっていたんだな」と。
この楽曲の「劇的なコード進行」はミック・ロンソンのアイディアだったと、当時のピアニストは語っていたそうで、「マジ、すごいミュージシャンなんじゃん!」と。
草野「ストリングスやホーンのアレンジもできる方だったようで、そのあたりがよくわかる曲」
気持ちが広がっていくような楽曲で、私はいつも、鼓動が穏やかになる・・・と勝手に思っています。
次も、『Ziggy Stardust』から(「大好きなアルバムなんで」)、「短めでノリノリな曲」、「Star」。
この曲のファンキーなコーラスが「いかにもグラムロック」という感じで好きなのだそうです(コーラス、ちょっとやってくれたね)。
スピッツで言えば、「さわって・かわって」の、「さわって~ ベイベー♪」あたりは、これを意識したそうだ(こういうエピソードは興味深くてうれしい)。
そして、メッセージコーナー。
レコード屋さんでアーティスト名を聴き間違えられたリスナーから。
マイケル・シェンカーのアルバムを予約したらマイケル・ジャクソンのがきちゃった、というエピソードは以前にも話していましたね。
漫画『ダメおやじ』では、「さだまさし」→「皿回し」、「ドナサマー」→「殿さま」というネタがあったそうだ。
スピッツは雑誌のライブ情報などで、「スパッツ」と書かれることがあった、と。インディーズやブレイク前のことですね。
「ビサイド・ボウイ ミック・ロンソンの軌跡」は6月から公開予定の映画館があるそうです(しずこさん、チャンスかも、です)。
デヴィッド・ボウイの元妻、アンジーさんの「パワフルで圧の強いトークも見もの」(笑)と。
ここからは、デヴィッド・ボウイを少し離れて・・・。
まずは、「Growing Up & I’m Fine」(1974年、ソロデビューアルバム『SLAUGHTER ON 10TH AVENUE』)。
『Ziggy Stardust』のあと、ルー・リードのアルバム『Transformer』をデヴィッド・ボウイと共同プロデュース。その後、ボウイのもとを離れる。
この曲は、初ソロアルバムに収録されており、デヴィッド・ボウイが彼のために作ったものだそうだ。
草野「だから、曲調としては、『Ziggy Stardust』や『Aladdin Sane』に入っていてもおかしくない」
歌にメロディーに寄り添うようなギターの音色が心地よい。
このアルバム、「力作なんだけれど、大成功をおさめるまでにはいかなかった」そうだ。「時代の流れとかもあったのかもしれない」と。
次は、Lou Reedの「Hangin’ Round」(1972年、2ndアルバム『Transformer』)。
彼がプロデュースしたアルバム。この中では「Walk on the Wild Side(ワイルド・サイドを歩け)」が有名だが、「よりミック・ロンソンカラーがあらわれた曲を」と。
クライベイビーというエフェクターを使ったのではないか、と思わせる、中高域のエッジのきいた独特のギターサウンドに注目、と。ズンズンと体に響いて気持ちいいですね~。
草野くんは以前に、中野サンプラザでのルー・リードのライブに行ったことがあるそうで、「緩くて気持ちのいいライブだった」という記憶があるそうだが、セットリストにこの曲があったかどうかは忘れちゃった、と。
私は、亡くなったと知ったとき、YouTubeでこの曲のライブ映像を見たなあと思い出す。
Lou Reed - Sweet Jane (Best live version)
最後の曲は、Morrisseyの「We Hate It When Our Friends Become Successful」(1992年、3rdアルバム『Your Arsenal』)。
ミック・ロンソンは、1974年に、イアン・ハンターのいたMott the Hoopleに加入。二人で脱退したあともも活動をともにしていた。1975年には、その関係でボブ・ディランのツアーにも参加。
1991年には肝臓がんの宣告を受けるも、音楽活動をやめることはなかった。
