乾山展@サントリー美術館は
会期終了間際とあって、悪天候の平日にも関わらず
かなりの混雑。
乾山といえば、多彩な作風とモチーフの大胆な
デフォルメで知られており、
まずは
織部、志野、唐津などの、乾山に影響を与えた
「京焼」の源流が展示。
そして、語らずには進めない
野々村仁清の作品。
イヤホンガイドの解説で、なるほどなと思ったのが
「仁清は、立体を絵画にあらわす試みをし、
乾山は、平面の絵画を器にする試みをした」の言葉。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/39/207c1753e4bbc2de824f08d8c7ee2257.jpg)
私が個人的にとても興味を惹かれたのは
藤原定家の和歌に因んだ絵が描かれた
12カ月の角皿。
見込みいっぱいに
狩野派の絵柄が…。私の誕生月、3月は藤と雲雀でした。
別の角皿のシリーズでは、奇数月が狩野派、
偶数月が琳派と作風を替えています。
同じ色絵でも
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/16/269ab1db9ec1a88e0a36647e117ae963.jpg)
こちらはより骨太な感じで、
造形も個性的。
盃を置く台なのですが、
形自体が、桔梗の花からデザインされたもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/d5/4131ec513f91296bb19400576b63d703.jpg)
ご存知、龍田川と紅葉をモチーフにした鉢。
所蔵は出光美術館で、以前にも観たことが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/8b/820c5a3a9093c962dba148536f5b5be6.jpg)
春の草を集めた可愛い汁次も
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/e3/13121c7d80311c5c1eb944ecbdc06c26.jpg)
現代でも受け入れられそうな
ポップ調の紅葉も
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/72/42fd35a0550b4cb7c88eaf6946eb6462.jpg)
私は、仁清や海外の焼き物(景徳鎮やベトナム)の
影響を大きく受けているのでは、と思いました。
(写真は仁清の作品)
晩年に近い作品で、心に残ったのは
有名なコチラ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/ad/45fbc2c35c76b596348fb75b467083fe.jpg)
夕顔図黒茶碗。
源氏物語の「夕顔」に取材した絵柄で、
漆黒の地は、そのミステリアスな物語に合わせたかのよう。
花は実物よりぽってりと愛らしいのが
印象的。
なお、書かれている和歌
「よりてだに露の光りや いかにとも
思ひもわかぬ 花の夕がほ」は、
室町時代の公家、三条西実隆が詠んだもの。
乾山の、当時としては守備範囲が広く
また突き抜けてもいた作風は、
二代目に受け継がれるもそれ以上の発展はなく
やがて埋もれてしまい、
江戸後期になって、江戸琳派の酒井抱一が見出し
再び美術史、工芸史の表舞台に。
その後、ずーっと時代が下がると
バーナード・リーチや富本憲吉まで
系譜に記されていて、
ああ、やっぱり私が今まで観て
ステキだなと思った作家さんたちばかり、と
嬉しくなりました。
この展示については、コチラのブログに
たくさんの写真とともに、詳細なレポが載っています。