プロ向けではありますが
マカロンを作る上で卵白と共に重要な下ごしらえである
アーモンドパウダーの作り方を紹介します。
美味しいマカロンを作るためのアーモンドパウダーは
微粉末 ~粗め粉末それぞれがどれ位の
割合で含まれているか!
その粒子分布(粒子曲線)をイメージして
粉砕する事が必要となります。
この作り方は16年間にわたり(2012時点)何社ものナッツ加工メーカーや
アトリエ用のナッツローラーなどで試行錯誤を繰り返して実験をおこなってきたマカロン星人が
やっとたどり着いた!
マカロンにとってほぼ最適な油脂分と粒子分布をもつ
アーモンドパウダーの製法です。
お菓子の中で最も難しいといわれるマカロンのアーモンドパウダー加工における職人技の記録です。
~用意する物~
●皮剥きしたスペイン産マルコナアーモンドホール又はブロークン1kg
●FMI社ロボクープRー8
平刃、波刃
この機械でパウダー以外にもナッツペースト、プラリネ、マジパンなどを
オリジナルリッチレシピで作っております。
●網が20目(16~17メッシュ)の篩(重要)
目とは一寸(3.03cm)の間に張っている針金の本数もしくは網目の数
メッシュとは1インチ(2.54cm)の間に張っている針金の本数もしくは網目数
ただし張っている針金自体の太さにより目開き(粉の通る空間面積)の誤差が出ます。
僕は20目と30は製菓道具店などで市販されているものを、
25目はそれらと同タイプの木枠製 直径約33cmの物で胡麻から砂などをふるい落とす用途の物を使っています。
アトリエで使っている粉末篩一覧
◉20目=約16~17メッシュ アーモンド製粉、TPT用
◉25目=約20メッシュ アーモンド製粉用
●30目=約25メッシュ 小麦粉用
●50目=約42メッシュ カカオパウダー&小麦粉用
2013.春マカロン用に14メッシュ追加
写真は25目の篩です。長期間使うと針が弛んで目が開いてくるのでぶれが大きくなってきたら新調しましょう。
求める粗さによって20目か25目を使う
僕は20目を使用しています。
アーモンドの女王といわれるスペイン産マルコナアーモンドのホールです。
適度な油分と甘いウッド調の香りが特徴
ロボクープRー8(容量8L)このタイプで
1kgのアーモンド粉砕が適量です。
波と平の刃は低いリングを噛ませておきます。
波刃をセットして1kgのアーモンドをいれて3000回転で約2秒×3回
回してあら刻みにしたものを篩にあけて あまり手では押さえすぎないようにして細かな粒子をしっかりとふるい落とす。
微粉末が多すぎる場合マカロンに空洞が出来やすくなります。そのような場合は
一番最初の粉砕時のみアーモンドの全量~1/3量を平刃3000回転2秒×3回で挽いてみましょう。
更に微粉末を抑えたい場合は平刃1500回転で16割り程度まで粉砕する方法もあります
※電気が50khと60khの地域により回転数が違ってくるので回す時間を調整する必要があるかもしれません。
篩に残ったアーモンドを再度ロボクープに入れる
二回目以降は常に波刃を使用
3000回転 2秒×3回かけて
篩にあけ あまり押さえすぎないようにして細かい粒子をしっかり落とす。
篩に粗いアーモンドがほとんど残らなくなるまで、ロボクープ→篩う 作業を繰り返す。
3回目
4回目になると残りは50g程 もう一度粉砕するなり次に粉砕する1kgのアーモンドに混ぜるなりして終了です。
面倒臭そうに見えますが、
全行程約5~8分程で1kgのアーモンドがフワフワのパウダーになります。
ベストな粒子分布の拡大写真
大きい粒で1mm程度
微粉末と粒の割合をチェックしながらベストなバランスにもっていきます。
マカロン約1000個分4、5kgの
アーモンドが20~30分程で粉末になります。
写真の様なパウダーを作ることで
えも言われぬ繊細な香りと食感の
極上マカロンが出来上がります。
●粉末中に微粉末の割合を多くしたい時は
一番最初の段階から全量を波刃で粉砕すると良いでしょう。
微粉末の多くは一番最初の粉砕時にアーモンドの乾燥している表面部分が砕かれて作られるからです。
