kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ゴモラ

2012年02月16日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:2月13日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版700円。

「ゴモラ」と言っても、配給会社でさえ断っているようにウルトラ怪獣のゴモラではなく、ソドムとゴモラに由来した悪徳の都の意。ナポリの犯罪組織「カモッラ」の実態を描いた社会派映画。

ストーリーは5つの話が同時進行する。カモッラの下働きをする少年トト、不正に産業廃棄物を処理するフランコ、組織構成員に給料を配る係のドン・チーロ、高級オートクチュールブランド服の仕立て職人パスクワーレ、武器を片手にいきがるチンピラ マルコとチーロ、それぞれに人生の運命が待ち受ける。(原作を呼んでいないと設定にわかりづらいところもあり。)

カモッラを軸に5つの話がどこかで接点があるのかと思いきや、案外、それぞれの話にほとんどつながりはない。そういった点だけでなく、全体に映画的な作りがない。

イタリアンでマカロニ的なカッコよさも、作劇上の仕掛けも、ドキュメンタリー映画のような整理されたストーリーもない。
画面は小汚く、登場人物はみんな、見た目冴えない。顔がイタリア人でなければ、どこの国の物語かよく分からない。
お待ちかねのバイオレンスシーンもほとんどなく、描写もおとなしい。
1シーン1シーンのカットは長めで、取材映像のような緊張感が漂う。

つまり、映画的なケレン味は徹底して排除され、再現された事実を淡々と積み上げて1本の映画にしている。そこが良いかどうか、面白いかどうかは好き嫌いの分かれるところだろう。

映画を象徴するビジュアルが、川べりでパンイチでカラシニコフをぶっ放つマルコの姿だけでしかないというあたりが、この映画の性格を端的に示しているような気がする。(しかも、ストーリー展開上、あまりパンイチの必然性がない。)

ワタシがイタリア語を勉強しているのに、全然聞き取れないのは、きっと強烈なナポリ方言のせいだろう。(と実力の無さを言い訳する。)

ところで、映画のラスト、些末な事件を片づけたボスが、部下から「なんでこんなに手間をかけるんです。」と質問される。「ここまでやってこそ、一件落着」ってガッツポーズをとるボスがおかしくもあり、怖くもあり。






題名:ゴモラ
原題:GOMORRA
監督:ロベルト・サヴィアーノ
出演:トニ・セルヴィッロ、ジャン・フェリーチェインパラート、マルコ・マコル

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宇宙人ポール

2012年01月09日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:1月6日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4横版700円。

今年の映画見初めはこの作品。初夢にはタイムマシンが登場したし、今年は春から「未知との遭遇」?

さて、アメリカのコミコン(オタクの集まり)に来たイギリス人2人組はその足でUFO関連の聖地巡りを計画する。ところが途中、人間味あふれる(地球人味?)宇宙人ポールを拾ってしまったことで、ポールの地球脱出計画に巻き込まれるというコメディ映画。

主演二人のコンビ作「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ」に引き続く、ジャンル映画に対する愛と友情に満ちた楽しい映画なのだが・・・ワタシにとってはきれいすぎる。

ワタシはオタクではない(つもり)だが、オタクっぽいことは好きだ。
(以下、実話)
コミコンやコミケには行ったことがないが、マカロニウエスタン好きのオフ会、「マカロニ大会」には毎回参加しているし、ロケ地を見るためだけにスペインまで足を運び、砂漠でレンタカーを流した(ぶっ飛ばしてはいけない。大事な光景を見落とす可能性があるから。)身としては、オープニングのくだりなんて、とても嬉しくなってしまう。

行きつけのバーで常連さんと「長寿と繁栄を」のバルカンサインをやったり、やはり他の行きつけのバーでいつも流れている「ダーティー・ハリー2」のビデオを見て、マスターと「何で空母からバイクで落ちただけで死ぬのかね。」とぼやいたり、マカロニ大会のパーティーで数あるマカロニウエスタンの粗を突っ込んだりするのって大好きだ。

でも、その時って「自分ってバカだよなあ。」という自覚(というか満足感?)があるし、普段からジャンル映画が好きでもツッコミ精神満載の皮肉な視線で見ている。とは言え、ウチの奥さんのようにそれを面と向かって指摘されると腹がたつ。(笑)
まあ、そういう矛盾した感情を絶えず持っているわけだ。

