彼の演奏は回を重ねるたびに音に艶が出てきてその音はますます流暢に語りだします。
今日の最後のプログラムはアルゼンチンの作曲家エスカンデという作曲家の作品でした。何と左手で演奏しながら不自由な右手の肘で鍵盤を叩くという前代未聞のテクニック!!!彼はハンディをも自分のテクニックの一部にしてしまう。
ホントにすごい人だとつくづく思いました。
そして昨夜のこと。舘野泉ファンクラブの懇親会がありその終了後ごく身近な人達で舘野先生を囲んでおしゃべりをしました。その席で舘野さんは
”僕はピアノをひとつポ-ンと叩くだけでその音にハッとさせられるんだ。ピアノのその響きを聞いただけで生き返ったように思え、精神が冴え冴えとしてくるんだ”
とおっしゃった。
この人はホントにピアノが音楽が好きなんだなあとつくづく思いました。
確かに両手で演奏した方が多彩なテクニックやダイナミックさがあるけれど音楽というものはそういうものではないんですね。
今夜の舘野さんの演奏を聴いていてふと思いだしたことがありました。
もう5,6年も前のこと。私のカンテレの師であるエヴァ・アルクラさんが日本の曲”赤とんぼ”を演奏したことがありました。1コ-ラス目にメロディをハ-モニックス奏法だけで演奏したのです。一音一音ゆっくりととても丁寧に弾くその音は私の心に沁み入りました。そして2コ-ラス目には少しずつ伴奏の音を入れていきましたが、その伴奏の音もホントに最低限の音しか使わないのにとても美しいのです。
で、私も何とかエヴァさんのように演奏したいと思いましたがなかなかエヴァさんの様にはいきません。何が違うのかなと考えましたがその時は分かりませんでした。
歳月を経てつい最近私はこの”赤とんぼ”を生徒の一人に模範奏をしてあげたことがありました。その時はホントにメロディに簡単な伴奏しか入れませんでしたが、その生徒はとても感激して聞いてくれました。
音楽表現や技術が未熟だと沢山の音を入れて演奏することが上手だと錯覚しがちですがそうではないのですね。
人を感動させる音楽は
”音の羅列”ではなくその音に込められた一音一音なのですね。
舘野さんの演奏は左手だけの演奏だけれどその一音一音に彼の色々な思いが込められていてそれが聞く人の心に共感を呼ぶのではないかと思いました。
そして今日のアンコ-ル曲は
カッチ-ニのアヴェマリア、スクリャ-ビンのノクタ-ン。
それは天上からの音楽のように聞こえました。
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