kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

エンジェル・ウォーズ

2011年04月20日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:4月17日
映画館:バルト11
パンフレット:A4変形横版700円。監督ほかのインタビュー掲載。この手の映画にしては、内容が浅く割高感。

はてさて、これは困った映画だぞ。ものすごくものすごく楽しい反面、かなり喰いたりない。評価カテゴリーは「良かった、面白かった、気に入った」と「観た私が悪かった・・・」の双方を付けたいくらいなので、とりあえず中間をとって「普通、まあまあ、及第点」。

まず予告編どおり、ミニスカ・網タイツの女の子戦士、日本刀に武者ロボット、塹壕戦にドイツ兵、パワードスーツに阻塞気球と飛行船、リベレーター爆撃機にドラゴン、未来都市にメタルガンマンと、ワタシたちの世代が思春期に見てきたような映像が盛りだくさん。

「爆撃機からぶん投げる発炎筒+ガスボンベ爆弾(好きだねえ。)」とか「ドイツ人の医者と科学者が、死人を蘇らせて蒸気とゼンマイで動くようにした兵隊」なんて、もう冗談としか思えない設定を大まじめに出してくるのだから、うれしくなってしまう。ザック・シュナイダーの脳内書庫には25年前の「ホビージャパン」や「モデルグラフィックス」が山積みになっているに違いない。(笑)

配役的にも、ショートカットで口元にちょっと特徴のある女の子なんてワタシの永遠のアイドル像(例をあげると、キャサリン・ウィルホートとか、フランセス・マクドーマンドとか、フェリシティ・ハフマンとか・・・。)だし、相対的にいつも妙にエロいカーラ・グギーノ(ゴルるるるスキー)も監督の好みに入っているのだろう。

このゴチャゴチャさ加減がいい具合で、想像力次第でいくらでも広がるボードゲームのRPGを彷彿とさせてくれる。

その派手派手しい外見と裏腹に、込み入ったストーリーは大人の自分としては満足なのだが、精神年齢の低いワタシの方は、正直「いいじゃん、そんな話。もっと見せ場を続けろよ。」とちょっと不満。広島では上映館全館が吹き替え版なのだが、オープニングとエンディングのクサいナレーションは、オリジナルでも入っていたんだろうか?

案外、拍子抜けしてしまうのは、ディテールに対するこだわりが感じられないこと。種類だけは多い銃器の描写はあくまでも背景だし、ベイビードールたちのアクションには腰が入っておらず、棒きれとオモチャの銃を振り回しているようにしか見えない。
「プライベートライアン」で20ミリFLAKの空薬莢が吐き出される、ほんの数秒のシーンに絶大なインパクトがあったが、そんなシーンは全くといっていいほど無い。「神は細部に宿る」はずなのに。

つまり監督の画面づくりに対するこだわりと細部に対するそれの乖離を激しく感じるのだ。思うに、これまでザック・シュナイダー作品は何かしら原作があって、そこには見えようが見えまいが、細かいこだわりが含包されていたんじゃないだろうか。初のオリジナル作品で思わぬ一面が出てしまい、ここで監督の才能の底が見えたのか?

ところで、日本刀を差し出すスコット・グレンを見て、京都国際会館でロケした「最後のサムライ/ザ・チャレンジ」って映画を思い出した人ってどれぐらいいるんだろう?






題名:エンジェル・ウォーズ
原題:Sucker Punch
監督:ザック・シュナイダー
出演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、カーラ・グギーノ、スコット・グレン

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウォールストリート

2011年02月19日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:2月19日
映画館:TOHOシネマズ

この映画、なんか2年くらいずっと「近日公開」としてポスターが貼ってあったかのような気がするが、ようやく公開。

先に見た人の評価は賛否両論。「面白い」という人もいれば「つまらない」という人もいるのだが、全員一致するのは「イーライ・ウォラックと「続・夕陽のガンマン」がいいよ。」
って、そんな話題の連中とばかり話しているわけだし、ワタシのお目当てもそこなんだけどね。(笑)

ところが驚いたことに映画自体も金融版マカロニ・ウエスタン。「オリバー・ストーンはよく分かっているんですよ。」という意見もその通りで、タイトルも「WALL STREET MONEY NEVER SLEEPS」じゃなくて、「WALL STREET FOR A FEW DOLLARS MORE」か、「続・ウォール街 いいカネ、悪いカネ、汚いカネ」にすべきだった。

