神奈川絵美の「えみごのみ」

小さな痛み


先日、平置きでご紹介した一揃いを……。



さっそく、着てみた。
このとき、午前7時前。

いくら着物好きな私でも、朝5時台に起きてまで
着物で仕事に行こうとはなかなか思わない。
でも、この日は張り切るだけの、ちょっとした理由があった。

先方とは約4年ぶり。
前回取材でお会いしたとき、彼女は嬉しそうに
「結婚することになったの」とサプライズの報告をしてくださった。
その後まもなく、新橋の名のある料亭を借り切って
新郎新婦とも着物姿で披露パーティをする、と案内までいただいていた。
その日はどうしても都合がつかず、失礼してしまったのだが
一連の会話から、彼女が着物好きであることはわかっていたから……。


でも。


とても久しぶりの再会となったその医師は
朝なのに乱れ気味の髪もそのままで、やせて、疲れているようだった。
「あ、…お着物、普段から着ているの?」
最初に一言、声をかけてくださったけれど、
反応は薄く。

聞けば彼女は震災以降、岩手のある町に診療所を開き
東京との間を往復しながら、ずっと被災地の方の治療を続けているそう。
この日も、その町から直接きたと言っていた。
「そうでしたか…現地は、どうですか?」
  「復興はぜんぜんですね…。(その町は)まだほとんど手つかずのようなもの」


もちろん、疲労の色はあっても、
私たち取材班のインタビューに明快、丁寧に答えてくださり、
和やかなうちに仕事は終わったのだけど、
“そういう状況”をここ関東圏にいる私たちは
忘れていたり、実感できていなかったり、しているのではないだろうか。
張り切って、着物を着てきた私の胸に、小さな痛みが走った。


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ランチは丸ビル内の「ななは」という日本料理店で。
サバ味噌煮と温野菜のセット。


その後、次の取材との空き時間で
三菱一号館美術館にて開催中の、ルドン展へ。


これが、今の私の生活だ。
でも、何か他の選択はないのだろうか?

コメント一覧

神奈川絵美
すいれんさんへ
こんにちは。
このことだけではないのですが、どうも私は
迷いがあると人一倍気弱になってしまうようです。
でも、迷うだけではおっしゃるとおり、
周囲も迷わせてしまうかもしれませんものね。
アドバイス、ありがとうございました。
すいれん
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
絵美さんのお気持ち、良く分かります、私も何やってんだろうと思うこと、よくあります。
でもそんな時は心を落ち着けて、自分の心の中を見るようにします。自分の中心にしっかり立ち、感謝や言葉を意識します。不安や同情はさらなる不安や同情を生みます。
だから私達が出来ることは、良い想いを持つこと、良い言葉を発すること、ではないでしょうか?後は出来ることを少しづつ。
絵美さんは、十分 貢献していると思いますよ。
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは。
海の向こうでも、国籍の違う方が心を痛めていらっしゃるのですね。
私も、時折、ニュース映像で見た津波の場面がフラッシュバックのように思い出されると、痛みというよりは、ぞわぞわします。
敢えて「小さな痛み」としましたが、
今でも、小さなどころではない方がたくさんいらっしゃることも認識しています。
私も、生活をしなくてはならない、でも
その中で、もっと当たり前のように、些細であっても支援の行動が根付いていれば、迷いも少ないのかな。
気持ちばかりが焦るような気もしています。
りら
つい先ほど
先週ブログに出てもらったお肉屋のおじさんと話していましたら・・・・
「去年の津波は大変なことだったねぇ。私たちも心が痛んだよ。」と言われたんです。
まだまだ大変な状況は続いているし、終わったことではないんですよねぇ・・と話してきました。
米国にも、日本のことが話題になるといまだに心配を口にしてくれる人もいるんですよねぇ。

今の私にできること・・・私もまたもう一度考えてみようと思います。
神奈川絵美
オンブルパルフェさんへ
こんにちは。
>小さなことでも継続的に
大事なことですよね。何かコツコツとやれることを、もっと探せたらいいかなあ。

>きれいや、素敵や、にこにこは、心が幸せに
そうですよね! できるだけ、にこにこを発信していこうと思います。
優しいお言葉、ありがとうございました。
神奈川絵美
misalynさんへ
こんにちは。
温かいアドバイスをありがとうございます。
少しずれるかも、ですが、
自分を大事にできないと、
人も大事にできないとよく思います。
日々過ごす中で自分の生き方を大事にしながら
人に対してできること、へのアンテナを
常に張っていられたら、と思っています。
神奈川絵美
RUBEさんへ
こんにちは。
>着物を着ている姿をみて心和やかになる
そう言っていただけると、ほっとします。
ありがとうございます。
そうですね、忘れることなく、できることを
やっていきたいと思います。
オンブルパルフェ
http://ameblo.jp/herend-tarte/
絵美さま。こんばんは。
小さなことでも継続的に。一歩進められるように。と思っております。ずっとそっちに行ってあげたくてもこっちにもいないと色々な人が困ってしまう。多くの人が、そんな状態かも。でも、そんな人たちも思いは一緒だと思うのです。だから、忘れずに、一歩ずつ。私も葛藤の中自分に出した結論です。
そして、楽しいことを発信してくださいませ。きれいや、素敵や、にこにこは、心が幸せになりますもの。
絵美さん見習って結城に染帯。です。
misalyn
被災した方にお目にかかった時に「あ…私(地震のこと)忘れてたな」と思うことがあります
その瞬間心が痛んだり自分の日常を思い出して後ろめたい気になったりしますが
今、ここで生きていることが私にとっての現実だから・・・

“今”を精いっぱい生きていれば良い と思うことにしました
仕事も頑張るけど、やりたいことは後回しにしないでやる
楽しむときは大いに楽しむ
親や友達を今まで以上に大切にする

そして、お手伝いできることがあるときにはお手伝いする
ずっと被災した方に寄り添うことはできないですから
自分のできることをする
そういう気持ちを忘れなければ良いと私は思います

絵美さんのお仕事は、それ自体が人のためになるものですから
心の痛みは「誰かのための絆創膏」を作る糧になったんじゃないのかな?
(偉そうに… ごめんなさい<(_ _)> )
RUBE
いろいろ
絶対に忘れることはできないし、これからだってまだまだどうなるか…

着物を着ている姿をみて心和やかになる人もいます。だからそんな風に思わずに。

素敵な帯ですね
神奈川絵美
やっぴーさんへ
こんにちは
おお、プチチャット状態
そうですね。そして「できること」の可能性や選択肢をもう少し広げられたら、と思います。
やっぴー
あぁ、あの方かしら?と思いを巡らせております。
ほんとに頭が下がります。

それぞれ…出来る時に出来る事をする、そして忘れない。
それでいいと思っております (-人-)合掌
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