神奈川さん、見てください。きれいな満月ですよ
仕立て上がった着物のことでやりとりしていた
山本きもの工房の山本秀司さんから
こんなメッセージを、タイムリーにいただいた。
慌てて上階のベランダへ。
まるで夜空の向こう側に、
まばゆいばかりの「別世界」があるよう。
たまたま開いた空の穴から、見てはいけない光がもれたような。
そこで思い出したのが、この歌。
Old devil moonとは、
私も最近まで知らなかったが、見た人を一瞬で落とす
恋の化身のようなものの例えだそう。
もともとはミュージカル中の歌で(1947年「フィニアンの虹」)、
男性が腕に抱いた女性に対し
「君の瞳を見たらOld devil moonが映っていた。僕はもう君に夢中だ」
という感じで口説くナンバーだ。
でも、ジュディ・ガーランドのこのテイクからは、
受身でうっとり・・・ではなく、
恋を踏み台にスターダムへのし上がる、女性の強さがにじみ出ているように
思えてならない。
薬物過多が要因と思われる死の、数年前の映像だ。
ショービズの中で壮絶にもまれた彼女が
それでもスターであり続けるために堂々と歌うOld devil moonは
声量も豊かで華やかだけど、痛みも伴って何だか重い。
1993年に発表された、伊藤君子さんのテイクだ。
スタンダードなジャズ好きには、違和感があるかも知れない。
というのも、これは典型的な(私はそう思っている)フュージョン・アレンジ。
軽快で小粋、都会的-
こちらも「強い女」のイメージだけど、
ジュディのテイクとは違い、
言い寄ってくるチャラ男を余裕でいなして、私はそんな安っぽくないのよと
恋よりも仕事やほかのことに生き甲斐を見出している、
そんな女性像が浮かんでくる。
男性像の今昔について語るのは差し控えるが
こと女性に関して、「女は強い」と言われるその中身は
時代とともに確実に、変わっているのだろう。
※31~11/1にいただいたコメントの公開とお返事は少し遅くなります。ご了承ください。