小生がよく立ち寄らせていただくブログのひとつで、以前紹介されていた映画「いのちの停車場」。ぜひ観たいと思っていたが、緊急事態宣言の影響で都内の映画館は休業・・・ようやく6月から緩和されて、見に行けるようになった。
せっかくなので知人の医療関係者の方とともに出掛けてきた。いろんなところで話題になっている作品ということもあり、会場はそれなりにお客様もいらしていた。
この作品、主演の吉永小百合さんが、映画作品122本目で初めての医師役という。原作の南杏子さんは現役の医師でもあり、映画冒頭のICUのシーンに登場していた(←と医療関係者から教えてもらった)。
物語は、故郷の金沢に帰った吉永小百合演ずる白石咲和子先生が勤務する在宅医療の「まほろば診療所」での日々を綴ったもの。
さまざまな事情を抱え、ギリギリのところで在宅医療を選択した患者さんたちと向き合い、それぞれの命に寄りそううちに、咲和子先生の考え方もいろいろと変化していく・・・
これ以上書くとネタバレになりそうなので、止めておくが、まほろば診療所の院長の西田敏行、松坂桃李、そして広瀬すず、すべてよかった。
なにより吉永小百合のすごさ・・・実年齢では後期高齢者になられているのに、上品で、毅然としつつも優しくて、何よりかわいい。これは彼女ならではだろう。
同行した医療関係者曰く、あのしゃべり方は本当に患者さんを安心させるもので、我々は男女問わず、ああいう話し方をしなくてはいけないんだが、なかなかできないとも・・・
だが、途中で西田敏行の「人生の楽園」と吉永小百合の「大人の休日倶楽部」のCMを見ているような気分にも・・・
逆に小生が気になったのは、何度も登場するバス停。次のバス亭が「明福町」となっている。ひょっとしてこれは「冥福」と掛け言葉?
さらに医療関係者曰く、「よく人が亡くなると悲しいとか残念とか皆さんいうが、死なないと人間は終われない」と。単純だが、深い意味を感じた・・・最後は個人の死生観にも通じていくテーマである。
ちょっとネタバレになるが、こうしたテーマがゆえに映画では安楽死問題もからんでくる。少し前にALS患者が医師に安楽死を求めたことで、殺人罪が適用されるという事件があったが、これからの時代、ますます難しいテーマになってきそうだ。
舞台となった金沢の四季の風景とともに、物語は静かに進んでいく・・・このテーマにもすごくよくマッチしている。
小生にとっても少なくとも人生の半分以上は超えているわけで、いつ自分が、命の選択に向き合う時がくるかわからないが、いつ来てもいいように準備はしておきたい。
家族や子供たちとも、深刻にならずに笑って終わりを迎えられようにしたい。以前知った言葉を思い出した。
「あなたが生まれたとき、あなたは泣き、回りはニコニコしていたことでしょう。だからあなたは死ぬとき、自分はニコニコし、回りが泣いているような人生を送りなさい」と。
展開ひとつひとつに涙を禁じえず、ウルウルしながら帰路についた。年齢に関わらず、ぜひ皆さんにもお勧めしたい映画である。
吉永小百合さんの話し方、確かにすべてのお医者さんがこんなふうに話してくれたらありがたい・・・!
時々、「そんな言い方しなくても」と思う人、います。
西田さんが、純粋に“小百合ファン”になっているかんじ、ちょいちょいありましたね♪
「死なないと人間は終われない」、確かに。
私は「人間って、一度しか死ねない」と感じたりしています。
予想通りというか、それ以上に感動したのは吉永小百合さんの演技もさりながら、テーマの深さのなせるところだったかと。
海のシーンなんかは号泣でした。
人間は一度しか死ねない。これもまたいい言葉ですね。