泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

しあわせであろうと

2023-03-12 20:52:28 | 
 テストで 百点とったって
 それが 何になる?
 じぶんが 百点になる
 それが 本当の優しさ

 じぶんって 何?
 語りつづけている
 あなたが 涙にくれるとき
 あなたが ほほえむとき
 あなたが 苦痛にたえるとき
 あなたが 一冊の本にときめくとき

 しあわせであろうと
 誰かに あわせるためじゃなく
 ただ しあわせであろうと
 声なき声を ことばにかえて
 あなたに 届けようとしている
 それが 本当のじぶん

 いつだって じぶんはテストされている
 このじぶんを しあわせにせよと
 生きる意味 なんてなかった
 だからじぶんで 作っていくのだと

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初夢初恋

2022-01-06 20:10:40 | 
 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。

 昨日は、45回目の私の誕生日でした。
 祝福してくれた方々、本当にありがとう。
 祝福されて初めて、自分はまた今年も生まれたんだと実感できます。
 そして、生きる気力になってくれます。

 今日は、やっと日常を取り戻しつつあるかと思いきや、雪。東京でも積もりました。
 寒い日。あたたかくした自室に篭り、読書。詩を一つ仕上げました。
 

  初夢初恋

 仕事をしていた 人々はみな朗らか
 一息つきに 教室に帰った
 古びた教室の 中央に机が二つ
 先生も生徒もいない 窓からはセピア色の光
 一つに座る 隣にはあの人
 見なくてもわかる あの人は
 私が 初めて好きになった人
 何も書いていない 黒板を眺める
 二人は 年を重ね成熟していた
 机に置かれていた あの人の手
 私の手を そっと重ねる
「やっぱり、そういうことしたいから」
 私は言う あの人は言った
「もう少し、待って」
 もう少し とはいつまでなのか
 あの人は どこにいて誰になったのか
 わからない 受け入れる
 手のぬくもりを 保ったまま
 目覚める 朝
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こころの星座

2021-07-01 19:55:01 | 
みてもらってきた
わたしのみえないわたし
したしいまなざし
一つ 二つ 三つ
星の数のように 数えきれない

こころに 星があった
ひかりつづけている
星々を 線でむすんでみると
何が 浮かんでくる?

みえてくるのは 一つだけじゃない
今日また一つ 新しい星ができたなら
ギザギザは 平らにちかづき
バツは バツでなくなり

星は ここにあった
バケツをかきまぜたように
手をはなし 落ちついたなら
泥は みずからわかれ

悲しい星もまた消えず
もう そこにいってはいけない
大航海のみちしるべ
怒りの星は消えていく
粉々に 宇宙のかなた

星々のあかりによって
わたしは みえてくる
しんとしずまりかえった一人の夜
星々は そっとあらわれ
たった一つの りんかくをたどる

いちばんぼーしー みーつけたっ!
きそって指さす 子どもたち
みんな 見つけたい
いちばんに わたしを

わたしを てらしてくれる星々
あなたをてらす わたしという星も生まれ
てらし てらされ
むすび むすばれ
ほどけ であう
わたしたちが 星座
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たたかいのうた

2021-06-07 21:39:13 | 
 おかえり
 おつかれさまでした
 ゆっくり休んで つかれをとって
 また たたかえるように

 きみは 何とたたかってきた?
 これから 何とたたかう?

 静かな笑みを浮かべて きみを待っていたおばあちゃん
 長くて急な上り坂を ゆらーりゆらり
 少し曲がった背中が 先導していく

 きみが 希望を投げ捨てようとした日の夜
 それでもきみはペンを手にし 何かを白紙に書きつけた
 もう一人のきみが きみを助けようとベッドの脇で涙した

 きみを作る ひとつひとつの確かなおもいに
 きみを消そうとする 目に見えないものが混じる

 ちいさなちいさな暗殺者たちは 次々と人からあふれ
 はいずり回り どこからともなく忍びこみ
 大好きなきみに まとわりついて離れない
 うっかり きみがそいつの頭をなでたなら
 そいつは うれしさのあまりぶるぶる震えて分裂し
 他の誰より強く見せたくて 見てほしくて巨大化し
 分裂しては巨大化し 分裂しては巨大化し
 すっぽり きみは包囲される
 ちいさなちいさなきみは そいつらに押しつぶされる

 たたかえ!
 お日様のもとで えっちらおっちら歩を前へ
 風に吹かれ 顔にくっついた異物を払い落とせ
 自分の足で 何でも飲み干す大地を踏みしめ
 自分の息で 自分に積もった空気を吐き出せ

 ほら そこに仲間がいる
 おかえり
 おつかれさまでした
 よく がんばってきたね
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孤独でなかったなら

