かつて銀昆で…

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

思い出

2021-11-17 21:38:43 | 日記

2000年から2001年に年代が変わるのは、

20世紀から21世紀になるということで、

世紀を超えた対談が法隆寺と唐招提寺でおこなわれた。

瀬戸内寂聴さんと五木寛之さんの顔合わせだ。

 

秋の日、生憎の雨。

法隆寺の石畳を歩きながら寂聴さんが、

「今から一瞬だけ雨を止ませましょうね~」

と、おれの顔を見て言った。

ふざけているのでも真剣でもない表情。

つまり、普通の雰囲気なのだ。

 

おれは、寂聴さんの持っている傘を持った。

彼女にうながされてのことだ。

両手が空いた寂聴さんは印を結ぶようにして、

「えい!えい!」と叫んだ。

「はい。おしまい。これで少しはマシになるわよ」

そういって傘を持った。

 

・・・・・・数分後、雨が切れた。

その間を縫って、法隆寺石畳を歩く場面を撮影した。

「ね?」と、顔が笑っていた。

 

そんな思い出のある瀬戸内寂聴さん。

享年九九。

 

「一人を慎む」という言葉を今東光から贈られた。

その言葉の持つものを今、思う。