以上の方法に慣れてきたら
粉砕時間や量などを自分の好みにアレンジしてみると良いでしょう。
朝挽きたてのマルコナアーモンドで
作るマカロンのうっとりとする香りや食感は今日も僕を夢の中に誘ってくれます。
↑理想のアーモンドパウダーで作ったマカロンはピエがシッカリと出ていて空洞もなく表面は艶やかでパリッと中はビスキュイの様に柔らかくなります。
マカロン自体の製造動画や考察、レシピなども
カテゴリー「マカロンの作り方」にまとめてあります。
アーモンドの粉末方法はこの方法が
終着駅ではないと思っているので
今後もアイディアが浮かべば
実験は続けて行きます。
NEW
2013.2.7記
※11月に入りアーモンドからだいぶ油が出やすくなってきたために
挽き方を更新します(5月くらいまでは油が出やすい状態が続くでしょう)
ロボクープの刃は全て波刃を使用、回転は3000回転、篩は20目
一度に機械に入れる量は約 1kgパルススイッチで4秒かけるごとに
手で軽く擦り押さえを入れながらふるう事を繰り返し最後に篩いに残った50g程の
アーモンドはそのままパウダーに加えます。
この方法で以前の様な物に近いパウダーを作ることが出来ました。
※あけて1月に入り上記の方法でも油が出てくるるために
試行錯誤を続けました。
どうやら気温が下がるとアーモンドの表面から中心に油分が移動して集まり
油気の少なくなった表面の乾きにより
最初に削られる表面から微粉末が大量にできて中心部に行くほどべたつく
様になります。
これを改善するために
納品されたアーモンドホールは23度ほどの暖かい場所に3日以上おいて
アーモンドの実 全体に油分を散らす。
引き方は波刃3000回転で ストップウォッチを使い5カウント→20目の篩で押さえない様に篩う・・・を繰り返し
5回目のみ14目の篩を通し篩に残ったものは
次の一回目とともにロボクープにかける。
写真は1110gのアーモンドを上記の方法で挽いて篩ってた物を4回(4440g)繰り返し重ねたもので
最初に引いた下段のものが一番白く(油が少ない)微細で、上に行くほど
色が濃く(油が多い)粗いことがわかると思いますが、
これは冷えたアーモンドを使ったための失敗例で
程よく温められたアーモンドを使うと
ここまではっきりした色のコントラストは出ません。
アーモンドが挽けたら
挽いたアーモンドと粉砂糖を合わせてロボクープを使って篩った状態にします。
平刃1500回転で20秒ほど合わせることで粉類のベースは完成します。
これは篩わないで使います。
篩を使わないでロボクープで合わせ作業をすることは粉が舞い散らないので
衛生的であり作業の短縮にもなります
その短縮した時間を自家製粉に充てれば何も失うことなく
マカロンの品質を劇的に高めることができるでしょう。
◉2013.5.17更新
収穫から時間が経ちアーモンドの乾燥が進んできたからなのかまた挽き方を動かします。
1回目 平刃3000回転 6カウント 14メッシュで押さえないように篩う
2回目~4回目波3000回転 6カウント 14メッシュで押さえない
篩に残ったアーモンドは次の1kgに混ぜてまた同じ事を繰り返す。
所要時間アーモンド4.44kgを4回に分けて15分。
粉砂糖とアーモンドパウダーを合わせてロボクープ平刃3000回転50秒でベースの完成
●2013.6.21更新 これが今のところファイナルアンサー
波刃3000回転で6秒粉砕 7メッシュの篩でふるう これを二回繰り返し
次のアーモンドへ
4.4kgのアーモンドを約7分で粗びきに
粉類とアーモンドを合わせ平刃3000回転で60秒粉砕
ここで何秒挽くかで生地のかたさが決まる!
マカロンの作り方Vo1→http://blog.goo.ne.jp/kazunoli_2008/e/4cb1d7419d8c037123a6a37c79ec95d1
マカロンの作り方Vo2→http://blog.goo.ne.jp/kazunoli_2008/e/5d97adeb3488a42eae2fe711cd27a764