2020-03-12 19:57:02 | 
 孤独でなかったなら
 今日 あなたと出会い
 誰にも言えなかったことを語り合い
 分かち合うことができたことを
 こんなにも うれしく
 思わないだろう

 孤独でなかったなら
 分かり合えなかったことに傷つかず
 私が私でしかないことに気づかず
 私のままでいい
 とは思えないだろう
 あなたを あなたのままに
 思うこともできないだろう

 孤独でなかったなら
 どうして 心底触れ合えたとき
 熱い涙が 込み上げてくるのだろう
 だからもう
 孤独であることを塗りつぶさない
 孤独であることから逃げようとしない

 孤独でなかったなら
 どうして あんなにも笑顔満面で
 いつまでも いつまでも
 手を振るのだろう
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紅葉

2017-11-13 15:15:55 | 
死にたい という
言葉 一枚だけでは
決してなかった

言葉は やがて
すべて落ちる

春 沈黙という幹から
新しい言葉は 生えてくる

一枚一枚
小さな 仕合わせに向かって
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完走

2017-10-08 12:22:02 | 
 

 一つの道を 走り終えたあと
 振り返って 帽子をとり
 頭を下げた 目には涙

 一つの道は 海沿いにあった
 大津波に飲み込まれ 破壊された
 大地の上に 人々は集い
 新しい道を通し 塩に強い
 トマトを植え 育て
 実りに かぶりつきながら

 多くの人々が 一つの道に
 命を吹き込んだ 完走した私が
 一つの人生を振り返り 充実の
 汗と涙を流した この道が私

 私たち 一人一人が
 命を吹き込まれた 大地に返り
 新しい道を 通していく
 一年後の再会を 支えにして
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本屋

2016-09-18 09:26:14 | 
どこにいけばいいのか わからなかった
自分が何者なのか 誰も教えてくれなかった

自分と 自分以外との
透き間が 広く
深く 開いてしまったとき
埋め合わせるように 言葉が湧いた
言葉たちを 拾い集めると
閉じた部屋に 内側から風が吹き
足が動き始めた 本屋へ
新しい言葉と 出会いたくて

あれから 何十年経ったのだろう
まだ 本屋にいる
ともに過ごした人々は どんどん去っていく
自分は どこにいけばいいのか
わかったのだ みんな
集めたいものを 集め
伸ばしたいところを 伸ばし

本屋は ゆりかご
自分から出たい と
心底 思えるようになった
それが 成長の証
もう 足は動いている
新しい 自分へ
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猛省を詩

2015-08-31 20:37:25 | 
あなたは 返品を出すのを忘れました
箱詰めし 伝票を貼り スキャンまでしたのに
上半期の締日だというのに
たあいもない よくあること?
ならばなぜ ぐっすり眠りに落ちたはずなのに
日の出前 目覚めなければならなかった?
頭の回路には 薄暗いバックヤードに放置された返品の山が
たまらなくなって あなたを揺り起した
俺たちを忘れんな! と
あたしたちを無視しないで! と
だから 猛省を詩

あなたは お店のシャッターに激突しそうになりました
自転車に空気を入れ 軽くなったペダルに浮かれ
自分の体重と速度の掛け算が生み出すエネルギーを忘れ
眼鏡が合わないのに 怠惰ゆえに新調しないまま
目を酷使し 疲れて頭もしびれ
優等生だったから大丈夫 という甘えもあって
ふんふんふん らんらららーと暗夜行路を滑走
危ない! 命を落とすところでした
だから 猛省を詩

思えば 人は
猛省の積み重ねの上に 立っていました
産まれたての赤ん坊は 自分がどこに行くか知らない
可能性が 一本の枝ならば
猛省は 枝にそって伸びる一本の影
影を見失ったとき その枝はもう折れて落ちている

だから 猛省を詩
猛省は 言葉でできている
言葉が日々 人を作っている
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私の中の彼

2014-03-13 11:50:20 | 
知らない間に ヘドロがたまって
酸欠になっていた 私の中の彼は
ハイハイしかできなかった 私でもあって
死んだわけでもないのに いつか
切り離されてしまって
泣いていた
見捨てられる恐怖におびえて

生まれて初めて 走った日は
私の中の彼は 覚えていて
私に教えた
うれしいんだって
走ることは
うれしいんだって

この地に生を受けて
自分の力だけで前進できることは
誇らしいんだって
自分以外の生命と出会えって
もっと成長できるから
何度でも オトナの私をひっぱる

彼は 手を伸ばして
私の手をつかんで
走り出す

ずっと ノックしていたんだね
外に出ることは
楽しいんだって
生きることは
うれしいんだって
彼と笑いあって
シャッターを押す
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嵐の日に

2013-10-16 21:03:06 | 
未明の 経験したことのない
雨と 風の強さに
体は恐れ 目を開かせた
戸締りを しっかりとしたことを
もう一度確認し じっと
胸の鼓動を 聴いているしかなかった
静められもせず 雨風と鼓動はまじり

自然の厳しさよ
命はここにあり 私を生かしている
犠牲となった多くの人たちよ
あなたたちは 今
何を 求めているのだろう?