で、この映画のように堂々と真っ正面からジャンル映画、ここではSF映画に対する愛情を高らかに唱われてしまうと、居心地が悪いというか、なじめない。

個々のネタは面白いんだが、製作者側がジャンル映画が好きな故か、笑いが素朴。オタクと南部人と一般人、宗教と科学、アメリカ人とイギリス人など様々な対立軸があるのだから、もっと毒が効いてシニカルで、意地悪な笑いだった方が良かった。ワタシが「スターウォーズ」や「スタートレック」、スピルバーグの映画がもっと好きなら、楽しめたんだろうが・・・。

最初のノリが、中盤以降普通のロードムービーと化してしまうあたりもちょっと残念。そこがいいところでもあるんだろうけどね。

ところでこの映画、プロモーションイベントとして、ポールのステッカーを携帯電話などと貼って提示すると割引を受けられるというサービスがあった。ワタシが買ったチケットは割引済みなので、さらに追加などないのだが、それでもちゃんとステッカーを携帯電話に貼って提示したところ、窓口で・・・

「ちゃんと貼ってくれている人初めてです!」

「そんなバカな人初めてです!」って聞こえるかも知れないけど、イベントにちゃんと乗っかるのも大事です。(笑)






題名:宇宙人ポール
原題:Paul
監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペグ、ニック・フロスト

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ミケランジェロの暗号

2011年10月26日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:10月25日
映画館:シネツイン新天地
パンフレット:B5版600円

第二次大戦前夜のオーストリア、ウィーン。ユダヤ人の画商ビクトルは父のコレクションの中にミケランジェロの素描があることを知る。しかし、ナチに入党した友人スメケルに裏切られ、強制収容所送りとなってしまう。ビクトルは一計を案じ、ミケランジェロの素描をダシにナチから家族と我が身を守ろうとする・・・

ポスターアートから重い映画を予想しそうだが、意外と軽めのミステリー映画。

ある事故を契機に、ビクトルとスメケルのユダヤ人とナチの立場が逆転してしまうのだが、この騙しのテクニックがコンゲームものを思わせる。

真面目にみればツッコミどころもない訳ではなく、3年間強制収容所に入れられていた主人公があんな血色がいいとは思えないし、SSは顔写真入りの身分証明書を持っていたはずだ。何といってもスターリングラードの戦いにイタリア軍が加勢しても屁のつっぱりにもならない。(笑)

本題に入るまでに前半1時間を費やすのはちと長いが、その後は矛盾などを気にさせないペースで、物語はスリリングに展開する。さらに次々、起きる運命の皮肉にビクトルは翻弄される。

ただ、映画好きなら伏線とオチはすんなり分かりそうなものだ。また、ミケランジェロの素描も重要な小道具ではあるが、それ自体が物語を語ることはない。(この邦題は少しやりすぎ。原題は「私の最高の敵」)前半の時間の一部をストーリー上の仕掛けとか小細工に費やせば、もっと面白い映画になりそうだっただけに残念。

ところで、この映画、ドイツ軍の連絡機シュトルヒ(実物)が登場する。噂どおり、わずかな滑走距離でふんわり離陸する様はちょっと感激。






題名:ミケランジェロの暗号
原題:Mein bester Feind
監督:ウォルフガング・ムルンベルガー
出演:モーリッツ・ブライフトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウルスラ・シュトラウス


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カウボーイ&エイリアン

2011年10月23日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:10月22日
映画館:バルト11
パンフレット:A4変形700円。

先日も書いたが、ウチの奥さん曰く
「「カウボーイ&エイリアン」って、何なん?意味分からんわ!」

「意味分からんわ!」と言われても、このタイトルでストーリーの8割の説明が済んでいると思うのだが・・・

「マリリンとアインシュタイン」みたいなアート系の「思わせぶり」タイトルもありかも知れないが、これは予告編のとおり、西部劇の人たちとエイリアンが戦う映画。8割どころか9割5分どおりの中身だ。(「じゃあ、「忍者&エイリアン」でもアリなわけ?」とはウチの奥さんの弁だが、きっとそれもアリだろう。)

