神奈川絵美の「えみごのみ」

続  カラスにすげたい

(今までのあらすじ)
昨秋、結城紬のイベントでハギレを買った私。
鼻緒にするなら「カラス」にすげたら、との友達のアドバイスに従い
年明けに長谷川商店へ。淡い鶸色の裏と、渋い臙脂のツボで
鼻緒を注文した。

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そして約2週間後……


完成したとの連絡を受け、再び浅草へ。


まだ寒いけれど、気分だけでも…と、春色のコーデ。
紅花紬に「春待ち」帯。
帯揚げ、帯締めは薄いブルー系で。


中来田万里さんの型絵染めは、デザインの切り替えが大胆なので、
締め方によって表情がガラリと変わる。

こんな風に。
(左は前回、なす紺の結城に合わせて)

ここ最近は黒いカシミヤウールのコートばかりだったので、
今回は、日中のお出かけでもあるし、と羽織でやや軽快に。



さて、ここは長谷川商店。


「カラスにぴったりですよ」
お店の女性スタッフは、出来上がった鼻緒を台にのせて
ほら、いいでしょう。と、にっこり。

私も、念願のカラスだ と、うっとり。



ところが。



鼻緒をすげる職人さんが、ちらと私の新しい鼻緒をみるなり
その女性スタッフに

「銀ねず、銀ねず持ってきて」


えっ、銀ねずって何?


  ↓
  ↓
  ↓



これが銀ねず。
カラスと同じく、竹で編んだものだけど、染料が違うそう。
カラスは炭染めが基本だけど、銀ねずはそこにほかの染料も混ぜることで
畳表とも違う柔らかかつ渋いニュアンスを出している。

「今は、女性ものの銀ねずはほとんどないと思います。
うちもあと2、3足……」

お客さんの鼻緒を見ていたら、カラスよりも合うんじゃないかと思って。
もう決めているようなのに、悪いなと思ったのですが…。と
若い職人さんは静かに、でも自信のある口調で言った。


カラスと並べてみる。

どうでしょう?
写真では、どちらも光のよく当たる高い場所での置き撮りなので
あまり明確な違いがわかりにくいかも知れない。
でも、足元に置くと、カラスはもっと黒く、もっと粋な感じになる。

カラスも銀ねずも、基本的には真夏以外の履物になるが
「今の時期ならカラスもいいけど、銀ねずの方が季節を問わないかも」
女性スタッフもそう言う。

何より、鼻緒の裏に選んだ布の色が、銀ねずと同じような色で、
しっくりくる。
ならば……、と、今回はこのレアな台でお願いすることにした。

(ちなみに、台のお値段は同じでした。*)

通常なら、その場ですぐすげていただけて、持ち帰ることができるのだけど、
この日はたいへん多忙、かつ、職人さんが一人しかおらず、
今日中には無理、とのことで、後日改めて受け取りに行くことに。
(ここではいくつもお願いしていますが、こういうことは初めてでした。
可能なら事前に、たてこみ具合を聞いておく方が、遠方の人は安心かも)


ともあれ、思わぬ展開で、楽しみもまた増えたような
私は来月が誕生月。「自分祭り」に相応しい草履になるといいなあ。



※カラスにすげたい 前編はコチラ

*以前、ここに値段を書いていたのですが、時季により変動があるそうなので
 誤解を避けるために削除しました。目安としては、一般小売価格の半額程度です。

コメント一覧

神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
前回、鼻緒を頼んだ段階では、銀ねずのことは知らなかったのですが、偶然、ぴったりな感じの鼻緒になりました。
花嫁さんの畳表の草履、豪華でしょうね。でも段が高いと重そう…もっとも鬘も衣装も重いですよね。

エア茶会…エア・ギターのノリでネーミング。想像の世界でお呼ばれしちゃいました
風子
銀ねず いいですね~~~、鼻緒もぴったり!
とてもおしゃれな履物になりましたね、これ、どこかで見かけたら おお~って見つめてしまいそう。。。

畳表の草履は昔は高級品だったようです。
花嫁さんのは段が高くて、鼻緒に豪華な刺繍がしてあるものを、資料館などで見ますよ~。

↑エア茶会って「なんだろ?」って記事に」引きつけられました。
神奈川絵美
たにこのさんへ
こんにちは
もし銀ねずお考えなら、長谷川さんに問い合わせしてみてはと思います。
あの場ではセールス的に数を少な目にいっていて、実はまだ余裕があるかもしれませんし。
いずれにしても市中ではあまり流通していないようです。
ハギレで鼻緒って楽しいですよね。完成したらまたアップしますね。
たにこの
ぎゃーっ
絵美さん
銀ねず…あと2、3足!?
早く行かねば感に襲われるのは、私だけでしょうかっ。

