オルゴール

さいとーの特技(?)のひとつに、誰かに
プレゼントとかお土産をあげるのが
とても上手だったというのがある。
決して高価ではないけどセンスがあって
どこで買ったの、と驚くようなものを
見つける天才だった。
さいとーのあだ名は「ワイド・クィーン」とか
「しずかちゃん」とかあったけど
私はいつも「100均の女王」だと思っていた。

去年の６月に函館旅行をしたのは
本当は帯封のおかげではなくて、
これが最後の旅行だと２人で計画した。
今、行かなきゃという思いで、まわりに
大迷惑かけてワガママ放題の旅をした。
なにが迷惑って手のかかるおやぢを置いて
４日も家をあけるなんか無理な話、
怒られてもキレられてもいいと
生涯最後の覚悟だった。
函館のどこへ行っても何を見ても
「これが最後」という気持ちが２人ともあって
本当に楽しくて充実した旅行だった。
旧イギリス領事館とか旧公会堂とかの
古い建物にはショップがあって、２人で
おみやげを買った。さいとーの作ってくれた
「旅のしおり」には「おみやげリスト」の
ページまであって、さいとーは誰に何を買うか
だいたい考えて書き込んでいた。
旧イギリス領事館のショップにオルゴールが
たくさんあって、ヴィクトリア調のドレスを
着た店員さんが「聞いてもいいですよ」と
言ってくれたので、２人で片っぱしから
フタをあけて曲を聴いた。
さいとーが「ゆいちゃんに買おうと思うんだけど
何の曲がいいかな」と言うので、いろいろ
迷ったけど、最後はさいとーが「ゆいちゃんの
イメージでカノンにする」と決めた。

ゆむたさんてば４年も帰ってこなかったので
こないだの５月の法事のときに
やっとおみやげを貰っていた。
キンキンした音ではなく、やわらかーい
静かな音色でカノンが流れる。
古いイギリスの音。

本当に行っといてよかった。
なんべんも言ったけど、みんなのおかげで
函館に行くことができた。
ありがとうです。

しばらくさいとーストーリー続きます。