ところが、タイトルだけで9割5分、説明できてしまうという点が実は問題で、あまりにもストレートすぎて、ヒネリがない。

監督のジョン・ファブローは「ザスーラ」「アイアンマン」とこの手の映画は手慣れたもので、映画として普通に楽しめる。だが、逆にそつが無さすぎて、ケレン味に欠けてしまう。(←「アイアンマン2」時の書き込みを読み返したら、全く同じことを書いていたよ!(笑))

このケレン味の無さはプロダクションデザインにも出ていて、ファッションから銃器、セットまでリアルさ重視の生真面目路線。映画の中身が分かっているのだから、もっと遊びがあっても良かったと思う。(ガトリング銃とかガトリング銃とかガトリング銃)

さらに、TVゲームみたいな、どんどん味方を増やして、敵に立ち向かうストーリー展開が平板。

町の人々を襲うエイリアンもとても星間航行を果たす知的生命体に見えないし、人間側もそれに立ち向かうにはやはり拳銃とライフルではパワー不足の感は免れない。

その一方で、西部劇のお決まりごととして、必然性があろうとなかろうと決闘シーンは欲しかったよな。(ダニエル・クレイグは絶対、誰かと決闘するものばかりだと思っていた。)この辺、製作側が分かっているのか、分かっていないのか判断しがたいところ。

異種ジャンルの組み合わせは大好きだが、この作品は正面からぶつかりすぎて、味気なくなってしまった。「西部劇テイストのSF]とか「SF仕込みの西部劇」なら、もう少し違う楽しみもあったんだろうが。(その分、ワタシの査定は厳しくなる。)

主演のダニエル・クレイグはまあ、見れる(ほんと、こういうワル顔がピッタリ。とてもボンドとは思えない。)が、ハリソン・フォードは別に彼でなくても良い役。他に
ジョン・ファブローの映画に欠かせない顔サム・ロックウェルやアダム・ビーチ、ポール・ダノ、クランシー・ブラウン、キース・キャラダインと顔ぶれは妙に豪華。最後のふたりはさすがに年を食って、ジジイになったが・・・。

ところで、パンフレットによるとダニエル・クレイグって、レオーネが好きなんだそうだ。1968年生まれなので、ワタシと1つ違い。レオーネが好きで、007にも詳しい。同級生だったら、絶対、友達になっていたね。(無理無理(笑))






題名:カウボーイ&エイリアン
原題:Cowboys & Aliens
監督:ジョン・ファブロー
出演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド

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キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー

2011年10月18日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:10月16日
映画館:バルト11

先日の「ほら男爵の冒険」は第二次世界大戦中に撮影された戦意高揚でない娯楽映画。で、この「キャプテン・アメリカ」は現代に撮られた戦時下の戦意高揚を描いた映画。近いような近くないような。

【以下、いきなりネタバレ】

オープニング、氷原にむき出しになった飛行機の翼。これが「遊星からの物体X」みたいと思っていたら、ライトアップされたシルエットがホルテン!まさか巨大ホルテン!?

さて、時は第二次世界大戦中に移り、ナチスドイツの過激な一派は古代からの遺物「コズミック・キューブ」を利用し、世界征服を企もうするのに対して、アメリカ軍は特殊実験(というか露骨な人体実験)でスーパーソルジャーを生みだし対抗する。この兵士が「キャプテン・アメリカ」となる。

のだが、途中、「総統は砂漠で遺跡探しだ。」っセリフに笑わされるように、実はこの映画「レイダース 失われたアーク」がモチーフになっている。(製作も同じパラマウント。)しかも、冒険活劇の部分ではなく、もっと毒々しい部分。(笑)

「レイダース」で離陸できなかった全翼機は巨大ホルテンとして復活。小型戦闘機を抱えた空中空母として、大西洋上を飛行するシーンは文句なしにカッコいい。

他にもトリープフリューゲル(レッドスカルが脱出に使用したあの冗談みたいな飛行機は、本当に研究されていたのだ!)やスーパーメルセデス、メッサーシュミットみたいな一人乗り小型潜行艇とギミック満載。(その反面、陸モノは70年代戦争映画に出てくる、旧式アメリカ軍車両に手を加えただけのドイツ軍戦車みたいなショボい出来。)

