神奈川絵美の「えみごのみ」

狂おしいほど切なくて

ふと思い出し、久しぶりにこのアルバムを手にとった。



リリースは1979年だけれど、私が買ったのは確か1992年か93年だったと思う。
仕事もプライベートも
いろいろ上手くいっていなかったころ。

ちょっぴり苦い、そんな思いとはまた別に、
このタイトル曲を聴くと、なぜかベルリンの壁崩壊後、希望に満ちていながらも
一方で混迷を極めた東欧~ソ連(ロシア)をイメージする。
例えば、ルーマニア革命におけるチャウシェスク夫妻の処刑シーンとか。

調べなおしたところ、それは1989年のことだったそうなので、
アルバムを買った時期とは少しずれているのだけれど、
もう20年近くも経てば、「あのころ」と一括りで思い出されても不思議はない。
当時の個人的な悩みと、社会の暗さがオーバーラップして、
なんとも切ない気持ちになってくる。

……あのころ。
海外の数々の出来事に心を痛めながらも
短絡的な表現だが(私は安全で安泰な日本に生まれ育ってよかった)というような
思いを間違いなく抱いていた。
……今は。
果たしてどうか。「永遠」などどこにもないのだ。



(ここでは夏の草花が使われていますが、私のこの曲に対するイメージは晩秋。
でも、真夏の強い強い陽射しが誘う狂気のようなものも確かに感じます)

--------------------------------------------------------------------------

このアルバム「ELM(エルム)」は、
指名買いするジャズファンも多い、ヨーロピアンジャズの名レーベル
「ECM」の一枚。
リーダーはRichie Beirach(リッチー・バイラーク)という、
70年代にチック・コリアやキース・ジャレットと並び称されるほど
実力が認められていたピアニストだ。
情緒豊かなメロディーだが、そのタッチは硬質で、
どこかリスナーを突き放すような冷たさもある。

この記事を書くにあたり「彼は今、どうしているのだろう」
ネットで調べたものの、なかなかピンポイントの情報が得られない。
プロミュージシャン等専門筋のHPによりわかってきたことは、
80年代にECMレーベルの創設者兼プロデューサーと仲違いし、
彼のリーダーアルバムはすべて廃盤にされたこと。
詳しい事情はわからないが、日本でだけ発売されていること。
トラブル後、彼は酒に溺れた生活を送っていること。
今はドイツの音大で教えているが、第一線での演奏活動は
していないこと、などだった。


私の心に、憂いを帯びた影を落とすこの曲、
彼にとっては、人生のただ一瞬の煌めきだったのだろうか。

コメント一覧

神奈川絵美
Tomokoさんへ☆
こんにちは 確かに…ドイツのレーベルだからということではないのでしょうけれど、北の方の情景が浮かぶようですね。
このECMレーベルは、クラシック(現代音楽)と非常に近い曲調を得意とするところでして、ジャズといってもかなり、アメリカのものとは雰囲気が違いますよね。

風邪…実は私、すでに風邪をこじらせてまして、喘息様の症状に悩まされています。Tomokoさんもどうぞお大事に…
神奈川絵美
すいれんさんへ♪
こんにちは 今日はお会いできて嬉しかったです…が、すっかり忘れてしまいました! “防寒のヒミツ”を伺うこと
お聞き苦しい声で、失礼しました・・・。

INSPIRITSはかなりロック色の濃いフュージョンなので、お好みに合うかどうかわかりませんが・・・。たぶんamazonあたりで試聴できるかなと思います。
Tomoko
お大事に
この曲、聴いてみると、私には季節ではなく情景になりました。寒い国のどこか針葉樹に囲まれた水辺のあたりで、風が少し強くて岸辺にはさざ波がたってて、空には黒いのや白いのが入り交じって、ところどころ雨がふっていたり、光がさしたようなところで曲が終わりました・・・。
なんて、勝手なイメージですけども(笑)。
風邪、流行ってますね。どうぞお大事に~。
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
ありがとうございます。なかなか自分の好きな曲を探すのって時間もかかるし、大変でしょ。
紹介して頂けると、助かります。
絵を描く時には、いつも好きな曲をかけて描きますが、さすがに同じだと飽きてくるので。
INSPIRITSですね、今度聴いてみます。
神奈川絵美
すいれんさんへ☆
こんにちは 心に沁みるメロディーですよね…。調べたところによると、バイラークがプロになって初めて演奏した場所が日本だったとか。それで日本のファンも多いようなんです。どことなく、和の風情も感じるんですよね…

ところで「Purely」お求めになったのですね!嬉しいです~からっと明るくて、元気が出てくるようで、いいですよね。

(書いているうち、またもやマニアックになってきて申し訳ないのですが)
私、作曲家としての野呂一生さんが大好きなんです。音楽そのもののつくりはとても個性的なのに、なんか自然に鼻歌が出てきちゃうほどメロディアスなんですよねー。彼のソロワークスのCDや、INSPIRITSというバンド名義のCDも好きで、たくさん持っています。ご興味あれば今度またご紹介しますね
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
素敵な曲ですね・・・。確かに切なくなります。絵美さんのおっしゃる通り、私も晩秋を感じます。こういう曲を聴いていると、走馬灯のように昔のこと、それも自分にとって不条理なこととかが思い出されます。それにしても、絵美さんの曲の趣味とか好きです。以前の「Purely」とかもすっごく気に入って、即購入。絵を描きながら聞いてますよ。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「音楽よもやま話」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事