主人公が恩師を死に追いやった敵に復讐するため、敵の会社に入って懐からチャンスを狙うなんてストーリー展開はマカロニのまんまだし、3人揃わないと大金が手にできないってヒネリもマカロニの定番ネタだ。最後には「人間には2種類ある。」の変形版のセリフも登場する。

20万ドルの話をした後に、主人公の携帯から続・夕陽のガンマンの着メロが鳴るんだから確信犯だろう。(まあ、現実にそんな証券マンがいたら、飲み仲間としては最高だろうが、ビジネス面で付き合うのはとても不安。(笑))

前作も映画館で見たが、ちゃんと踏襲すべきところはおさえているところがうれしい。(ひょっとしてと思ったが、不動産屋のオバチャンが前作と同じシルビア・マイルズだったのには、ビックリ!意外なほどディテールを覚えているんだよ。)

大学生だったあの頃は「強欲は善だ!」と言ったマイケル・ダグラスの演説にもピンとこなかったが、今ではそれが身に染みて分かるし、さらに物欲から遠ざかりつつあることも実感するよな。

何だかんだ言われても、こういった映画をタイミング良く撮れるオリバー・ストーンの力技はやはりすごいと思う。劇中で一番、印象に残ったのはフランク・ランジェラが死ぬ場面。自殺する直前にポテトチップを買ってつまみ食いするセンスにオリバー・ストーンらしさを感じるんだな。

ところで、いつも書くんだが、ジョシュ・ブローリンは1968年生まれ。ワタシよりほんの1歳年上。とても信じられん。






題名:ウォールストリート
原題:WALL STREET MONEY NEVER SLEEPS
監督:オリバー・ストーン
出演:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ、ケリー・マリガン、ジョシュ・ブローリン、イーライ・ウォラック

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

RED レッド

2011年01月29日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:1月29日
映画館:バルト11
パンフレット:A4版600円。インタビュー満載。権利の関係か、原作のグラフィックノベルについて画像がないのは残念。

「RED」と聞いて、村枝賢一のウエスタン・コミックが映画化されたのかと思ったら(それは無い無い)、「Retired Extremely Dangerous」(引退した超危険人物)の頭文字。

ブルース・ウィリスは元凄腕CIA工作員で、年金担当の女性と電話越しにいちゃついて、いつか出会うのが老後の楽しみ。

ところが謎の暗殺部隊に襲撃されたことから、年金担当女性を巻き込んで、同じく引退組のモーガン・フリーマンほかの助けを得て、事件の謎に向かうというお話。

なんかブルース・ウィリス主演で似たような映画を何本も観たような気がするなあ・・・。

全体にコミカル・アクション系で気軽に観ることができるが、この映画の魅力は何と言ってもキャスティング。顔ぶれを揃えながら、ちゃんと「七人もの」のキャラの役割分担をさせているところなんか、いい感じ。

カール・アーベンは凄腕の現役CIAなのだが、その風貌と貧乏くじな役柄ゆえ、なぜか「カッちゃん」と呼びたくなってしまう。
ジョン・マルコヴィッチ、伝統芸の域になりつつある頭のネジがゆるんだ元CIA。
ジェームス・レマー、彼も久しぶり!
アーネスト・ボーグナインは、ほとんどの観客が言うだろう。「まだ、生きていたの!」(←93歳!)
レベッカ・ピジョンは、下ぶくれな顔立ちとイヤミなキャラが好み。

しかし、今回一番光っていたのは、ガンウーマンな役回りのヘレン・ミレン。狙撃銃を撃っても(前にも書いたけど、なぜ狙撃手は美人が多い。ヘレン・ミレンを美人と取るかどうかは、好みの問題だけど。)、M2重機関銃で大銃撃しても、MP5を連射しても、目をつむらなければ、険しい表情もしない、見事なまでの無表情。さすが女王(女王様じゃないよ。)は違う。

ところで、先日、行きつけのバーの常連同士で、なぜか銃の話題で大盛り上がり。長い付き合いであんまりそんな話しなかったのになあ・・・。類は友を呼ぶ?