さらに言ってしまうなら、最後の対決も「レイダース」と一緒。さすがスピルバーグの直系弟子、ジョー・ジョンストン、かなり意識している。

ただ、アメコミ映画の第一作目の常として、キャラクター説明に終始しているのが難点。おまけに主人公の性格が真面目すぎるので、話が盛り上がらない。

キャプテン・アメリカとワイルド7みたいな連中の活躍も、描写がおざなりでもう一ひねりほしいところ。ちなみに当時、黒人兵士が白人兵士に混ざって戦闘に参加するようなことはなかったはずだ。(これに限らず、米軍の描写はとても甘い。元はマンガだから仕方ないか。)

ナチの化学部隊「ヒドラ」とそのリーダー、レッドスカルという悪の権化のような連中も、ほとんど悪事を実行しない。ノルウェーの寒村を1つ潰し、アメリカ本土でちょっと破壊活動をやって、米軍1個連隊を壊滅させた後、捕虜を強制労働させる程度。史実が背景にあるとはいえ、強力兵器の披露でもしないと映画の悪役として冴えないぞ。

最後、アイスランドに墜落した巨大ホルテンとともに氷漬けになったキャプテン・アメリカは、現代に甦り、サミュエル・L・ジャクソン率いるアベンジャーズにスカウトされる。で、エンドクレジット後に次の映画「アヴェンジャーズ」の予告編となる。

つまり、この映画そのものが金のかかった前日談なのだ。「アイアンマン」「マイティーソー」「キャプテン・アメリカ」と数年越しで「アベンジャーズ」につなげるマーヴェルの執念にはちょっと感心してしまった。

ところで、女性エージェント役で「メンタリスト」のアマンダ・リゲッティが出ていた。可愛い顔と立派なガタイのギャップがすてきな彼女、「アベンジャーズ」にも出てね。

追記
上記の件、Imdbで調べたら、リゲッティ嬢は「アベンジャーズ」にも出演するらしい。楽しみ!






題名:キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アヴェンジャー
原題:Captain America: The First Avenger
監督:ジョー・ジョンストン
出演:クリス・エヴァンズ、トミー・リー・ジョーンズ、ヒューゴ・ウィービング

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ハンナ

2011年10月05日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:10月2日
映画館:八丁座
パンフレット:B5変形600円。監督とシアーシャ・ローナンのインタビュー掲載。

フィンランドの僻地で父親からサバイバル能力(というか殺しのスキル)を教え込まれた少女ハンナは、父親と一緒にCIAの女エージェント、マリッサとの対決の旅にでる。一方、ハンナの動向を知ったマリッサも汚れ仕事専門のアウトソーシング、アイザックを雇い、ハンナと父親を追わせる・・・。

ストーリーだけ読むと、まあ、何十回となく聞かされた話のようだが、作品に深みを増しているのがキャスティングの良さ。ハンナ役のシアーシャ・ローナン、父親役のエリック・バナ、マリッサ役のケイト・ブランシェット、アイザック役のトム・ホランダーのいずれも素晴らしく、フィクション度合いの高いいずれのキャラクターも実在しそうなリアルさに満ちている。

さらに4人とも人殺しにかけては、事実上見境がなく、登場人物の死亡率はkamacci目算によれば70%を超える高率。特に、エリック・バナが尾行してきた4人のエージェントを返り討ちにしてしまうシーンを長回しの1カットで演出するなんて、もうゾクゾクしてくる。

で、途中でハンナが実はCIAの極秘プロジェクトで生み出されたスーパーソルジャーの生き残りってことが分かるのだが、残念なことにこの辺から話の収拾がつかなくなってくる。

まあ、そんなオチなんだろうってことは薄々分かるんだけど、なぜマリッサと敢えて対決しなくちゃならなかったのか説明がないし、スパイ映画としての伏線も生きていない。ハンナがこれからどうなるかも分からない。

