さて、静嘉堂文庫美術館を後にした私は
ほぼ斜め前にあるといっていいくらいご近所の
三菱一号館美術館へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/ab/b9e736c9e4d204d65943d110ec04299b.jpg)
これからは「はしご」ができる!と喜んだのもつかの間
こちらは4月上旬で一時閉館し、改装を経て来年秋に再開するそう。
雰囲気の良いロケーションだっただけに残念…
というわけで、標題の明治を代表する浮世絵師の展示が
改装前最後の企画展。
浮世絵って江戸の文化、と思われがちですが
以前観た遠州周延しかり、明治にも活躍した浮世絵師はいて
時代や世相を反映した、江戸時代とは一味違う作風が印象的。
今回の二人もそう。
歌川国芳に師事し、30代半ばで明治を迎えた二人は
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/55/06153195bb934bd76ccf0e4cb473e247.jpg)
歴史画とか(こちらは曽我五郎)、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/7d/f80f0a3dcc417382c56a89a5ca9fdaf8.jpg)
新聞に寄稿。
ゴシップっていっていいのかな…一連のシリーズを見ていると
遊女につきまとい、殺してしまったとか
浮気現場を見つかった奥さんが、旦那さんに追い出されたとか
70歳台の男女が知り合い駆け落ちするも、途中で男性が急死したとか
現代のそういう類の媒体も真っ青になるくらいの、すごいテーマの絵がズラリ。
でも…この二人、本当にこの仕事、したかったのかなあ。
写真撮影可の作品の中で、私が気に入ったのは芳年が描いたコチラ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/d0/a1886e82d86fff4c533eecfc4840f2b7.jpg)
笛の名手 藤原保昌が笛をふきながら歩く後ろを
つけ狙う強盗。でも保昌は一分の隙も与えず、強盗は動けず…の絵。
線の細さや、顔立ちがもう、江戸時代の浮世絵とはぜんぜん違って
(これ、浮世絵のジャンルではないのかな)
むしろ現代の劇画、漫画のようなイメージ。
ということで
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/80/dc66b11df13f60a6cd78d2c20c7f5407.jpg)
詳しい情報は失念しましたが、漫画とのコラボも
しているようで
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/54/4975fa2ea2158f85be6b78dcd807fb6d.jpg)
一応、記念撮影しておきました(笑)。
撮影不可の作品のうち、
戦国時代の武将を肖像画のように、一人ひとり衣や鎧、武具も含めて
細密に描いた画集がとても見ごたえありました。
思うに、誰がどんな格好をして…というのは口伝でしか残せず
なので講談師が活躍する場が江戸には多くあったのだろうなあ、と。
(今回もイヤホンガイドは講談師の方が担当)
明治時代は、確かに浮世絵は衰退に向かうといってもいいのですが
それまでは禁止されていた大奥の様子を描いてもよくなったり、
こうした歴史画や新聞に活路を見出したり、多様な活動ができたのは
今こうして、その貴重な財産である作品を観られる私たちにとっては
良いことだったな、と思ったりします。
なかなか気合の入った、そして結構、撮影OKのエリアも多く
サービスの良い展示でしたので、ご興味ある方はぜひ。
公式サイトはコチラです。