題名:RED レッド
原題:RED
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:ブルース・ウィリス、メアリー・ルイーズ・パーカー、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぼくのエリ 200歳の少女

2010年12月01日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:11月30日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:広島で上映する前にすでに売り切れ

80年代のスウェーデン、主人公はいじめられっこの少年オスカー。親は離婚し、立木相手にナイフを突き刺して、いじめられた憂さを晴らす、ちょっと荒んだ思春期まっただ中。そんな悶々とした毎日の中で、隣に引っ越してきた少女エリと親しくなり、心を通わすようになる。しかし、彼女は吸血鬼だった・・・

表情もやることも暗~いオスカーに自分の思春期を投影してしまう。たぶん、ワタシ自身が今、中学生らへんだったら、自分を慕ってくれる女の子と恋人になれる夢のような世界とその裏腹のそのままではいられない切なさに、わんわん号泣していたと思うし、永遠の思春期映画になったろう。

その一方で、鑑賞中に何度も思い出したのは、パク・チャヌクの吸血鬼映画「渇き」。いずれも吸血鬼を巡る愛の物語なのだが、あちらがドロドロの不倫カップルだとすれば、こちらは「小さな恋のメロディ」。さすがにワタシ自身がもう「リトルロマンス」の歳じゃないんだよな。(笑)

舞台は雪景色の田舎町で、しかも北欧とあって日暮れも早く、日本人では時間感覚が狂ってしまう。悲鳴さえも吸い取ってしまう雪と闇の舞台装置がまた良い。ハリウッドリメイクでは、この感覚を再現するのは難しいんじゃないか。

吸血鬼のエリは人から招き入れられないと部屋に入れない上、血だらけになるという古来からの伝統をちゃんと守っているし、雑誌のレビューを読むとそれ以外にも気づかなかった伏線や知らなかった仕込みが多数あって、良くできた脚本であることを再認識。(パンフレットが売り切れなのは、この辺の事情があるのかも。)

平穏な田舎町で10人近くが死ぬか行方不明になる大事件の割に、ドラマそのものは意外と静かに穏やかに進展する。ハリウッド映画や英仏映画に見慣れていると物足りなさを感じるくらい。とはいえ、思いがけない血みどろ描写には一瞬、たじろいでしまう。

最後は何ともいえない余韻を残すエンディング。複雑な心境になり、いろんな意味で切ない。






題名:ぼくのエリ 200歳の少女
原題:LAT DEN RATTE KOMMA IN
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

裸足の夢

2010年11月28日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:11月27日
映画館:八丁座

今年1月に広島で極寒ロケのあった韓国映画。日本公開は未定だが、ダマー映画祭で公開されることになった。

2003年に広島で開催された少年サッカー大会、リベリーノ・カップで、韓国人監督に率いられた独立したての東ティモール少年サッカーチームが優勝した実話に基づいている。

主人公の韓国の元サッカー選手は、実業団でも活躍した実力の持ち主。ところが商売下手で山師か詐欺師まがいの生活。
流れ着いた果てはインドネシアから独立したばかりの東ティモール、復興特需を当て込み、現地でスポーツ用品店をオープンする。ところが、日々の生活もままならぬ国土でサッカー用品を買うこどもがいるはずもなく、先にこどもたちにサッカーシューズを与え、毎日1ドルずつを徴収するという、まるでドロンジョ一味か「サウスパーク」みたいな商売のためにサッカーチームを結成する。そのあこぎなやり方を見ていると、主人公がねずみ男に見えてくるくらいだ。

で、主要なメンバーを紹介し、即製チームをトレーニングする語り口は「特攻大作戦」のよう。主人公の動機が完全に金儲けであるあたりに不安を残しつつ、スポ根ドラマの展開を先読みする。(余談だが、韓国語、英語、現地のティリ語、日本語が飛び交うあたりはリアルで面白い。)

ところがやがて、これがスポーツドラマではないことに気づく。ましてや、東ティモールの支援映画でもない。下手をすると映画の本質を見失いそうになる。
実際に当時の試合は東ティモールで大いに盛り上がったそうだが、映画からは「国の代表」という切迫感が伝わってこないし、東ティモールでの内紛も映画的には背景に過ぎない。

これは1人の男の再生の物語なのだ。極論すれば、主人公が韓国人監督でなくても、舞台が東ティモールでなくても良いのだ。

実力がありながら、失敗し続けていた男が、それまでの自分に足りなかったもの、目的意識やそれを実現させるための熱意、に気付き、人生をやり直していくドラマなのである。

テギュン監督自身もトークショーの中で作品のテーマを質問され「この世の中で夢を持てない人や挫折した人がたくさんいるが、その人に対する慰めの映画にしたいと思った。世の中にはつらいことが多いが、夢を持つことの大切さを描きたかった。」と語っていた。