結局、印象深かったのは、ケミカル・ブラザーズの音楽とケイト・ブランシェットのきれいな足、ハンナの愛銃ルガーP-08と、細部ばかり。「悪魔は細部に宿る。」とは劇中、アイザックのセリフだが、細部だけに宿ってもねえ・・・。






題名:ハンナ
原題:HANNA
監督:ジョー・ライト
出演:シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、トム・ホランダー

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ツリー・オブ・ライフ

2011年09月14日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:9月5日
映画館:シネツイン新天地

血の気が多いブラピの息子がショーン・ペン!絶対、こんな家系の孫にはなりたくない。(笑)

それは冗談として、ストーリーは人生の岐路にさしかかった建築家が自分の少年時代と両親との関係を振り返るというもの。本当にそれだけ。

その心象風景たる映像とその展開が豪快(言葉を変えるなら、呆然)なもので、後々、尾を引いてしまう。映画館でないと見続けられない、TVモニターじゃ根気が続かない。

映画としては困惑させられてしまうのだが、確かに自分が人生について思いを巡らせる時、同じような脳内映像が展開されているよな。だから、「何じゃこれは!」という思いと同時に「そうなんだよな。」という共感も呼び起こされる。

若干、家族構成が違うものの、主人公の少年とウチの小僧が同じような年代で、今の親子関係を色々と考えつつ、さらに自分の半生を振り返ってみると、何だかどんどん自己嫌悪に陥ってしまい、暗く重い気持ちになってしまった。
ワタシって、これまで何をして、何を残してきたんだろう・・・。

上映時間は2時間ちょっとで、早々に席を立ちたくなる反面、まだまだ見ていたくもなる不思議な映画。多くを語ろうにも語れない。(地雷を踏みそうで・・・)

ところで、ショーン・ペンの少年時代を演じる少年が、あまりショーン・ペンに似ていない。「ミスティック・リバー」のガキの方が似ていたな。






題名:ツリー・オブ・ライフ
原題:Tree of Life
監督:テレンス・マリック
出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン

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ピラニア3D

2011年08月29日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:8月27日
映画館:バルト11
パンフレット:A4版600円。今どき珍しい毒々しいデザインが映画にピッタリ。

夏のレイクサイド乱痴気パーティー、オッパイがイッパイを人喰い魚ピラニアが襲う!しかも3D!!
というとても分かりやすい映画。

ジェームス・キャメロンが「こんなものに3D技術を使いよって!!」とクレームをつけたらしいが、これこそ娯楽映画だ。

おきまりとして、まずはお色気シーンが連発。とはいえ、そこは今の映画。そこまで無駄な脱ぎやエッチがないのは残念。一昔前なら、さらにイタリア映画なら無駄な脱ぎがもっと・・・(閑話休題)

オッパイの後は大殺戮。あの手この手で喰い散らかされる。ピラニア軍団の襲撃を受けたレイクサイドはまるで「プライベート・ライアン」のオマハ・ビーチのよう。(誉め言葉)

さらに劇中、「ジョーズ」はもとより「アリゲーター」や「007ユアー・アイズ・オンリー(死ぬのは奴らだ)」にも目配せしているのも嬉しいところ。

ところがこの映画、悪趣味悪趣味と言われながら、実は悪趣味なのはビーチパーティーとそのシチュエーションの方で、ピラニアの攻撃は意外と普通。(まあ、あの映像を「普通」という神経もどうかと思うが・・・)どうせなら「ブロブ」とか「ファイナルディスティネーション」みたいな奇想天外さもちょっと期待したんだけど、それは無し。

さらに3Dも今の立体映像は奥行きとか立体感があるけど、観客に向けてババ~ンと飛び出してこない。この手の映画はこじつけたような映像でも、飛び出してナンボじゃないのか?(全裸のブロンドが泳ぐシーンは3Dの価値があるけど。(笑))

キャラクターは誰も彼もどこかで見たような没個性(んっ?変な日本語)なキャラばかりだが、AV監督兼プロデューサーのジェリー・オコンネルがひとり輝いている。絵に描いたような悪ノリぶりで、見ていてすがすがしい。他の登場人物ももっと感情移入できないイヤな奴だともっと映画も楽しかったろうな。

