竹橋の国立近代美術館へ行ったときのレポを
まだアップしていませんでした。
タイトルは「窓展」。
窓にまつわる古今東西のアートや建築作品を集めたもので、
バラエティに富んでいた点はなかなか面白かったです。
撮影OKのものも多かったので、
特に印象に残ったものを並べてみますね。
編集したらみにくくなってしまいましたが・・・。
一言でいえば「窓の歴史」。
みなさん、窓はいつごろ誕生したと思いますか? 唐突な問いですが……。
この年表によれば、紀元後1世紀後半、ボンベイの浴場につくられた
窓ガラスが、世界初の窓だそう。
その後、1228年には西欧でステンドグラスが生まれ、
1500年にはヴェネツィアでガラス工芸が最盛期を誇り
そんな歴史とともに、
では絵画ではどのようにあらわされていったかといえば、
中世の宗教画では確かに、窓はあるもののガラスが入っていない、
吹き抜けのような絵が多く、
ダ・ヴィンチの最後の晩餐前後から、ガラスが入っているらしい表現が
目立ってきました。
その後は写実派も印象派も、表現の仕方は違えど「窓らしい窓」の
描き方になっていて
ただ
1910年の未来派、ドローネーが「エッフェル塔とカーテン」という
タイトルの絵を発表したときには、
窓は抽象的な表現となり、
1913年のシャガール 「窓にみたパリ」や
1936年のマグリッド「田園の鍵」という作品では、
窓はもはや窓そのものではなく、別の概念をあらわすものとして
描かれるように。
2005年の塩田千春「窓の家」では、窓だけで家がつくられたり
(こちらは立体作品ですが)、
窓が持つ意味や、アートの素材としての使われ方は
どんどん広がり、変容していくのが年表だけでもわかります。
こちらは83歳の現役ポップアーチスト 林田嶺一さんの作品。
少年時代に過ごしたハルピン他、アジア諸国の思い出を
窓枠の中で表現しており、
一見かわいい色遣いですが、戦闘機やさびれた町など
戦争の爪痕が。
大がかりな立体作品もいろいろあって
作者の意図はよく分からなかったのですが(すみません)、
窓が開いたり閉まったり、
角度がついたガラスを並べた作品で、
見る位置により、脇を通る人の映り方が変わって見えます。
さて、絵画に戻り
夏にステーションギャラリーで観た「麗子さん」がここにも!
絵の左下にぼんやりとした影があることで、
あたかも額縁が窓枠のようになり、麗子さんがそこからこちらを
少し前のめりになってのぞきこんでいるようにも見える、という
一種のだまし絵、との解説でした。
左はピエール・ボナール、右はアンリ・マティス。
どちらもそれぞれ、画家のスタイルをよくあらわしていますが、
チケットにも印刷されている、こちらの絵
タイトルは「待つ」。
左の女性は窓の外、やや遠くを見ながら
右の女性は待ちわびたように下を向き、
2人の間の更紗のような模様がアクセントになっていますね。
早くこないかなあと気ぜわしい様子が伝わってきますが、
果たして彼女らの元に、待ち人は来たのでしょうか。
この絵からは“その後”はわからず、絵を観る人の想像に
委ねられますが、
私の中では、この2人は2020年の今も、
待ち続けているのではないかなあ、と思っています。
コメント一覧
最新の画像もっと見る
最近の「美術展・工芸展レポート」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2009年
2008年
人気記事