東ティモールでのエピソードが長く、上映時間上、肝心の広島ロケされたリベリーノカップにいつになったら、たどり着くのかと思いきや、実はリベリーノカップはエピローグにすぎない。もちろん、映像的には見せ場なのだが、事実上、その手前でストーリーは終わっており、世界大会で勝ち進む少年サッカーチームの映像を期待すると、大いに肩透かしをくらうことになる。

なにしろ、2点先行されたハーフタイムで監督である主人公自身が「ここまで来れたんだから、負けたっていい。」と言ってしまう。スポーツドラマ、特にハリウッドじゃ考えられない一言だよ。

人の熱意を感じ取ることが下手で、自分自身も熱意を持つことも、それを伝えるこもが苦手なワタシとしては、主人公の成長には心打たれ、反省するところが大いにあったけどね。

ところで、リニューアルオープンした八丁座のふかふかシート。大手家具メーカーの特注品なのだが、これがワタシの体に・・・あわない!
シートの奥行きとか高さがワタシの背丈にあわず、座り心地が悪くて、何度も座りなおしてしまった。ええ、ワタシの図体が規格外なんですよ。(笑)






題名:裸足の夢
原題:BAREFOOT DREAM
監督:キム・テギュン
出演:パク・スフィン、清水圭
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レポゼッションメン

2010年10月28日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:10月26日
映画館:シネツイン新天地
パンフレット:B5版600円。

いきなり「シュレーディンガーの猫」が引き合いに出される。おお、何て思わせぶりなオープニング。

近未来、人工臓器が一般化する一方、ローンが支払えなくなると「レポメン」が文字通り、腹をかっさばいて人工臓器を回収(レポゼッション)していく。
腕利きのレポゼッションマンのジュード・ロウは、回収中の事故で人工心臓を埋め込まれてしまい、更に支払いが延滞したことから、かっての身内から追われる羽目になる。

人工臓器をレポするっていうアイディアが秀逸で、さらに血まみれに血まみれのRー15に恥じない演出がいい。(ホワイトカラーのナイフ&肉切り包丁使いの集団なんかも、絵的になかなかおもしろい。)ありきたりだが、ネオンに満ちた都市像も80~90年代の映画ほど嘘臭くはない。

ところが、ワクワクするようなテイストあふれるのはとっかかりまでで、そこからディテールにもストーリーにもSF的なヒネリが入らず、普通の逃亡者ものになってしまう。せっかくなんで、そこからうひと味と深みを加えて欲しかったところだ。「攻機」を知る日本人にはもの足りない。(これがやりすぎると、自己満足で自滅してしまうのだから、難しいところだ。)

ラストに賛否両論だったが、個人的にはシュワルツェネッガーの「バトルランナー」みたいな「最後に爆破して一件落着」の脳天気なオチより、こちらの方が断然いい。ちゃんと伏線が張られているし、ある点から描写が漫画チックで、時として意味不明に一転するのだから、ちゃんとしている。(改めて思い出すと、自分が○○を見ている時もああいう支離滅裂さがある。)

ところで、ワタシらの世代が「レポる」って言えば、アレックス・コックスとエミリオ・エステベスだよな。
題名:レポゼッションメン
原題:REPO MEN
監督:ミゲル・サポチニク
出演:ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーブ・シュライバー
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミックマック

2010年09月27日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:9月27日
映画館:シネツイン
パンフレット:B5横版。監督、主演のインタビュー掲載。

武器商人に父親を殺され、本人も頭に銃弾を撃ち込まれるも生き延びた主人公は、七人の無宿者に助けられる。彼らの力を借りて、父の仇である武器商人と自分を殺しかけた銃弾を作った別の武器商人を争わせ、復讐を果たそうともくろむ・・・って、何の誇張でもなく、この「ミックマック」のストーリー。

オサレなフランス映画みたいな外見だが、中身そのものは昔ながらの特殊部隊もの。力持ち、発明家、軽業士、しゃべりの天才などと絵に描いたような特技をもったメンバー(もちろん人数は7人)が、冗談みたいなお笑い作戦で2つの兵器会社を対立させる。

