
おもしろかった。
先日、神奈川近代文学館で石井桃子展を観る機会があり、プーさんを翻訳、紹介したのがその人であったことを知った。
私の読書体験の始めにプーさんがいたことを思い出した。
そしてまた読む。
子供のころ、何度も読み返していたのは絵本。その本は家に見つからなかった。
だからこの少年文庫はおそらく初めて。
それでもプーさんの魅力は十分に伝わる。
「いやんなっちゃう!」がたまりません。
ウサギの家の出入り口にはまったり、はちみつを入れる壺に頭を突っ込んで取れなくなったり。
そんな失敗ばかりのプーさんも、最後にはコブタのコブちゃんを助ける。傘を逆さにしたボートを考案して。
唯一の人間であるロビンもこれには驚き、プーさんの功績を称えて慰労会を開き、贈り物をする。
他の動物たちも個性的。ロバのイーヨーは、現代の認知症を先取りした感もあります。
フクロにカンガとルー、ウサギにその親戚友人一同。
挿絵がまた絶妙です。描いたのはアーネスト・H・シェパードという画家。
プーさんの世界観そのままの絵。
元々のモデルのロビンとぬいぐるみと豊かな自然。
そしてロビンの父親ミルンは、息子にせがまれ、お話を作る。
どれも欠くことのできない要素。すべてが調和している。
人々が愛して止まないのは、災害や諍いや失敗があっても補い合って暮らしてきた平和な記憶が刺激されるからなのかもしれません。
A・A・ミルン 著/石井桃子 訳/岩波少年文庫/1956
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