2021.11.07
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
「オレもそうだけど、このコロナ渦で、しばらく実家帰りできていない人も多いのでは?」
ここで「実家」という言葉について。
若いころに「正月に実家に帰ろうかと思っている」と言ったら、年配の人に「実家? 使い方、間違ってるんじゃない?」と笑われたとか。
草野くんが調べたところ、「実家」という言葉の意味がここ数十年で変化しているらしい・・・。
本来、「実家」とは、結婚後名字が変わった人にとって両親の住むかつての家のこと。
だから、結婚していない若い学生が「実家に帰る」と言うのは、「そのときのご年配の人にとって、すごく違和感があったのだろう」と。
今では普通に、昔親と住んでいた家を「実家」という。
そこで草野くんは、「それじゃ、未婚の人間が親の住む家に帰るとき、なんて言えばいいんだ?」と考えたわけで。
「お里に帰る?」「生家に帰る?」「親の家に帰る?」
草野「どれもしっくりこない。ということは、もう『実家』に代えのきく言葉が見当たらないのでは・・・と思いました」
(なるほど。たしかにそうかも。私の場合は、人には『ご実家に帰るの?』とか使ったりするけど、自分ではあんまり「実家」って言わなかったな。地名で「○○に帰る」とか)
今回は、【ティンパニーが入ったナンバーで漫遊記】。
今までの楽器しばり、フルートやオルガンに続け!ってことです。
草野「『ドコド~ン ドコドコドコドコ』ってやつですね」
(いやいや、かわいい言い方)
ティンパニーが効果的に使われているロックナンバーって意外に多いそうです。
オンエア曲
01 大好物(スピッツ)
02 愛のしるし(PUFFY)
03 In My Room(Amor)(The Walker Brothers)
04 Every Little Thing(The Beatles)
05 White Room(Cream)
06 Angel from Hamburger Heaven(Alvin Stardust)
07 Jerusalem(Emerson, Lake & Palmer)
08 Viva La Vida(Coldplay)
09 銀色クリアデイズ(NEW MIX)-White Silver Clear Days-(堂島孝平)
漫遊前の一曲は、スピッツの「大好物」(2021年、45thシングル/11.03 配信開始)。
今回のテーマに「ティンパニー」を取り上げたのは、この曲の配信があったから!
草野「サビに入る前に、ティンパニーが入っています!」
映画『きのう何食べた?』の主題歌のオファーがあり書き下ろした新曲。
草野「原作のマンガもドラマもすごくおもしろいし、西島秀俊さん、内野聖陽さんの演技がすばらしいので、ぜひ見てください」
最初の曲は、「ご存知の方も多いと思いますが、ワタクシが提供した曲です」、PUFFYの「愛のしるし」(1998年、6thシングル)。
当時、MTRに曲を入れて渡したそうだけど、「イントロにティンパニーは入れていなかったと思う。だから民生さんのアイディアなんじゃないかな。メチャメチャ印象の残る、効果的なティンパニーだと思います」。
(本当に。イントロだけで、あ、PUFFY!と思う私です)
スピッツも1999年、アルバム『花鳥風月』でセルフカバーしていて、このMVは高い人気を誇っている?
スピッツ / 愛のしるし
さて、ティンパニーとは?
もともとはアラビアの軍楽隊で使われていた楽器。
バックにエヴァンゲリオンの曲を流しながら、「こういう荘厳な曲に使われることが多いですね」。
また「大好物」のようにサビの頭に鳴らすことで、「より力強さや大げさ感がプラスされる」。
「愛のしるし」のように、「あえて大げさに使うことで滑稽さを表現する手法もあるのかな」。
「ヘイヘイホ~、『カー』!」のようなビブラスラップみたいな効果もあるのかもしれない、と。
次は、The Walker Brothersで「In My Room(Amor)」(1966年、2ndアルバム『Portrait』)。
ココでも取り上げています。
この曲では、「愛のしるし」に負けないくらいティンパニーの存在感がすごい!そうです。
草野「時代的にも、このオープニングは『あしたのジョー』のあの曲に影響を与えているかも」
超低音のだみ声で「サンドバッグの~♪」と唸ってくれました。
(「In My Room」、ああ、涙が出るほど懐かしい(笑)。いろんな友人たちの顔が浮かんで消えていきます)
邦題は「孤独の太陽」、日本でだけでシングルカットされたそうで、大ヒット!
