医師はもちろん、編集者の男性とも面識がない。
こうなると“アウェー感”が強くて
根拠もなく、不安に駆られることがある。
厳しい先生だったらどうしよう、
編集さんと気が合わなかったらどうしよう。
気が重くて、着物に手がのびにくいときもあるけれど。
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着てしまうと、ちょっと活力が出てきたり
前向きになったりすることが多い。
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この日は、にわか雨が降りそうだったので
濡れても影響の少ない宮古上布に、博多の半幅。
半衿は鈴木紀絵さん、帯留めは千鳥。
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いつもカルタ結びですみません…ラクなので。
行き先は
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阿佐ヶ谷。
そう遠くもない街だけど、降りたのは初めてかな。
どきどきしながら医院へ向かったのだけど、
編集さんは愛想のいい方だったし、
医師も物腰柔らかく、ふわふわとお話される方で
何もこちらが取り越し苦労をすることはなかった。
とある分野の、歴史の話や偉人の話が興味深くて
いろいろ伺っているうちに、いつのまにかすーっと
気持ちが軽くなっていて。
と、そんなところに
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と、医師がくださったのは
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重すぎる、本の山。
歴史とか。偉人とか。
4㎏は絶対あった。
-袋もあるから、大丈夫。- にこにこして
写真のような、某学会の(まさに)丈夫そうなカンファレンスバッグを
くださる。
乱暴な例えだが、遠心力を使って振り回せば凶器になるレベル。
かくして
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帰り道は、もともと持っていた自分の荷物に加え
本の山もお持ち帰り。
(振り回したりはしませんよ)
重いし、着物には不釣り合いだけれど、
行きの気持ちの重さがなくなった今、
物理的な重さは何ともない。
駅へ続く商店街を、むしろ軽い足取りで急ぐ。
これが、行きにさして不安もなく
ニュートラル、またはうきうきした気分だったりしたら、
帰りはもしかしたら、げんなりしていたかも。
“しあわせは いつも 自分のこころが…”ではないけれど、
人間は、思っている以上に、自分本位だ。