ご一緒したKKさんは
さわやかな白大島にこれまた涼感あるモノトーンの薔薇帯。
人形遣いの吉田蓑助さんが大阪でご引退されたので
そのお知らせの横で。
終演後にグランドアーク地下の和食屋さんで
黙食ランチ。このようにクリアな仕切りがあります。
ほんのり自分の姿が映って、ちょっと話がしにくかったです
さて、文楽の演目には
現代の価値観では受け入れかねる不条理な物語がたくさん
ありますが、
今回の第一部「心中宵庚申」も、癇癪もちの姑に嫌われ
離縁された嫁が、お腹に子を宿したまま夫と心中するという、
救いのなさ。
セリフもハラスメント満載で、8年ほど文楽を見続けている私も
昔よりちょっと嫌悪感を抱いてしまうようになったかも…。
それだけ、今の社会が変わってきているということかな。
とはいいつつも、語り始めの
「五月雨ほど恋ひ慕はれて、今はあき田の落とし水」の文言が
あまりにうまくて、きれいで、
さすが近松、と冒頭から感心してしまいました。
「上田村の段」は人形の動きが少なくて
オール黒子での舞台。
その分、床で勝負…なのですが、もともと節回し(というのかな
メロディーのようなもの)が少なく
千歳太夫さんの語りも朗々というよりはくっ、くっと押してくるような
感じで、こちらの胸が詰まるよう。
でも、それがこの段の、重苦しい舞台に合っているんだろうなあ、と。
富助さんの低い、ぼろんと余韻を残す音も印象に残りました。
「八百屋の段」は冒頭、笑わせる部分もあり
私の好きな呂勢太夫さんの語り分けが活き活きしていました。
(特にあの姑のイライラ加減、意地の悪さ! あの語りが
憎らしくないと、主人公たちへの共感が減じてしまいますよね)
呂勢さん、私は今回ご病気回復後初鑑賞でしたが
以前よりも声に「弧を描く感じ」が出てきて、
一層、気持ちよく聴けるようになった気がします。
なんかこう、押し相撲だけでなくて投げもうまくなったというか。
そして今回も、清治さんとのペアはばっちりでした。
見台、オペラグラスで一所懸命見たのですが
よくわからず…。
花菱のような柄がランダムに配置されていて、個性的な台でした。
この段と、
最後「道行思ひの短夜の段」はやはり勘十郎さんに目が釘付け。
人を疑うことを知らないピュアなお千代の
喜びと悲しみの表現が見事で、
本当に、人形でありながらその場その場の感情だけでなく
もともとの気性まで表現できるってすごいなあ、と
感心するばかり。
床も、清丈さん(丈の右上に点)、團七師匠、
咲寿さん(お顔が小さい!)、希太夫さんが見られて嬉しかったです。
帰りすがら
「あの姑に、どんな天罰をくだそうか(!)考えちゃいます―」
嫁が後継ぎを身ごもっても平気で離縁できちゃうものなのだろうか。
そもそも養子の元武士 半兵衛は、どうして武士から町人に
なったのか、とか、
モデルとなった事件があったそうですが、今ひとつ内情がわからず
すっきりしない演目でした。
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