神奈川絵美の「えみごのみ」

たゆたう夕べ

着物友達のTKさんが、
宮内庁式部職楽部による雅楽の特別公演に誘ってくださった。


4年に1度という、たいへん貴重な会だ。

着ていくものに、決まりはないが、
何となく京風を意識して、

梅と花筏が配された、アプリコット色の附下に、変わり七宝の帯を
合わせてみた。
帯締めは、意外と早く出番がきた「くのや」さんのもの。
帯揚げとも、梅の色を意識して……。


後ろと裾はこんな感じ。


お声掛けくださったTKさんは

プラチナボーイの生地を使った、山岸幸一さんの紅花紬に、
この日を待っていたと言っても過言ではない、雅楽の帯。


着物の生地のアップ。光源が足りず写りが今一つだけど…
実物はもっと薄く柔らかなクリームイエローベース。


そしてもうお一方、ご一緒くださったのは
TKさんのお友達のNさん。

絣が可愛らしくも、また現代風にも見える長井紬に
藍染めの帯。帯地はぜんまい紬だそう。


お襦袢に注目! デザイン化されたペンギンが…!


さて、舞台はこちら。

なかなかこういう舞台を見る機会はない。
休憩時間と終演後に撮影可だったのでパチリ。
向かって左の太鼓が龍の三巴、右の太鼓が鳳凰の二巴。
龍の上には太陽を、鳳凰の上には月を表すオブジェ(日形、月形)が
つけられている。

人が入ると…

(パンフレットより)

舞楽では、「春庭花」(写真。パンフより)、「貴徳急」、そして
「八仙」が披露された。


残念ながら私は勉強不足で、これらについて多くは語れない。
素人ながらにぐっと興味を引かれたのは、舞人の装束や面だ。
特に、「八仙」のそれらは衝撃的といっていいほどだった。

パンフレットには次のような説明が…
  「(前略)鶴をかたどった面の くちばしの先には鈴がつけられ」



その面がコレだ
   ↓
   ↓


うーむ、ファンタジック。


装束も、鯉の刺繡に網がかけられたもので、
遠目からでも、鯉がゆらゆら何匹も泳いでいるさまがわかる。
これだけ意味深な面と装束なのに

「由来等の詳細は不明です」(パンフより)というのも
素人にとっては摩訶不思議だ……。


音の方はといえば、
笙やひちりき、笛の音は「一糸乱れぬ」と言ってもよく
互いに調和し溶け合って、高みにつーっと昇っていくようで
心まですーっと澄んでいくよう。
例えば小川のせせらぎに、心が洗われると言うのとはまた違う
何か神々しいものに導かれるような感覚。
私はつい、伝統芸能で眠くなることを「たゆたう」と
オブラートにくるんで言ってしまうが、
この日は、眠くなるのとはまた違う「たゆたう」気分を味わえた。


それはとても心地良くて、また
面や装束の「不思議さ」にも大いに惹かれ、

終演後のロビーで本まで買ってしまった。
写真中心で、あまり厚くない、ビギナー向けの解説書。
次はいつ、雅楽や舞楽に触れられるかわからないけれど、
少しずつ勉強していこうかな。




※八仙の面は東儀俊美著『雅楽神韻』より

コメント一覧

神奈川絵美
訂正です
上のstraycatさん宛てのコメントですが、一部訂正します。
記事中で紹介した書籍(『雅楽への招待』小学館)によると、雅楽には、由来別に大きく三種類あるそうです。
1.日本に古来から歌い継がれているもの
2.5~10世紀ごろ中国や朝鮮半島、ベトナム、インドなどから渡来したもの
3.11世紀ごろ日本の宮廷貴族によって生み出されたもの

なので、おおもとがすべて中国や朝鮮半島から伝わったものではない、ということになります。まだまだ勉強不足で誤解を招く記載、すみませんでした。
神奈川絵美
straycatさんへ
こんにちは
雅楽、舞楽、想像以上に素晴らしかったです

そうなんですよ、この面、鶴というより…うーんホントにシュールですよねぇ。
パンフによると
「中国に伝わる伝説の山の仙人が、帝の徳を慕い来朝し、鶴となってこの曲を舞った」とあります。舞うときに鳴る鈴の音は、鶴の鳴き声をあらわすとも伝えられているそう。

