あまりに寒々しかったので
もっと後で紹介しようと思っていた
こちらの香合を手に取りました。
松山で出合った、最後のお土産。
作者は大島窯の、山内瑠璃子さんという方。
松山市内のお土産通りにある、
大島窯の専門ショップでいただきました。
大島窯ってどこにあるの?
ココです。
……といってもこの地図では
愛媛県民でないとまず、わからないのではないでしょうか。
もう少し広域になると
こういう位置関係になります。
瀬戸内海の大島という島に、山内夫妻が開いた窯です。
作品名は……?
「斑雪(はだれゆき)っていうんです」
と、ショップのお若い女性スタッフ。
「この白いのが雪で、葉っぱにまだらに積もっているようでしょう?」
灰味を帯びた白に、
わずかに艶を残した緑。
歪な四角。
静けさの中にも、凛としたものを感じて。
(この香合には、藍染の敷物が合う)
直感で、福本潮子さんのトルファン綿の端切れを
合わせてみました。
深く、でも決して暗くはない、冬のしんとした小さな風景が
目の前に、手の中に、ひらけたようなそんな気持ちになったりして。
ところが。
改めて、調べてみたら
はだれゆきは、俳句では春の季語。
つまり、まだらな雪は、暖かくなり融けてきた様子を
あらわしたもの、だったのです。
今までさほど雪とは縁のない、
神奈川の平野部に住んでいると、こうした細かな雪の描写には
疎くて……
12月に飾ろうと思っていたけれど、
立春過ぎてからにしよう、と思い直しました。
このことでふと、思い出したのが
「秋千(しゅうせん)」という言葉。
ご存知ですか?
ブランコのことです。「鞦韆」とも書きます。
寂しい秋の夕暮にたたずむ……そんなイメージもありますが、
秋千も、実は春の季語。
理由はネットで調べた限り、あまりはっきりわかりませんでしたが、
中国の故事で、宮中の女性が春の遊びに使っていたという説が……。
ここで一首、
風に揺るる鞦韆ひとつ傷つきしほどは傷つけ来しと思えり
という、山埜井喜美枝の短歌を思い出しました。
この歌を、俵万智氏は恋の歌として解説していましたが、
私は、人間関係全般にいえることではないかな、と思っています。
風に揺れるブランコは、前に振れた分だけ後ろに戻る。
私は傷ついた、自分ばかり傷つけられて…と思っていても
たいていは、知らないうちに同じ分、人を傷つけているもの。
お互いさま。プラスマイナスゼロかな、といったような意味。
私は寧ろ、ブランコには
-こいでもこいでも起点は所詮、同じ場所。
どんなに空へ近づいても、同じ勢いで揺り戻される-
そんな意味でのプラスマイナスゼロに、
やはり春ではなく、秋を感じてしまうこの頃です。
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