そんななかでプロデュースしたのが、モリッシーのアルバム『Your Arsenal』。
草野「繊細なモリッシーの世界にミック・ロンソンのロックテイストが加わって、独特なロックミュージックになっていると思います」
モリッシーの中では、「最もハードなアルバム」と言われているそうだ。
この曲の歌詞を見るたびに、ザ・スミスのボーカリストとしてもソロミュージシャンとしても、詩人だなあ、メッセンジャーだなあと思うワタシです。
深く、軽く、どこか重い(こういう形容しかできないシロウトで)ミック・ロンソンのギターがかっこいいなあ。
これが彼にとっての晩年の仕事で、1992年のフレディ・マーキュリーの追悼ライブにデヴィッド・ボウイと共演したあと、1993年4月に、46歳という若さで亡くなる。
Queen David Bowie, Ian Hunter, Mick Ronson - Heroes (Freddie Mercury Tribute Concert)
追悼ライブのボウイもミック・ロンソンもまだ若く美しいけれど、二人とも今はもういないのだと思うと複雑だ。
イアン・ハンターのベースの音もかっこよく、バックにはブライアン・メイの姿も。
草野「ミック・ロンソンは、偉大なギタリストとして、今なお色褪せることのない輝きを保っていると思います」
最後に、
草野「画像検索してもらいとわかるんですけど、ミック・ロンソン、見た目もカッコいい。レスポールがメチャメチャ似合う! ロック界でいちばん似合う人なんじゃないか。やっぱエレキギターはレスポールだよなあ、とミック・ロンソンさんの画像を見るたびに思うんですけど、レスポール、重いからね(笑)、ついついストラトとかSGにしちゃいます」
再びメッセージコーナー。
「草野さんは一日に何時間くらい音楽を聴いているの?」
聴くときは結構(長時間)聴くけれど、まったく聴かないときもあるとか。
今のようなレコーディング期間は、「職業的な性なのか、人の演奏の細かいところが妙に気になってしまうので、そういうときは打ち込みのインストとか聴いていることが多い」んだそうだ。
草野「常々言っているけれど、ミュージシャンとかバンドマンという以前に、一リスナー、一音楽ファンという自分が基本なので、あくまで楽しみとして聴いているから、何時間聴いた?とか意識することすらない」
これからも彼が「ただの音楽ファン」でいてくれる限り、私たちファンは安心して待っていられるんだろうな。
最後はやっぱり「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
今回は、つじあやのさんで、「涙 風にたくして」。
彼女自身は決して埋もれてなんかないけれど、シングルじゃない曲としてとりあげたそうだ。
スピッツ主催のイベントでの参加も多く、「ミック・ロンソンさん同様、独自の世界をもっている」。
草野「実際に会うとイメージどおりのほんわかした方なんだけれど、ステージ度胸がすごい!」
そういう意味でも「肝がすわっているなあ」とリスペクトしているシンガーだそうだ。
(私は個人的に、スピッツ20周年記念イベントでスピッツのカバーをしたときの初々しさが忘れられない。ココです)
ラジオで流れると窓を開けて風を感じたくなる・・・と。わかるなあ。
さてさて、来週は、「sus4イントロで漫遊記」。
sus4の詳しい説明は次回に期待しましょう。
スピッツにも、sus4イントロの曲、結構あるんだそうです。楽しみです。
今後の企画として、「ご当地ロックで漫遊記 国内編」を考えているそうです。
例えば、ウルフルズの「大阪ストラット」とか。ああ、これはまさしく、ロックのご当地ソングだな、こてこてでたまりません。
ただし、東京以外、ということで、「あるかな・・・。集まり次第、放送します!」ということでした。
これも楽しみだ。考えてみよう・・・。
追記
そうだ! 今日から「優しいあの子」、ラジオで解禁でした!
忘れていたわけではないけれど、さっきまで追われて仕事していたので、ラジオ聴けなかった・・・。
ま、焦るまい。