雅楽、舞楽もおおもとを辿れば大陸や半島から伝わったものなのですが、お友達の話によれば、中国は長い歴史の中でこれらの素地はすっかりなくなったも同然で(文化大革命もありましたし)、今、こうしたものを学ぶために中国から人がこちらにいらっしゃるそうです。
日本は古いものが(中国等から伝わったものも含め)、途中戦争などがあってもそれを乗り越え、多く残っているんだよなあと改めて、思い知りました。
straycat
絵美さん、こんにちは♪

ついに雅楽体験されたんですね!
笙やひちりきの音色、一度生で聴いてみたいです。
ところで、この面、鶴というより・・
鈴のついているところも何だかシュール
日本人なのに何だか遠い存在なのが、考えてみるとちょっと不思議ですね
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは
ライブの舞楽、想像以上にスケールたっぷりで、心地よかったです
非常にゆーっくりした舞ですが、だからこそ身体のバランスや筋力が必要なんだろうな、と思いました。
火焔太鼓の帯、ステキですよねー。Tomokoさんもきっとこういうモチーフ、似合いますよ
Tomoko
こんにちは。
雅楽はまだライブで観たことがありません。先日、TVで厳島神社の禰宜の方が、松山ケンイチの前で舞方の所作をチラリとなさったんですが、腰の落とし方がまるで違っていてすごくカタチよかったです。
お着物、春めく装いですね~♪ご同行の方の火焔太鼓がなんとも決まってますねえ!私が火焔太鼓をもし纏うなら・・・と妄想すると、落語のパッパラパーになりそうです~。
神奈川絵美
Miwakoさんへ
こんにちは
こちらは相変わらずぐずぐず寒い日が続いているのですが、だからこそパステルが着たくなる…かも

>グレーや茶系(金糸)の帯
わー、いいですね。私今は、あんまりはんなり系の帯はもっていないので、今後のお買いものの参考にさせていただきますね

和文化は広く浅くでかじっているだけですが、それでも心に余裕が持てたり、精神的な癒しにもなっったり。いいですよね
神奈川絵美
すいれんさんへ
こんにちは
伊勢神宮での雅楽とは、さぞ神々しかったことでしょうね。
今回、この催しは浅草公会堂だったのですが、神社や皇居での雅楽、舞楽にも行ってみたくなりました。皇居は抽選で競争率がたいへん高いそうですが…。
神奈川絵美
sognoさんへ
こんにちは
うまい言葉が見つかりませんが、まさに「別世界」。荘厳でありながらも包容力のある、優しい空間と音が広がっていました。
お声掛けくださったお友達に感謝、感謝です。

ホントご一緒くださった方のお召し物は上級者スタイルで、眼福でした
Miwako
雅ですね~
はんなり、春色コーデ素敵ですね!
絵美さんにはパステルカラーがお似合いと思います。

グレーや茶系(金糸)の帯も、この着物のお色にはいいんじゃないか、と思いました。何でもあわせやすいのでしょうね。

着物のご縁で、和文化にも傾倒されていかれる様子、興味深く見守っています。
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
私は雅楽、伊勢神宮で経験しました。
なんとも神聖で、厳かでした。
神様って本当にいらっしゃるんだ・・と、神楽殿で感じました。
おっしゃる通り、装束が凄いですよね。
世の中が変化していっても、変わらないものがあるんですね~。こういう文化、芸能が継承されていることに驚くと共に、日本人として誇らしく思いました。
sogno
http://riposo77.exblog.jp/
先日、東儀秀樹さんの番組をみたばかりだったので、とても興味深く読ませていただきました。お写真を拝見しているだけでも、衝撃的!
良いモノを観られましたね~
絵美さんのはんなりスタイル、ため息~ ♪
ご一緒された方たちも皆素敵ですね。
神奈川絵美
やっぴーさんへ
おお、そうでしたかっ
やっぱり、この時期って春を待つ気持ちが出るのかどうか、アプリコットピンクに呼ばれるのかも
黒もぱきっとコントラストがついて、いいですよね
やっぴー
リンク~♪
絵美さんっ、奇遇ねえ (^-^)b
ワタシ前日アプリコットピンクの小紋でしたわよ。
もっとも帯は黒地の染めでしたけど(笑)
なんとなく同じ色目で嬉しくなりました
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