神奈川絵美の「えみごのみ」

立秋に藤を愛でる

こんなに暑いのに、そして
まだ当分この暑さは続きそうなのに、

もう立秋。

この日、夜から青山で取材が入っていた。

宮古上布に、琉球絣風の綿の帯。
モレッティの帯留めは3個使いだけど、
この写真では光ってしまって

せっかくだから、少し早めに出て、
根津美術館へ寄った。



お目当ては、コチラ
       ↓

円山応挙による「藤花図屏風」。重要文化財だ。

何しろ盛夏の展示。根津美術館は駅から少し歩くし、
仕事が入らなければ、たぶん諦めてしまっただろう。

でも……。行って良かった。本当に良かった。

自然のままに枝を広げた迫力ある幹のうねりに、
意外とそっけなく、だらんと垂れ下がるようにしてついた花弁。
でも、その花の一つ一つが、まるで宝石のように
光って見えるのだ。

藤の花は、この作品の解説によれば
根元に旗弁、その外に舟弁、そのさらに外側には翼弁といった
3重構造になっているそう。
それらを少しずつ、色を変えながら立体的に表現しているのだが
光が当たったかのような白が引き立って、18世紀の絵とは思えないほど
キラキラしていた。

また、葉っぱも上の写真で少しわかるように、
わずかに地の金が透けて、わずかなゆらめきや陽の反射を
あらわしているよう。

遠目では野趣に富み、近くでは実に繊細。
理屈でなく「綺麗だなあ」と、いつまでも屏風絵の前に
座っていたい気分になった。

会期は26日(日)まで。
総点数は少ないのですが、この屏風絵だけでも見応えありますので
機会があればぜひ。



季節ごとに茶道具が迎えてくれる、2Fの第六展示室も超おすすめ。
(この写真ではありませんが)野々村仁清作の、ほんのり山桃色の芋頭水指が
とてもやさしくまた爽やかで、心洗われるよう。


お庭は、今回は館内から写すのみ。
午後5時近かったのですが、まだとても暑そうで……。





※週末にいただいたコメントのアップとお返事は少し遅くなります。

コメント一覧

神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
応挙の絵は、見れば見るほどその描写力と、それをさらに超えたところにある内面の表現力に圧倒されます。

仕事着物はワンパターンになりがちで
でも…私、洋服で仕事してる日もあるんですが、暑さはあんまり変わらないような。
神奈川絵美
オンブルパルフェさんへ
こんにちは
根津美術館って、駅からすこーし離れているってのも微妙なんですよね。他と抱き合わせで回りにくいという…。
後日アップしますが、ここから徒歩2分程度のところに「東三季」という旧い店構えの雰囲気良い呉服屋さんがあり、先日も立ち寄りました。お時間の余裕があればぜひ
神奈川絵美
香子さんへ
こんにちは
暑い、暑いと言っていても、立秋過ぎると日の短さが少し気になってくるかなあ。
やっぱり? 意外と? 夏着物の出番は短いものですよね。
りら
さすがは・・・
歴史に残る名作ですねぇ。
画像で拝見しても藤の花が瑞々しく見えるようです。

日本の暑さは今年もまた尋常ではなくなっているようですが、お仕事に着物!
心意気が素敵です~!
オンブルパルフェ
http://ameblo.jp/herend-tarte/
私の鬼門の根津美術館・・・。
東京駅からタクシーで行き(暑い日)臨時休館だったり、友達が急に来られなくなったり、といつも何かが起こるのです。
ぎりぎり最終日いけるかなあ・・・。
何かが起こりそうで、怖い・・・。
香子
透け感がなんとも涼しげですね~、宮古。
周囲に涼感と幸福感を届けられる着物ってステキです

立秋すぎてちょっと空気が変わりましたよね。
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