この本を読んだのは1983年のことだ。1982.7.30の11刷、1500円の新刊で購入した。悪戦苦闘しながら26歳の僕は読んだ。この鬼シュルレアリズムの高湿気と破滅の物語は、当時やっていた芝居にそのカケラも映すことが出来なかった。百年という言葉だけを盗用して「風屋敷百年物語」という、雨が降り続く日本家屋の不義の物語を書いたが評価されなかった。今年この物語が復興した。文庫本になった。すぐに購入して、今日ようやく読み了えた。この小説が翻訳された当時の文壇、作家の反応を筒井康隆が解説で怒っている。この小説を読んだことと読まなかったことで何がどう変わったのかはわからないが、この物語のなかに身を置いているときの自分の感触をいまだに持ち続けているのが不思議である。やはり湿気と干魃のせいだろうか。