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渡辺 保 | |
講談社 |
すでにご存じの方も多いと思いますが、
ただいま、絶賛発売中の、「戦後歌舞伎の精神史」(渡辺保先生の最新刊です)の表紙が、
なんときっちーさまです
しかも「熊谷陣屋」の熊谷直実!
すばらしい絵姿ですね
内容は、ちょっと難しいのですが、
戦後70年を通して、演劇評論の第一人者でいらっしゃる渡辺保先生が、
歌舞伎役者をひとつの大きな「家族」ととらえ、六代にわたっての
戦後の歌舞伎役者論を展開していく、大作です。
六代というのは、
「祖父の時代(七代目幸四郎、六代目菊五郎、初代吉右衛門などなど)」
「父の時代(十一代目團十郎、白鸚、二代目松緑、十七代目勘三郎、六代目歌右衛門、七代目梅幸などなど)」
「叔父の時代(四代目雀右衛門、七代目芝翫、藤十郎、富十郎、田之助)」
「子の時代(きっちーさま、猿翁、團十郎、菊五郎、幸四郎、仁左衛門、玉三郎、梅玉、魁春)」
「孫の時代(十八代目勘三郎、三津五郎、芝翫、時蔵、福助、雀右衛門)」
「曽孫の時代(松緑、染五郎、猿之助、海老蔵、勘九郎、菊之助、七之助など)」
といったあたりの役者さんたちになります。
きっちーさまに関しては、大変すぐれた評論をされており、
一部抜粋しますと、「古典劇としての歌舞伎の成立」と題して、
「歌舞伎を古典劇として現代演劇の一つのジャンルとして成立させるものであった。
(中略)それは吉右衛門がテキストを読みぬいて、そのドラマの本質に及んだからであり、
同時に現代を一人の人間として生きていたからである。」とあります。
また、きっちーさまが追求されている「型」の神髄についてもふれており、
「テキストとともに伝統的な演出___『型』の深層にひそんでいるものを発掘することであり、
『型』が要求している身体があってはじめて可能になることであった。」と
絶賛されておられます。
きっちーさまだけでなく、
戦後の歌舞伎のありようと、渡辺先生の現代歌舞伎に対するひとつの問題提起でもあり、
畢生の大作でもあります。
ぜひたくさんの方にご高覧いただいて、
歌舞伎の世界における、きっちーさまの位置づけや、
きっちーさまに期待されていることを
感じていただければと思います