神奈川絵美の「えみごのみ」

危ない架け橋

花屋の熊ゴロー兄ちゃんが今週セレクトしたのは…。


シーズンを迎えたリンドウに、クルクマに、グラジオラス。
何ともオリエンタルな雰囲気だ。
グラジオラスの花言葉は「忍び逢い」「情熱的な恋」だそう…はー夏だわぁ


そんなドラマとは無縁な私はこの日も、
ぎりぎり宮古に島仲さんのミンサーをきりりと締めて。
(屋内で撮ったので画像暗めです)


向かったのは大阪。
新幹線の中は浮かれ気分の子どもたち、楽しそうな家族連れ。はー夏休みだわぁ
日帰りで取材をしてきた。

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(すみません、以下小難しい独りごとになってしまいました…
読み流してください)

きちんとカウントしていないが、
ここ10年ほどで取材した医師や実践家の数は
400人近くになるのではないだろうか。
テーマが深くなればなるほど、業界の構造や力関係のようなものに
気をつけないと、偏った論調の原稿に陥る危険性が増す。

例えば
割と最近、米国の予防医学作業部会というところで、
40代のマンモグラフィ検査の推奨度が引き下げられたというニュースが走り、
某編集部内でも、どう捉えるべきか少し議論の対象になった。
今はインターネットが発達しているから、
こうしたニュースは通信社からダイレクトに、サマリーの形も多いが
一般の方に簡単に届くようになっている。

しかしこのニュースを、「私の立場で」咀嚼するには、
米国の40代での乳がん発症率、および検診をすることによる
死亡率減少への貢献と対医療費効果
被曝問題に取り組む団体の動き、などの要素が絡んでいることを
一通り頭に入れておく必要があると思っている。

詳述はできないが、病気の治療法の変更や
新しい治療法の開発一つにしても、
それが本当に患者さんのメリットになるのか(従来よりメリットが多くなるのか)
エビデンスは? 利益供与は? 関連団体(企業)は?
私は常に冷静な目で見ようとしている。
そしてしばしば、ぱっと見のよい話題性を求める媒体とぶつかったりもする。

企業出版に関わることも多々あるが、決して「良いこと」一方だけの
広告のような文章は書かない。
メリットとデメリット、効果と限界を明らかにすることが、
読み手への誠意だと思うのだ。

そういう立ち位置の人は、実はまだ日本にあまり多くはない。
医療、医学情報を発信したい側と、受け取る一般の方との間を
つなぐ仕事だが、私個人の力不足があることもじゅうじゅう承知の上で
つくづく「危ない架け橋」だと思っている。
米国における公衆衛生学のような専門教育を受けておらず
実践また実践で積み重ね、今なお手探りな部分も多い。
(それでも必要とされるのが、今の日本におけるこの仕事の位置づけを
あらわしていると思う)
フリーになって11年目、医学にフォーカスし始めて7、8年になり、
テーマが深くなったり人脈が広がったりするほどに、
政治的な要素も絡み始めている。
(何度も書いているが)職人気質で決まったグループに属することに
無頓着な私が、この先やっていけるのかどうか不安もあるのだけど、
人の役に立つと信じている限りは、力不足だろうが不器用だろうが
このまま、転がり続けるのが私の道なのだろう。

コメント一覧

神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは そうだったのですね!明るい前途になること、お祈りいたします。
私はそうでもなかったのですが、結構、元の職場の縁を大事にしてやっている人もいますし、独立といってもさまざまなスタイルがあると思います。
私など、最初はなりゆきや勢いだけでやっていましたから(笑)、あまり気負わずに…何より大切なのは、「病気をしないこと」です。本当に。体を大事にしてくださいね。
はつき
時間がたってしまいましたが
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
一度拝読して、自分なりにきちんと咀嚼したいと思い、コメントを残さずにおりました。
実はいま、独立の計画をしているところです。フリーになったら組織には頼れないから自分がしっかりしなくてはとわかっていても、絵美さんの日記を読むと、想像している以上に自分をしっかり持ち、成長させていかなくてはならないということにめまいを覚えるほどです。自分自身の覚悟を問われる日記でした。ありがとうございます。
神奈川絵美
かんなママさんへ☆
こんにちは 心強いお言葉ありがとうございます! 
>多くの情報から、選択をする
これが本当に重要ですし、また難しいところでもあると思っています。私としては、メディアで結論を出すのではなく、個々人が自分にとっての適解を出すための「考え方のガイド」ができればなあと思っているのですが…まだまだ力不足で

今は、立場はフリーでもいくつかの出版社と都度契約しながらの仕事なので、どうしてもその出版社の「色」はついてしまいます。ただ、だからといって言いなりになるのではなく、結構意見したりぶつかったりしながらやってはいます。この分野、まだまだ成熟していませんので、いいものがつくれるよう、版元と知恵を出し合いながら日々進めているところです。

>読み手側の責任
そうですよね…。まあでも(言葉は悪いですが)まやかしみたいな情報も現実には多かったりするので、錯誤にならないよう、気をつけないとなーと思っています。
かんなママ
フリーの立場なればこそ!です。
絵美さん、こんにちは!
特に医療関係の分野になると、一般の読み手側は、少なからず「切羽詰まった」ところにいるわけです。多くの情報から、選択をする時に、「デメリット」の部分は、特に重要になってきます。(私の場合はそうでした。)
どこにも属さず、フリーの立場なればこそ、発信できる情報もあるのではないでしょうか?
一般の読み手側はそういう記事を求めていると思います。
沢山の情報から、何を選択するかは、読み手側の責任。
どうか、頑張って下さい。
神奈川絵美
りらさんへ♪
こんにちは 情報を発信する仕事って、どのような分野でも(例えばファッションでもアートでも)たいへんな部分はありますし責任も伴いますが、医療・健康の分野は人さまの心身やときに命に関わる情報が多いということもあり、いっときのブームのようなものにあまりのせられたくはないな、と思っています。
結構、玉石混合で・・・医師の信条や立場によって見解が180℃違ったりするので、その中から適解を導いていくのは正直、タイヘンです。