ほかの太鼓系の打楽器と明確に異なるのは、「ティンパニーはちゃんとわかりやすい音程がある」ということ。
ドラム、木魚など・・・音程はあるけれど、「それだけでメロディーを演奏するのは難しい」。
そういう意味では、「ティンパニーはなかなかおもしろい楽器」。
クラシックでティンパニーが使われる曲として草野くんがすぐに思い浮かべるのは、ショスタコーヴィチの『交響曲第5番 革命』
ショスタコーヴィチ 交響曲第5番ニ短調作品47《革命》 第4楽章 ショルティ
草野くんの「チャチャチャ ラ~♪」の軽さには笑ってしまう。
次は、The Beatlesの「Every Little Thing」(1964年、4thアルバム『For Sale』)。
(なんてかわいいチャーミングな・・・。彼らの初期の曲には、短くてかわいい曲がたくさんあるなあ)
スピッツの「大好物」と同じようにサビでティンパニーが入り、「いいアクセントになっている」。
もちろんリンゴ・スターが叩いているそうです。
メッセージコーナー。
スピッツ好きのお母さんの遺伝子を引き継いでいる息子さんから。
何年もたってから、「あのフレーズは・・・」と変えてしまいたいとか思うこと、あるんですか?
「あの歌詞・・・、こうしたほうがよかったなあ」という後悔、メチャメチャあるけれど、「聴いてくれている人たちのために変えないようにしている」そうだ。
アマチュアのころは、音源もないし、お客さんに歌詞カードを渡しているわけではないので、「(ライブのたびに)毎回変えていましたね」。
今はみんな知っているし、変えたりしたら、「あ、なんかあったのかな」「間違えたのかな」とか思われるのもヤだから変えていない。
草野「でも最近ね、ちょっと変えてみようかな、と思ったりしている。それはそれでおもしろいかもしれないし、聴いてくれてる人もおもしろがってくれるんじゃないかなという気もしている」
でも「空も飛べるはず」→「冬の海も泳げちゃうはず」とか、あからさまなのはないらしいけど(笑)。
草野「語尾を変えるのはありかな。こんなに長くやっているんでね」
(ライブ・・・、おもしろそう。でも、ワタシ、気づかなかったりして)
次は、Creamの代表曲、「White Room」(2068年、3rdアルバム『Wheels of Fire クリームの素晴らしき世界』)。
「Cream・・・この番組でかけたかな? かけてないかな? 好きなバンドなのにかけた記憶がないんですけど」と。
(ハイ、かけてません! 私も好きなバンドなんですけど。ようやく・・・だな)
ジャック・ブルース、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーという「すごいミュージシャンが集まって結成された60年代の、いわゆるスーパーバンド」。
イントロのティンパニー。「荘厳な感じを出すためのティンパニーかな」。
(エリック・クラプトン来日の武道館でこれが演奏されたときは、胸がいっぱいになって感動しちゃったなあ)
ライブの動画が見つからない。下は「I Feel Free」のMV。
Cream - I Feel Free (Original Music Video, 1966)
次の曲は、「70年代イギリスのグラムロックのボーカリスト」、Alvin Stardustの「Angel from Hamburger Heaven」(1975年、3rdアルバム『Rock with Alvin』)。
かなりポップで「アイドル的な人気だったのかな?」。イギリスでの人気からしたら、日本での知名度は低めだった。
「日本で言えば、70年代のにしきのあきらさん、西城秀樹さん的なポジションかな? 音楽的にはそこにラッツ&スターのfifties的な要素が加わっている感じかな」と。
(うーん、なかなか具体的)
草野くんの「趣味」の古い音楽雑誌に名前が載っているので興味をもって聴いてみたら、「いい曲が多いんですよ。歌声も軽やかでステキだし」。
でもネット上では情報がないから、「忘れ去られつつある人なのかも」。
歌詞の情報もないので、草野くんがタイトルから想像するには、「ハンバーガーショップで働く女の子に恋をして・・・という歌かな」と。
(さわやか~。そういうかわいい光景が浮かんでくるなあ。ドコド~ンもたしかにきいている)
Alvin Stardust - My Coo Ca Choo (Official Music Video)
(MVを見る限りは、ちょっとイメージ違ったかな??)
