地元にある岡本太郎美術館を訪れたときの写真で
ブログ未公開のものがいくつかあったので
今回、紹介したいと思います。
そこでいきなりタイトルの
「坐ることを拒否する椅子」1963年の作品
ぽこぽこともぐらたたきのもぐらのような形状をした
椅子たちがそれです。
見にくいですが座面に目があったり、ともかくでこぼこしていて
確かに座りにくい。
お子さんにはウケが良い色かたちで
レプリカや、このフォルムを模した文房具などが販売
されているのにも頷けます。
ちなみにこんな、織物を思われる
ちゃんと座れる椅子もあります。
岡本太郎といえば、
復員後の1948年から安部公房らと交流し
日本でアバンギャルドな芸術を推進する中心となり
その後1954年からは建築家の丹下健三や
民藝運動の提唱者 柳宗悦とともに
デザインコミュニティを形成し、
というワケで、坐ることを拒否した椅子は、
両者の思想が込められている……のかな?
ネットで調べたところによると、岡本氏は坐るという行為に対し
ただずるずるだらだら休むために坐るのは“人間の生活らしくない”
との見解を示していたそう。
芸術は爆発だ!の人ですから、生活ももっとアクティブたれ
アグレッシブたれ、との思いがあったのかも知れません。
絵画も、エキセントリックに受け取られる画風でありながら
年代により微妙にタッチが違っていたりして
(上が50年代、下が70年代)
太陽の塔で有名な大阪万博に対しても
当初、協力を拒否する姿勢だったそう。
コンセプトが「進歩と調和」であると知り、
「科学は進歩しているが、人間はそのドレイになっている(だから調和ではない)」
と言った、と彼自身が美術館内に流れていたVTRの中で話していました。
太陽の塔もはじめからその名前がついていたわけではなく
太郎の塔と呼ばれていたそう(本人が命名したわけではなく、
周囲から言われていた)。
でも、国費を使った作品に自分の名前なんてつけられない、と
最終的に、太陽の塔になったそうです。
絵、彫刻、オブジェ、写真、そして文章も
マルチな活動でまさに表現者と呼ばれるにふさわしいアーチスト。
この感性や精神性が現代日本の芸術家やクリエイターに
受け継がれ、世界で支持されているのかなあと、
改めて、その功績に感心するばかりです。
コメント一覧
最新の画像もっと見る
最近の「美術展・工芸展レポート」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2009年
2008年
人気記事