「ミックマック」は「たくさんの悪だくみ」を意味するのだが、そんな意味不明なタイトルじゃなくて、「パリの用心棒大作戦7+1」とか「続・アメリ/7人のイタズラ特命隊」なんて邦題の方がよっぽど分かりやすい。

ところが、メンバーの個性が強烈すぎて、彼らの活躍を追いかけるだけで、ストーリーが転がらない。もっと丁々発止なやりとりがないと、物語にワクワクしない。キャラクターとストーリー、この辺のサジ加減は難しいね。

監督のジャン=ピエール・ジュネといえば、「アメリ」ちゃんなのだが、「エイリアン4」の時に影響を受けた監督でセルジオ・レオーネの名をあげ、同作にマカロニな「顔の使い方」を持ち込んだ前歴の持ち主。本作もストーリーそのものは「荒野の用心棒」だし、思わせぶりなシーンもある。なんと言っても、ラストはレオーネのあの作品そのまま!(モリコーネが流れなかったのが、不思議なくらい。)

しかし、パンフレットの監督インタビューにはレオーネのレの字も出てこない。自分がインタビュアーだったら、絶対、そのことを質問していたのに。って、そのことしか聞かないけど。(笑)
題名:ミックマック
原題:MICMACS A TIRE-LARIGOT
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ、ジャン=ピエール・マリエル、ドミニク・ピノン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザ・ロード

2010年09月22日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:9月21日
映画館:サロンシネマ

「人類滅亡!」なんて、心震わすフレーズなんだ!(好きだねえ。)

何らかの原因で文明社会が崩壊し、わずかな人間だけが残った世界。食料は枯渇し、食人行為さえ横行する。そんな極限状態の中、父子は善き人々を求めて、荒野をゆく・・・というコーマック・マッカーシーの同名小説の映画化。

人類滅亡モノが大好きなワタシとしては、原作も読み、映画も製作段階から気になっていたが、これがまんまよくも悪くもストレートな小説どおりの内容。

世界中が焼け落ちた灰色に満ちており、荒涼たる景色、特に岩場にそびえる枯れ木が好きなワタシは大満足。こんなところを彷徨い、旅してみたい。また、地平線一帯が焼き尽くされるシーンも素晴らしい。

ところがその一方で、映画評でもよく触れられているように、映画的なケレン味とか毒々しさが一切ない。パニックに陥り崩壊していく世界も、食人暴力集団の目を覆うようなショックシーンもナシ。う~ん、原作どおりの文芸作品とはいえ、映画の背景としてそこは観たいぞ。(笑)

映像としては、ホームレス親子と死んだ大地が延々と続く。こういう映像が好きなら、飽きないだろう。ある意味、環境ビデオみたい。

この作品、よく「子連れ狼」と比されるけど、実際に「子連れ狼」を読んでいると、その世界観や思想には天地ほどの開きがある。父子で旅する作品なら、何でもかんでも「子連れ狼」を引き合いの出すのは、双方の作品にとって失礼な話だろう。

最後にヴィゴ・モーテンセンの父親は原作どおりに死ぬ。ここで涙の1つが出てもよさそうなものだが、ドラマ的には父親が死ぬのは既定路線。
さらに言えば、一児の父親として思うのは、親はいつまでも子どもの成長を見続けられないということだ。「ここで終わり」というところはないし、それどころかいつまで見守り続けるつもりなのだ自問する。
だから、親として先に死んでしまうのは当然のことなのだ。ワタシはいつもそう思っている。
題名:ザ・ロード
原題:THE ROAD
監督:ジョン・ヒルコート
出演:ヴィゴ・モーテンセン、コディ・スミット=マクフィー、ロバート・デュバル、シャーリーズ・セロン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

2010年08月29日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:8月28日
映画館:バルト11
パンフレット:A4変形600円。

ジョー・カーナハン監督といえば、「スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい」。今回も舞台はメキシコだわ、円形のランチでリンチはあるわ、縛り首のロープが張りつめて命からがらになるわ、作戦コード名は「ハチェット」だわ、悪党の名前はテュコだわ、そいつは「グリンゴをぶっ殺せ!」と叫ぶわ、もうマカロニ描写が満載(すべて本当)・・・ってAチームの話でしたね。

言うまでもなく、テレビシリーズの「特攻野郎!Aチーム」は第1回目の「必殺!Aチーム」の時から観ており、ウチの奥さんとも思い出話をしたのだが・・・印象に残るエピソードが1つもない!
話の中身より、ルガーミニ14とか羽佐間道夫の「そういう訳でごじゃるな」とかコングのアクセサリーとかやたらに低いカメラ位置とか前転する車とかどうでもいいディテールしか覚えていない。