次は、Emerson, Lake & Palmerの「Jerusalem」(1973年、4thアルバム『Brain Salad Surgery 恐怖の頭脳改革』)。
草野「ELPの最高傑作と言われているアルバムの1曲目を飾る曲」。
「(ティンパニーは)ファンファーレ的な感じかな」と。
曲自体は20世紀初頭の声楽曲のカバー。「資料によると、権威に屈することのない自由を歌っていて、女性の参政権獲得の運動にも重要な曲だった」と。
草野「そういうことを知らずに聴いても、荘厳で美しい曲。クラシカルなティンパニーがデュコデュコデュコ・・・と始まって」
で、53秒くらいのところで銅鑼の音と一緒になって効果的、なんだそうです。
(友人の兄貴がはまっていて、「ピンク・フロイド、何するものぞ!」と言っていたのを懐かしく思い出す)
これは、このアルバムのジャケット。
最後は、Coldplayの「Viva La Vida」(2008年、4thアルバム『Viva la Vida or Death and All His Friends 美しき生命』)。
「大好物」と同じようにサビの頭でティンパニーが入ったあと、4小節ごとに「ドコド~ンがはいっていますね」。
鐘の「カ~ン カ~ン」という音とセットになって「厳かな雰囲気になっている」。
落ちぶれた王さまがかつての栄光の過去を振り返る内容。「なので、鐘とティンパニーの(荘厳な感じで)、落ちぶれてもプライドを保っていることを表しているのかな??」と。
特集の最後に。
ロックナンバーやポップスでは、ティンパニーはアクセントとして入っているのが大半で、「あまり意識して聴くことはなかったと思うけれど、これを機会にちょっと意識して聴いてみてください」と。
(今回は曲があまりマニアックではなく知っている曲ばかりだったので、その中の「ティンパニーの音」ということに注目するのがとても興味深かったですね)
その点、クラシックではティンパニーの楽器としての役割が大きい場面も多く、「交響楽団のティンパニー奏者の緊張感はハンパないのでは?」と。
(シンバル奏者の緊張感? 失敗?を描いた映画は見たことがあるなあ。あれは何の映画だった? ヒッチコックの『知りすぎていた男』ではシンバルの音が重要な役割をしていたっけ)
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナー。
曲は、堂島孝平の「銀色クリアデイズ(NEW MIX)-White Silver Clear Days-)(2003年、19thシングル/2004年、8thアルバム『FIRST BEGINNING』)。
草野「堂島くんとはお互い若いころに1回挨拶したことがあるんだけど、彼は覚えているかな。それともオレの記憶違いかな」
「彼はキャッチーで軽やかで、とても気持ちのいい曲を作る方」と。
この曲では、ティンパニーがあからさまに入っていて、これを聴いたら「大好物」のティンパニーが地味に聴こえてきて、「もっとドド~ンと派手に入れておけばよかったかな」と思ったとか。
そして、「この曲は、紅葉を見ながらのドライブに合いそう」と。
(ああ、サウンド的には新緑のドライブにも合いそう! でも歌詞からはちらちらと明るい秋が伝わってくるような)
そして来週は、【ダムドで漫遊記】。
セックス・ピストルズ、クラッシュと並んで、UKパンクの3大バンドの一つ。
草野「ピストルズ、クラッシュと違うのは、コンスタントに作品をリリースしつつ、今もなおバリバリ現役で活動中だということ」
ダムドのとっかかりとなるナンバーを中心にセレクトしてくれるそうです。
そして、「草野さん、夜中の空腹、どうやったら抑えられますかね」
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