読者の皆さんは天知茂という俳優をご存じだろうか。昭和60年に54歳の若さで亡くなったが、ニヒルという言葉を定着させた元祖というべき俳優だった。
明智小五郎シリーズや非情のライセンスの会田刑事役で一世を風靡したが、眉間にしわを寄せて隙のない表情を崩さない演技がニヒルと言われた由。
逆に画像検索しても同じような表情のそればかりで面白くないが・・・(苦笑)
その非情のライセンスの主題歌が彼自身が歌う「昭和ブルース」だった。こちらでお聞きになれる。彼がニヒルに歌っているのがよくわかる。
さて、今日そんな天知茂を取り上げたのは小生が彼のディナーショーに出掛けた思い出があるからだ。ある方から招待されて出掛けたのだが・・・
開演と同時に登場した彼は「昭和ブルース」から入った。そして、冒頭のあいさつでニヒルなまんま、「今宵は趣向を変えてフラメンコ調の歌やアルバム収録の歌も披露いたします」なんてやっていたのを思い出す。
確か昭和59年のことだったはずだ。今から考えれば翌年に亡くなってしまったわけだが・・・
そしてジャケットを派手なものに替えて出てきた彼が歌ったのは「カルメン幻想」という歌。前奏はフラメンコ調だが・・・
歌が始まるとたちまち演歌っぽくなって、しかも派手なジャケットにニヒルな無表情という・・・むむ、なんだこの世界は・・・という記憶がある。
それからゲストが出てきたり、いろいろ話をしたりと番組は進み、確か最後の一曲として歌ったのが「マイフレンド」だった。
イントロでナレーションを自ら語りながら盛り上げていった彼・・・残念ながら、曲全体はメロディも歌詞も覚えていない(苦笑)
もちろんYoutubeなんかにもなかったが、最後のサビのところだけはなぜかキッチリ覚えている。
♪ 彼と彼女と あいつときさまと 君とあなたと 私~というものだった。
調べてみたところ、彼の最後のアルバム(当時はLP)「北の海にて」にこの二曲は収録されていたことがわかった。
もちろん、今カラオケ屋にいったところで、この歌が収録されていることはないだろう・・・
だが、35年経った今でも覚えているほど強烈な印象だった。って、こんなことを久しぶりに思い出すようでは小生の最期も近いのかも・・・(汗)
歌いたいなあ、マイフレンド(苦笑)
まさかまさか、天知茂のそんな姿が裏にあったとは!まさに驚愕ですが、逆にドラマなどでは顔を変えないのも大変だっただろうと。
そして、くだんの幻の曲、聞くためには当時のLPを入手するしかないかもですね。
*「検索不可? 天知茂作詞作曲の珍歌」
やはり「ようつべでもニコ動でも無かったこの2曲」でしたが、どうしても聴いてみたいので今努力しております。天知茂さんの人生最後の時期に「ミュージシャン、歌手として、おそらく全力を出し切った」であろう全編作詞作曲(一部補作在り)のアナログLPはまさに貴重品と言えます。全編アレンジの「京健輔氏」は自分も良く知る編曲家の名匠ですが、なかなか風変わりな工学部出の異色の経歴を持つ方です。何せ天知茂さんは早死にで「酒はたしなまずともかなりの美食家」として知られ、現在あれだけの「二枚目大スターにも関わらず、既に忘れられかけている」非常に残念な存在です。とにかくニヒルな二枚目であり「渋く、格好良いを通り越した、現代の二枚目イイ男たちとは明らかに一線を画した本当の二枚目」でした。またとにかく声が良く「実に良く通る声は、HG高級オーディオ機器の音」と言え、滑舌の良さも素晴らしくはっきりと台詞も聴き取れましたね。記憶では「スペインとの合作で、映画=狼男とサムライ」が記憶に残り、過去たったの二回しかTV放映されなかった異色作でした。此処でおそらく「誰も知らなかった天知茂さんの本当の姿」ってぇのを、こっそり教えましょうね。これはかなり以前「TX オールスター家族対抗歌合戦」に天地茂御一家が総出で出演された際の、おそらく忘れられぬエピソードですが、、、、驚く事に「実際の天知茂さんは、イメージとは全然違う人」であり驚きでした。これはご子息が番組中に暴露した事ですが
*「自宅では何時もパンツ一丁、飼い犬に噛みついたりして、、、、」
これには本当に驚きました。あの世紀の二枚目スターが「パンツ一丁で、飼い犬に逆に噛みついていた?」と。もう大爆笑であり天知さんは「だから俺これには出たくなかったんだよ」と苦笑。更に爆笑だったのは「天地さんの実兄=板前さんとお孫さん二人?」とのトリオで、何と「アラジン=完全無欠のロックンローラー」を大熱演し、これも面白くって忘れられない印象でした。おそらくこういった処があの「最近亡くなられた某二枚目スターさん」とは違う処で、私生活を完全にクローズする事無く、まぁ二枚目ってぇおそらくは「疲れる」のでしょうね。全く惜しい、本当に惜しい方が薄命でした。
我々はこの天下のニヒルな二枚目スターを決して忘れてはならない。ぜひぜひ本当の昭和の二枚目の姿を知ってほしいですね。 敬具