ところで、映画を観た翌日、ウチの小僧(11歳)に質問された。

小僧「昨日、何観たん?「ツリー・オブ・ライフ」?」
ワタシ「ピラニア3D・・・」

親としてちょっと恥ずかしい。






題名:ピラニア3D
原題:PIRANHA 3D
監督:アレクサンドル・アジャ
出演:エリザベス・シュー、アダム・スコット、ジェリー・オコンネル

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モールス

2011年08月15日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:8月14日
映画館:シネツイン本通り

最初は「ツリー・オブ・ライフ」を観るつもりだったのだが、あいにく満席。腹案で用意しておいた「モールス」を見に行った。(同じようなセレクトをしたお客さんをあとから見かけた。(笑))

ご存じのとおり、「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッドリメイクなのだが、チラシにはそんなことには、ほとんど触れず、加えてこの邦題。オリジナル作品の時も邦題がマズイと指摘されていたが、追い打ちをかけるかのようなこの仕打ち。何とかならんかったのか。

逆に言えば、この一件がこの映画の「表しにくさ」を表しているのだと思う。(変な日本語。)

リメイク版の脚本はオリジナルとほとんど変わらないというか全く一緒。それで改めて感じるのが、この脚本はハリウッドじゃ書けないってこと。全編、何か浮いたように不安定で、とらえどころがない。物語は決着したかのようで、謎は謎のまま残してしまう。そんなオリジナル脚本は今のハリウッドじゃ許してもらえないだろう。

舞台をロス・アラモスに移し、当然、主人公もアメリカ人化しているのだが、前述したように中身は完コピ。正直、シーンごとにシャッフルして、再上映されてもわからんぞ。

もちろん、多少のアレンジは加えられているが、それもほんのわずか。吹き替え版を作るためだけにリメイクしたとしか思えん。

Rー15指定とはいえ、ハリウッド的に少し健全化しており、目つきからして病んで、ナイフを刺していたオリジナル版の主人公の男の子は多少、見た目いい子に。最後の大殺戮も若干ソフトめ。

いくらクロエ・グレース・モレッツ人気があるとはいえ、(そんな人気が存在するのか?)オリジナルを観ていれば、あってもなくてもよい映画というのが、本音。

ところで、何とかならんのかと思った邦題、じゃあアンタなら何にする?と問われ、ワタシは「血の訪問者」とか「ブラッディ・スノウ・アビー」と付けたが、「新・帰って来た女吸血鬼/ぼくのアビーも200歳」とナイスなタイトルをつけたのは蔵臼金助氏である。






題名:モールス
原題:Let Me In
監督:マット・リーヴス
出演:クロエ・グレース・モレッツ、コディ・スミット=マクフィー、リチャード・ジェンキンス、イライアス・コーティーズ

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2011年05月28日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:5月26日
映画館:バルト11

振替休日を取ったものの、ここ最近、本当に観る映画が無い。「パイレーツ・オブ・カリビアン」でもいいのだが、ここは「朝十」で。

改めて観ると「鳥」って、全編ちゃんと観たかどうか覚えていない。有名で印象的なシーンは全て覚えているんだが、それがどうつながっていたか、前振りはどうだったか、記憶にないんだな。実家には録画したビデオがあるのだが、録っただけで見ていないのかも知れない。

朝十や映像文化ライブラリーで映画を見直すと自分の経験や記憶のあやふやさを突きつけられるようで面白いよね。

もっと早々に「鳥」が襲いかかってくるのかと思っていたが、映画の半分以上は風変わりな女主人公の奇行だったし、もし動物パニック映画と知らなかったら、「鳥」とは何かの隠喩と思ったかも知れない。上映当時はそう思った人も多かったろうし、それだけに前触れも説明もなく襲いかかってくる鳥の描写が怖い。

映画のフレームの外で、確実に世界が崩壊しつつあることを匂わせるラストも、最近の派手派手しい映画と比べると逆に印象的。ある日を境にして世の中が別の姿となっていく・・・。

ところで、以前は鳥についばまれた位で死にはしないだろうと思っていたけど、我が家でインコを飼うようになってから、見境なしに噛みつかれた時には悲鳴をあげそうになるよ。






題名:鳥
原題:The Bird
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ロッド・テイラー、ティッピ・ヘドレン

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