神奈川絵美の「えみごのみ」

“愛しいもの”の系譜 -乾山展@サントリー美術館-

(前回の続き)

乾山展@サントリー美術館は
会期終了間際とあって、悪天候の平日にも関わらず
かなりの混雑。

乾山といえば、多彩な作風とモチーフの大胆な
デフォルメで知られており、
まずは
織部、志野、唐津などの、乾山に影響を与えた
「京焼」の源流が展示。

そして、語らずには進めない
野々村仁清の作品。

イヤホンガイドの解説で、なるほどなと思ったのが
「仁清は、立体を絵画にあらわす試みをし、
乾山は、平面の絵画を器にする試みをした」の言葉。



私が個人的にとても興味を惹かれたのは
藤原定家の和歌に因んだ絵が描かれた
12カ月の角皿。
見込みいっぱいに
狩野派の絵柄が…。私の誕生月、3月は藤と雲雀でした。

別の角皿のシリーズでは、奇数月が狩野派、
偶数月が琳派と作風を替えています。

同じ色絵でも

こちらはより骨太な感じで、
造形も個性的。
盃を置く台なのですが、
形自体が、桔梗の花からデザインされたもの。


ご存知、龍田川と紅葉をモチーフにした鉢。
所蔵は出光美術館で、以前にも観たことが。


春の草を集めた可愛い汁次も


現代でも受け入れられそうな
ポップ調の紅葉も


私は、仁清や海外の焼き物(景徳鎮やベトナム)の
影響を大きく受けているのでは、と思いました。
(写真は仁清の作品)

晩年に近い作品で、心に残ったのは
有名なコチラ

夕顔図黒茶碗。

源氏物語の「夕顔」に取材した絵柄で、
漆黒の地は、そのミステリアスな物語に合わせたかのよう。
花は実物よりぽってりと愛らしいのが
印象的。
なお、書かれている和歌
「よりてだに露の光りや いかにとも
   思ひもわかぬ 花の夕がほ」は、
室町時代の公家、三条西実隆が詠んだもの。

乾山の、当時としては守備範囲が広く
また突き抜けてもいた作風は、
二代目に受け継がれるもそれ以上の発展はなく
やがて埋もれてしまい、
江戸後期になって、江戸琳派の酒井抱一が見出し
再び美術史、工芸史の表舞台に。

その後、ずーっと時代が下がると
バーナード・リーチや富本憲吉まで
系譜に記されていて、
ああ、やっぱり私が今まで観て
ステキだなと思った作家さんたちばかり、と
嬉しくなりました。


この展示については、コチラのブログに
たくさんの写真とともに、詳細なレポが載っています。

コメント一覧

神奈川絵美
U1さんへ
まあ! 悪天候と重なってしまったのですね。
お疲れ様でした。

見応えある展示でしたが、
乾山と、関連する他の作家さんの作品が1:1
くらいだったかなと思います。
五島美術館や出光美術館の所蔵品も
ありましたし、
乾山でしたらまたあちらこちらで、
鑑賞の機会はあると思います~
U1
残念ながら・・・
こんにちは
先週二日間東京に出かけていましたが、
残念ながらスケジュールの調整ができず、
この展覧会を鑑賞することはできませんでした。

日本人の優れた美意識を再認識する機会だった
と思いますが・・・。

帰路、台風11号の影響でJR中央線も高速バス
も運休していて長野新幹線で帰りました。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「美術展・工芸展レポート」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事