神奈川絵美の「えみごのみ」

明治のゴシップ? 芳幾&芳年

(前回の続き)
さて、静嘉堂文庫美術館を後にした私は
ほぼ斜め前にあるといっていいくらいご近所の
三菱一号館美術館へ。


これからは「はしご」ができる!と喜んだのもつかの間
こちらは4月上旬で一時閉館し、改装を経て来年秋に再開するそう。

雰囲気の良いロケーションだっただけに残念…

というわけで、標題の明治を代表する浮世絵師の展示が
改装前最後の企画展。

浮世絵って江戸の文化、と思われがちですが
以前観た遠州周延しかり、明治にも活躍した浮世絵師はいて
時代や世相を反映した、江戸時代とは一味違う作風が印象的。

今回の二人もそう。
歌川国芳に師事し、30代半ばで明治を迎えた二人は


歴史画とか(こちらは曽我五郎)、


新聞に寄稿。
ゴシップっていっていいのかな…一連のシリーズを見ていると
  遊女につきまとい、殺してしまったとか
    浮気現場を見つかった奥さんが、旦那さんに追い出されたとか
      70歳台の男女が知り合い駆け落ちするも、途中で男性が急死したとか
現代のそういう類の媒体も真っ青になるくらいの、すごいテーマの絵がズラリ。

でも…この二人、本当にこの仕事、したかったのかなあ。

写真撮影可の作品の中で、私が気に入ったのは芳年が描いたコチラ。

笛の名手 藤原保昌が笛をふきながら歩く後ろを
つけ狙う強盗。でも保昌は一分の隙も与えず、強盗は動けず…の絵。

線の細さや、顔立ちがもう、江戸時代の浮世絵とはぜんぜん違って
(これ、浮世絵のジャンルではないのかな)
むしろ現代の劇画、漫画のようなイメージ。

ということで

詳しい情報は失念しましたが、漫画とのコラボも
しているようで

一応、記念撮影しておきました(笑)。

撮影不可の作品のうち、
戦国時代の武将を肖像画のように、一人ひとり衣や鎧、武具も含めて
細密に描いた画集がとても見ごたえありました。
思うに、誰がどんな格好をして…というのは口伝でしか残せず
なので講談師が活躍する場が江戸には多くあったのだろうなあ、と。
(今回もイヤホンガイドは講談師の方が担当)

明治時代は、確かに浮世絵は衰退に向かうといってもいいのですが
それまでは禁止されていた大奥の様子を描いてもよくなったり、
こうした歴史画や新聞に活路を見出したり、多様な活動ができたのは
今こうして、その貴重な財産である作品を観られる私たちにとっては
良いことだったな、と思ったりします。

なかなか気合の入った、そして結構、撮影OKのエリアも多く
サービスの良い展示でしたので、ご興味ある方はぜひ。
公式サイトはコチラです。

コメント一覧

kanagawa_emi
香子さん、こんにちは!
ふふ、芳年の幽霊画、安定の怖さでしたね~。
確かに国芳の方が、独創性にはより優れているのかなという
気はしました。
香子
なんとかワタシも会期終了前に滑り込んで来ました。
芳年大好きなもので〜♪
でもやはり師匠には及ばないんじゃね?と思いました(笑)
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