医学、医療は数学のように正解があるものではないな、とつくづく思います。生身の心身を診ているのですから当然なのですが、一般からはとかく正解を求められがちなので、それも悩むところです。

すみません一方的に・・・。お言葉嬉しかったです。ありがとうございました
りら
冷静に・・・・
医療について・・・というのは難しい部分もあるのですねぇ。
いつもお仕事のことを書かれているのを拝見しては、頑張ってらっしゃるなぁと思っていましたが。

「冷静に」大事なことですよね。
フリーでお仕事されるのは大変なこともあるでしょうが、その分捕らわれないで済むという利点もあると思います。

どうぞ、これからも読み手が信頼できる記事を書き続けてください。
神奈川絵美
Mrs.bordeauxさまへ♪
こんにちは コメントありがとうございます
そうですよね、会社など組織に所属していますと、「しがらみ」もありますし、「派閥」も…私も10年前までは会社員でしたので、よくわかります。
もしかしたら、独立独歩なスタイルがいつか裏目に出てしまうこともあるかも知れませんが、フリーでいるからには、自分のやりたいことがやれる環境に身を置きたいなあと…。

偉そうに、なんてとんでもない!
励まされました。
どんな出来事もいつか、人生をつくるですわよ。ウフフ、Mrs.bordeauxさまならわかっていただけますよネ。
温かいお言葉、ありがとうございました
神奈川絵美
風子さんへ☆
こんにちは 本当にお暑うございます…。
いやいや、風子さまにそう言っていただけると、ホント心強いです。
今日も実は、対策型検診の若きリーダー的な医師に話を伺ったのですが、いやはや現状は…マスメディアに何ができるんだろう、とずっしり重いものを背負って帰ってきました…。

でもまあここは、私がやらねばくらいの気概を持って、進むしかありませんよね。
温かいお言葉、ありがとうございました
神奈川絵美
Tomokoさんへ☆
こんにちは お、南の島から戻られましたか、お帰りなさい!
おっしゃる通り、フリーって「立ち位置」をどうしようか悩むときがありますよね。自分の進む方向性がばしっと決まっている人なら迷いはないのでしょうけれど…。
10年以上経つと、そろそろ「流される」感じは卒業したいと思いつつ、やっぱり求められるまま応じてしまったりします。
でもこうして、立場をわかってくださる人がいるとわかるだけでも、励みになりますし、きっと大丈夫!だと思います。
ありがとうございました
風子

http://blog.livedoor.jp/fuko346/
こんばんは、暑い日が続きますね。

まったく立場は違い、私は仕事をしているわけでもないけれど、絵美さんのお悩み(?)は
わかるような気がします。

自分のゆく道。
いいのだろうかと時に疑いながら、それでも、その道を行くしかありません。

その先に、望む場所がありますように、、、。

神奈川絵美
yuelinさんへ
はじめまして 拙ブログにお越しくださいまして、またコメントをお寄せくださり、ありがとうございます
何だかスミマセン、ぼやきみたいなこと書いてしまって・・・気持ちはいつもそうありたいのですが、なかなか力が伴わないもどかしさもあります。
またお着物着て、気分を一新したいと思います
yuelinさんのお言葉に励まされました。
ありがとうございました。またよかったら遊びにきてくださ~い
Mrs.bordeaux
Fight!
http://mrsbordeaux.at.webry.info/
絵美様、またお邪魔します
政治やマスコミをはじめ多くの業界や分野でも見られますよね、こういうの。
私の勤務する会社でも派閥やどうにも出来ない目に見えない強い力関係があったりしてなかなか逃れることができません
どこにも属せず自分の信じる道を突き進む絵美さまを応援しています
負けないで。(何も分かっていないのに、偉そうにすみません)
Tomoko
きっと大丈夫
http://okakara.exblog.jp/
こんにちは。
毎日暑い日が続いてますが、お着物をよくお召しで、
きっと見ている方達にも一瞬の涼を感じさせていることではないかと思います。
たとえ、どんなに着ている方は汗だくでも(笑)。

絵美さんのブログのおはなし、広告業界でも出版業界でも常に同じことが言えますよね。医療関係の大変さはウワサで(?)何度か聞いています。
まだ揺れるうちは、なぜか不思議と「試される」ような仕事もやってきたりしますけど
でもそのときどきで、自分はじゃあどうしたいのか、立ち位置を確認しながらやっていくと、
自然と絵美さんを必要とする依頼が絞られてくるんじゃないでしょうか。
フリー稼業は自分で自分の身を守らねばなりませんから大変ですが、でも、きっと大丈夫と思います。

yuelin
初めまして。
最近このブログを知り、いつも素敵な着物姿楽しく拝見させていただいてます。

>メリットとデメリット、効果と限界を明らかにすることが(中略)誠意
「読み流して…」の中のこの文章に、とても共感しました。
これについて書くと長くなってしまうので省略しますが、よいお仕事と、着物、どちらも前向きに続けて下さい。
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