それにしても、結城の鼻緒は本当に素敵。
赤のツボも効いていて。
わたしもこの秋はハギレをあさるぞー、と心に決めた瞬間です。
もちろん、これを履いて結城へGo!ですよね。
神奈川絵美
やっぴーさんへ
こんにちは
この日、明るい色の着物を着ていたので、職人さんも銀ねずの方がいいという判断をしたのかも、ですね。
蒔絵に畳表のぽっくり、ゴージャスですねなるほどこういう正装用もありますものね、ホントいろいろですね。
やっぴー
なんか、落ち着く所に落ち着いた感じ
ワタシもカラスよりこちらの方が絵美さんっぽいと思います。
畳表は正装っていうのは分かる気がします。
七五三の時、蒔絵で畳表のぽっくりを親戚から借りて
履かせたのを思い出しました
神奈川絵美
ohaさんへ
こんにちは
私も普段は「カフェ草履」ばっかりという感じで、こちらはたまのお洒落履きになりそうな
そうそう、天然素材はお手入れや保管に気を遣いますよね。私も、夏素材のものは危ういかも…
oha
素敵
こういう知識が無いので本当に新鮮です。
結婚式の3時間程度履ければいいとか、
次に履くときはいつかわからないので
かびさせたり、その辺のウレタンでいいや
とおもっていた私にとって、また興味が
広がりました。
神奈川絵美
オンブルパルフェさんへ
こんにちは
カラスも銀ねずも、長谷川さんが言うには「今、まさにこの時期が一番」なんだそうです。
基本は薄物の時期以外ならいいみたいですよ。
私も、銀ねずなら、単衣までは余裕で履くと思います。トルファン綿の着物に合わせたいですし
オンブルパルフェ
かっこいい
http://ameblo.jp/herend-tarte/
かっこいい!!て感じです。粋な感じですね。この台は、どんな時期むきなのですか?初心者質問で申し訳ございません。写真で見ると涼やかにも見えるのですが、夏はだめなんですね。うーん。お着物って約束事が難しいけど、考えたり覚えたりが楽しいですね。
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは
いや私もネ、大きな声では言えないんですがうまく履きこなせる自信が今ひとつなんですよ。
おっしゃる通り、滑ったり「ばったん」歩きになったりしそうな気も。
そして、確かに木台では正装には不向きですよね。長谷川さんにあるのは総畳の7段(!)とか5段でした。
出来上がったらまた、アップしますね
Tomoko
こんにちは。写真で拝見すると、私も銀ねずで正解と思いました。よかっですネ。なんだかそちらの方が絵美さんらしく思いました。
むかし銀座の「ぜん屋」さんで総畳表を誂えましたが、私の足には大き過ぎるし重いし、しかも真冬に履くと足袋裏が乾いているせいかすごく滑るのです。鼻緒をキツくしてもダメで、スネの筋肉に無理がきて、結局私よりも背の高い知人が欲しいというので差し上げました。木台に貼ってあるものの方が軽くて、そっちが流行るワケですね。
でも、木台に貼ってあるものは正装履きにはやめた方がよいのでは?総畳表に錦の鼻緒でしたら、そういう例もお見かけしました。かなり個性的な装いになりますよ。稲葉賀恵さんなどもそうした組み合わせでよく紹介されていました。(でも、あーゆー方だから似合うんですよねえ~)
いずれにしても、私みたいなチビにはなかなか手強い履物です~。バタンバタン歩きに懲りて、すっぱり諦めました。
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
私もよく知らなかったのですが、長谷川商店の女性スタッフによると、(染めていない)畳表も真夏には履かないものだそう。「パナマの時期と混同する人が多いのですが、畳表もカラスも夏には重い」とのこと。
あと、話はまた別なのですが、畳表は鼻緒次第で留袖にもOKなんですって。ちょっと想像がつきにくいのですが・・・。
りら
すてきぃ!
銀ねず、素敵です!!
稀少というのも良いですけど、お誂えの鼻緒にピッタリですねぇ。
こういうお楽しみがあると、お出かけの楽しみもひとしおですよね!

カラスも銀ねずも真夏には履かないものなのですか?
通常下駄女のくせに、知りませんでした。
染めていない表だったら真夏でもOKなんでしょうか?
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