秋の夜長 温かい 毛布にくるまって
大好きな本を 読み返している
エリザ・バ-ネット 作
(Frances Eliza Hodgson,burnett )
岡上 鈴江訳
秘密の花園
孤独な少女を 励まし勇気付けたのは
長い間 閉ざされた 花園
友達は こまどりとジッコン
せっせと 庭造りに いそしむメリ-
やがて・・・
太陽は一週間も続けて、秘密の花園を照らしていた。
秘密の花園というのは、メリ-がただ、その花園の事を考えていた頃につけた名前で
彼女は自分でつけたその名をとても気に入っていた。
それに誰にも知られずに、美しい古い塀の中に自分だけが入っていられるなんて、考えても楽しい事だった。・・・中略
メリ-は表に居るのが好きになり、 風もいやでなくなった。
むしろ、それに吹かれるのを楽しんだ。 段々早く、そして長く走れるようになり、縄跳びも百まで跳べるようになった。
秘密の花園の中の球根たちも、さぞ、驚いているに違いない。
とても良い空地をまわりに作ってもらい、球根達は、望んでいた息づく場所を与えられたのだった。
まったく、メリ-は知っているかどうか分からないが、球根たちは暗い地面の中で元気づけられ、ものすごい勢いで動き出したのである。
太陽は球根にに届き、それらを暖めたし、雨もじかに滲みて来るので、球根たちはとても元気づいた。・・・中略
メリ-は、自分が望んだのよりずっと沢山の頭をもたげている薄緑色の芽を見付けた。
それは、そこらじゅうに出はじめているらしく毎日必ず新しいのを見つけた。
まだちっちゃくて、やっと地面から顔を覗かせているのもある。
あまりたくさんなので、メリ-は、マ-サ-が『何千もの待雪草』と言っていた事を思い出し、また球根が地面の中でどんどん拡がって子孫を作る、と言っていた事を思い出した。
ここのは十年もの間放っておかれたのだもの、どんどん伸びて、待雪草みたいに何千にもふえたのだろう。 花が咲くまでどれくらいかかるのだろうと、メリ-は思った。
時折りメリ-は土を掘る手を止めて花園を眺め、ここが何千もの可愛い花でおおわれたら、どんなになるだろうと心に描いてみるのだった。
この楽しい作業が、黄色くてやせっぽっちだったメリ-を
真っ赤な頬をしたピンク色の可愛い少女に・・・
想像してみて下さい。
ヨ-クシャの荒野で、はじめての冬を過ごしたメリ-
クロッカスや水仙・紫色のつりがね草が
見事に咲き誇ったのを見たとき
小さなこころがどれ程
はずんだことか