下田紀行１～とん亭

伊豆の下田といえば、皆さんのイメージはなんだろうか。黒船来航、ペリーに唐人お吉などなどの歴史のイメージか、はたまた海鮮もののイメージか。いずれにしろ、海がキーワードであろう。

　小生も、伊豆の出身ということで、知人等が旅行に行くとき、どこかお勧めのところを教えてください、とよく聞かれる。小生迷わず、「とん亭」というトンカツ屋をお勧めする。
　えーっ、なんで？と思われる向きも多いかと思うが、実は静岡は豚肉の産地でもあり、昔から下田のトンカツ屋は競争が激しいのだ。

　そんな中でも、もっともメジャーな存在がとん亭であり、ＨＰもその風情が出ている。今回、田舎に行き、小生自身思うところあって、実に１５年ぶりくらいに訪れた。
　ここは、いまでは海鮮料理もやっているし、トンカツとのセットメニューもあるが、まずは基本のロースカツ定食を頼んだ。

　１５０ｇのカツが小さく見えるほどの大きな皿にたっぷりのキャベツとともに運ばれる。カラっとした衣とともに、適度な脂が混じった肉の味がジワーっと・・・
　美味い！きわめて古典的な味だが、正統派の美味さだ。逆にいえば、若い頃の味と何も変わらずやっていることに嬉しさがこみ上げてきた。

　実は、父を連れて行ったのだが、実に２５年ぶりぐらいなのに、おかみさんが覚えていてくれたことにもびっくりした。もちろん、決して常連さんというわけではない。
　歳を重ね、すっかり食が細くなってしまった父が注文したのは、ヒレカツ定食だった。ロースに負けない大きさのカツが出てきたが、父はご飯も含めて完食してしまった。

　小生は、食べきれずにご飯は残したのにもかかわらず・・・である。聞けば、今のご主人は、二代目であるというが、おかみさんは今でも若々しく、お店を切り盛りしている。
　懐かしさで食欲がアップしたことは否めない。だが、これからも知人に、「お勧めがありますか？」と聞かれたら、迷わず「とん亭」と言おう、そう再確認した。

　下田で食事するなら、とん亭をお勧めします。