逆に言えば、そういったことさえ押さえておけば、ちゃんとしたリメイクに見えるのだから、コワいよな。(笑)

舞台は現代に移り、背景はベトナム戦争からイラン戦争に。民間軍事会社のブラックウォーター社をもじったブラックフォレスト社が出てくるあたりは、多少、知識がないと分かりづらいかも。とはいえ、そんなことは些末なことで、「博士の異常な愛情」の水爆ロデオばりのシーンや、「スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい」にもあった高層ビル間のドンパチとか、悪ふざけ具合に楽しくなってしまう。

金がかかった分、テレビシリーズにあったそこはかとない安っぽさとかいい加減さが、当然のことながら、無くなってしまい、ちょっと残念だし(って、そんなところに期待してはいけない。)、アクションシーンは実は歯切れがよくないので、減点対象。

最後に出てくる司法長官がオリジナルのフェイスマンことダーク・ベネディクトかと思ったが、ハズレ。しかし、彼とドワイト・シュワルツの生き残り2人が思いがけないところで登場し、思わずニヤリ。もちろん、帰りがけはテーマ曲を口ずさんでいた。

ところで、劇場で後ろの男性2人組が海外TVシリーズの話をしていた。

男1:ジープに機関銃を積んで走るTVドラマあったよな。何だったかな。
男2:知らんなあ。
ワタシの心の声:「ラット・パトロール」!
男1:砂漠をジープで走りよるんよ。
ワタシの心の声:それは「ラット・パトロール」!!
男2:誰が出てたん?
男1:知らん。
ワタシの心の声:クリストファー・ジョージ!!!
男1:4人乗りのジープなんよ。何やったかな・・・
ワタシの心の声:だから、「ラット・パトロール」だってば!!!!
題名:特攻野郎Aチーム THE MOVIE
原題:The A team
監督:ジョー・カーナハン
出演:リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、クイントン・ジャクソン、シャルト・コプリー
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トイ・ストーリー3

2010年07月25日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:7月24日
映画館:ワーナーマイカルシネマ
パンフレット:ディズニーサイズ600円。

7月24日は広島市の「広島みなと夢花火大会」。昼から現場出動だったので、駆け足で映画館へ。

「トイ・ストーリー」も3作目となれば、当然3D。「モンスターvs.エイリアン」もそうだけど、やはり3D映画はCGアニメだととてもよく映える。画面がリアルかつとても美しい。

今回はこれまでの持ち主、アンディの大学入学&引っ越しに併せ、思い出のおもちゃたちともお別れの時が来る。ウッディだけ持参し、他のおもちゃは実家に永久保存のはずが誤って廃棄処分されかけ・・・

【以下、ネタばれあり】

おもちゃの顔ぶれはいつも通りなのだが、ワタシの一番の
お気に入り、リトル・グリーン・アーミーは早々に戦線離脱し、今回は活躍せず。残念。リー・アーメイも声を当てていない。

バズの電子回路にスペイン語圏モードがあって、ラテンなバズに変身するという設定はなかなか面白い。(ウッディにもイタリア語モードがあって、マカロニ野郎に変身・・・しないよね。)

ラストのゴミ処理場などなかなかの迫力。「ターミネーター」などのデストピアもので、人間処理工場がこんな迫力で見ることができたら最高なのに。(オイオイ)

ただ、「3」ともなるとストーリーが読めてしまうし、これまでピクサー・アニメの主人公は性格にどこか不完全な部分があって、何かのきっかけでそれを克服するという物語が良かったのだが、「3」となるともう、主要キャラクターに不完全な部分が無くなってしまい、みんないい子できれいな友情話でカタがついてしまうあたり、ピクサー・アニメにしては喰いたりない印象を受けたのは確か。

う~ん、「トイ・ストーリー」とか「ウォーリー」を観た時のような感動はないなあ・・・。

しかし、アンディ、大人になるからといって、子供のころのおもちゃを全部、人にあげることはないぞ。大きくなった時、おもちゃ1つが心の拠り所となることだってあるのだ。
題名:トイストーリー3
原題:TOY STORY 3
監督:リー・アンクリッチ
声の出演:唐沢寿明、所ジョージ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする