カンテレあんさんぶる

風のしるし

ここ数日間、私は舘野泉モ-ドである。毎日舘野さんのCDを聴いたり本を読んだりして過ごしている。
今は「風のしるし」を聴いている。

このCDは舘野さんが今から4年前に半身不随になり、その2年半後の2004年9月に左手だけで演奏録音されたアルバム。

”風のしるし”というタイトルは半身不随になった舘野さんのために間宮芳生さんが作曲した曲名である。

”風のしるし”一体何のことだろうと思い、このアルバムの解説を見てみた。すると次のように書かれていた。

『風のしるし』の風は、アメリカ先住民族ナヴァホ族の創生神話で語られる風の神のことである。ナヴァホの人々は、この地上に生きるものすべての誕生の時、生命を与えてくれるのはその風の神だと信じてきた。人はその体内で風が吹いている間だけ生きている。体の中で風が止めば、人間は言葉を失い、死ぬ。手の指の先の「うず」は、初めて体の中を風が通り抜けた瞬間に、風が残していった風紋なのだ。

間宮さんの舘野さんに対する限りない励ましの言葉である。
舘野さんは「自分にとってピアノを弾くことは呼吸していること、生きているあかしです」とおっしゃていた。

このCDを録音された後も何度か私は演奏を聴く機会があった。回を増すごとに舘野さんの演奏はまるで両手で演奏しているのではないかと思うほど、左手が雄弁になっていっている。舘野さんの持つ音に対する感性などが左手に見事にテクニックとなって表現できるようになってきている。
今度はどのような曲に挑戦するのかとても楽しみである。

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