やがて 電車は平常通りに動き
忙しさが 戻ってくる
そして 今ある命を置き忘れ

おろかものよ
だから 私は
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糸の種

2013-07-20 11:48:24 | 
糸は 私にも届けられました

蚕は 成虫になるため
無防備な変身の間 身を守るために
生糸を せっせと生み出します
蜘蛛は 食べていくため
風に乗って移動するために
糸を生み出し 張り巡らせます
それが 生きて行くための糸だとは知らず
切ってしまった私は
傷つけられるだけ傷つき
落ちるところまで落ち
あなたが生み出している糸に
つかまろうと やっと同意したのでした

十一年ぶりに再会し あなたは
進んで私の手を取り 強く熱く握りました
そのとき 初めて気づきました
私にも 糸があることに
自分を守るためだけでなく
あふれ 誰かをも支えようとしている

糸を さかのぼった私は
いちばん弱いところに たどり着き
傷が 生糸を生み出し続けている
糸の種が はっきりと見えます
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誕生日

2013-01-05 17:54:34 | 
忘れようとしていた
汚れたまま 拭い取ることができず
自分なんて と見下げ
対処を 学ぼうとしないまま
私の思いが正しい と信じていた
私の顔が 一瞬でほころびる
あなたは 覚えていてくれた
私の存在を 心の底から
祝ってくれた 私の誕生を

思い出させてくれた
幼い日 ケーキにろうそくを立て
みんなの喜びを灯し
一息では吹き消せなかった
この世に生まれてきたことを
世界に望まれて出てきたことを
私に 私にだけの意味があることを
受け入れるまでには

なぜ 遠ざかってしまったのだろう
ニュースといえば悲しみが 絶えず吹きつけ
知らずに曲がってしまった 毎日が
誰かの誕生日だという事実を すり抜けて

愛されていたんだ
想像よりもよっぽど深く
生きていてもいいよ
生まれてきてくれてありがとう
君と出会えたことがうれしいんだよ
と 実感させてくれた
あなたの気持ちより
貴い贈りものがあるだろうか

ああ 生きていていいんだ
そう 生きていていいんだ

私は 私だけで
生きてはいなかった
生きることはできなかった

私は もう
私を 粗末には扱わない
もう 粗末に扱うことはできない
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孤独でなかったなら

2012-12-26 16:26:04 | 
孤独でなかったなら
今日 あなたと出会えたことを
一緒に 誰にも言えなかったことを
語りあって
分かちあうことができたことを
こんなにも
うれしく思わないだろう

孤独でなかったなら
どうしてぼくは詩を書くのだろう
孤独であるからこそ
分かりあえなかったことに傷つき
孤独を強め
私が私でしかないことに初めて気づき
私にしかできないことがあると気づき
私が 私のままでいいと思う
あなたを あなたのままに思う

孤独でなかったなら
どうして心底触れあえたときに
体の奥深くから
熱い涙が込み上げてくるのだろう
だからもう
孤独であることを塗り潰そうとはしない
孤独であることから逃げようとはしない
孤独であるからこそ
ぼくはまた 人と出会える
ぼくはまた 人を抱ける

孤独でなかったなら
どうしてあんなにも笑顔満面で
いつまでもいつまでも
手を振るのだろう
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草原の中で

2012-10-17 16:57:53 | 
体育座りをして じっとこちらを見ている
人たちに囲まれて 君は
淀みなく 詩の言葉を伝えている

順番が回ってくるまで
何を言えばいい? 準備できてないよ
欠落は 万死に値すると思い込んで
恐怖で 縮み上がっていた
恐怖を 自分で膨張させていた

出番だ
君も何か言いたい
しかし 言えばボロが出そうで
ボロがダメだしにつながりそうで
硬くなって 鼓動を速め 汗をたらし
それだけでは前に進めず

体育座りをして じっと耳を傾けている
人たちを囲んでいた 壁が
暗雲から光が差すように
消えてなくなる

私たちは 草原の中にいた
顔を上げると 果てしない空が見えた

草原の中で 言葉が自由に行き来した
草原の中で 新しい社会を創ろうとしている
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