泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

神戸マラソン2024

2024-11-20 17:23:16 | マラソン
 神戸マラソンに初めて参加してきました。今年で12回目だそうです。
 天気予報通りの暑さでした。スタート時は気温20度、湿度80%。
 気温が高いと走りにくいのは想像しやすいかと思いますが、気温よりもきついのが湿度です。湿度が高いとせっかく汗をかいても蒸発してくれません。人は汗をかくために体毛を減らしました。汗が出て蒸発すると熱を奪い(気化熱)、体温を下げてくれます。発汗と蒸発によって体温が上がりすぎることを防ぎ、より長く走り移動することが可能となりました。なぜより長く走る必要があったかといえば、車なんかなかった昔を想像すると見えてきませんか? 危険な動物から逃げ切るため、また他の部族よりも多くの食べ物を見つけるため、さらには気候変動対策などで移動するため、などなど、長く走れた方が生存に有利だったからです。
 実際、一年を通して走っていて一番危ないのは気温、湿度とも高い日です。意識が薄れていき気持ち悪くなってきます。熱中症の手前です。今年も暑さに慣れる前はそうなることもありました。

 神戸マラソンは「感謝と友情」をテーマにしています。
 来年で阪神・淡路大震災から30年。ひまわりは復興の象徴でした。
 スタート前のセレモニーでは「しあわせ運べるように」という歌が演奏されます。その最後でランナーたちが黄色い手袋をはめて天高く掲げます。それぞれの震災復興への想いを胸に、「感謝と友情」のひまわりを咲かせました。

 スタートしてすぐ汗をかき始めます。明石海峡大橋をくぐって折り返し、神戸大橋を渡ってポートアイランドでゴールする海沿いのレースです。日差しも出始めた後半になるほど暑さがこたえてきます。足が動かなくなっていきます。給水だけは取っていきました。給水所は混み合うので、後半はもう歩いて、首筋と両手に水をかけて。それでなんとか体温を下げて、足を前に出し続けます。
 倒れている人が何人かいました。足がつって動けない人たちはもっとたくさん。次は俺か? という恐怖も頭にもたげてきます。実際、暑さは苦手なのでスピードが落ちることは悔しくもなく、無理しないために必要な行動でもありました。
 とは言っても心許ない。苦しくてつらいのは最高潮。そこにラスボスが現れました。神戸大橋です。遠くからでも登っているのが見えるくらいの激坂。歩こうか、という誘惑の声も大きくなります(私の頭の中で)。
 地元の人たちはわかっていました。そこ、つらいですよね〜。沿道に、何やら大きくて黄色い手をした人たちが並んで手を振っています。

 「推し推しゾーン」でした!
 私は吸い寄せられるように大きな黄色い手へ。次々とハイタッチを交わしていきました。一人一人を見て、「ありがとう」と声をかけて。
 本当にありがたかったから。ハイタッチしていくと、不思議と頭の恐怖たちは消えています。私はまさに推されました。ハイタッチと笑顔に引っ張られて、なんとか神戸大橋を乗り越えました。

 ポートタワーと神戸大橋をデザインした完走メダル。ゴールして脱帽し、振り返って一礼します。今回も込み上げるものがありました。楽なマラソンなんてないから。
 神戸の美味しい水とバナナ、ベビーチーズ(六甲バターという会社が作っていました)、さらにゆで卵が提供されもぐもぐと。更衣室に辿り着き、座って靴下を履き替えようとしたのですが、何度足がつったことか。一箇所でなくあちこちが、これでもかこれでもかと。それでもしかしてこのレースは私が参加した12回のマラソン大会で一番過酷だったかもしれないと実感しました。一番の高温多湿だったことは間違いないでしょう。

 3時間46分23秒。2月の高知龍馬マラソンよりも遅かった。
 11月は準備期間中の暑さが影響してタイムが伸びないのだとも思いました。2月の方が距離を踏んでいるのでタイムは出やすいのかなと。

 終えてみて思うのは、大会のテーマ通り「感謝と友情」を育めたレースになったなと。一番足がつった大会であり、一番きつかった大会でもあったけど、一番助けられて一番応援してもらって一番顔を見て一番手を合わせて一番「ありがとう」を言えた大会。
 来年からコースは変わるようですが、これからもずっと続いて欲しい素晴らしい大会でした。

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