ボク等が通っていた高校は125㏄までのバイク通学が許されていた。
16歳になって免許が取れるようになると速攻で免許を取得。
先輩のお古のバイクを安価で譲ってもらって通学に使っていた。
ヤマハAX125
2ストの2気筒バイクだった。
当時の小排気量車はまだ2ストが優勢で、ホンダ以外はヤマハもスズキもカワサキも2スト勢で最高出力を競っていた。
カタログ上で他社に負けないように馬力を絞り出す設計だった。
低回転ではスカスカで回転を落とすとカブってしまうし、4千回転を超えた辺りから急に加速一気にレッドまで回るピーキーなエンジンだった。
オイルも燃やして走る2ストなので、加速した後ろは白煙で真っ白になった。
前後ドラムブレーキは頼りにならなかったし、2ストなのでエンジンブレーキも期待できなかった。
さらに固定式のステップはバンクですぐに接地してしまい怖い思いもしょっちゅうだった。
それでもバイトで稼いだ分はほとんどガソリン代に注ぎ込むくらいに走り回っていた。
今思えば価格相応に程度の悪い車体だったようで、維持に難儀もした。
初冬のある朝、通学途中に空地から出て車道を横断しようとしたクルマの側面に突っ込んでライダーは胸椎損傷の大怪我をして暫く半身不随、バイクは廃車になった。
怪我は3ヶ月で回復したけれど、さすがにその後暫くバイクには乗れない雰囲気になってしまった。
廃車になった車体は解体して幾つものパーツは永らく手元に保管していたのだけれども、
今、探してみてもその多くは見つからなくなってしまった。
このサイドカバーとピストンは数少ない記念品だ。