奥田英朗著【向田理髪店】を読了しました。
さすがの安定感で、とても楽しい作品となっております。
北海道夕張市をモデルにした、架空の町・苫沢市が舞台。
その昔は炭鉱で栄えるも、エネルギー革命のあおりを受け衰退。
様々な公共事業を投入はしたのですが、これもことごとく失敗となります。
やがて苫沢市は財政破綻をむかえる事に。
そんな町で理髪店を営む向田康彦が主人公となります。
50歳過ぎの康彦が、小さな田舎町で起きる、ちょいとめんどいトラブルに右往左往する物語。
左程、田舎町をステレオタイプに描き過ぎていないトコに『奥田英朗って達者だなぁ』と感じました。
僕はトーキョー・下町生まれの江戸っ子ですから、よく分かりませんが、それでも『田舎町ってこんな感じだろうなぁ』と。
都会と違い、物理的にも心情的にも狭い社会で日常生活を送るのは、めんどい事でしょう。
でも、ほんのちょびっとは、狭い社会ながらの人情もある。
そんな田舎町が羨ましくすら思えました。
是非、続編を希望します。
あと、BSあたりで原作通りのドラマ化も。
映像的にもキレイじゃないかなぁ。
『田舎の人が歓迎したら、それは歓迎したんだから早く帰れということです』永六輔(ニッポンの放送作家・1933~2016)
過去の記事。
奥田英朗の巻。
田舎の巻。
田舎の巻、ふたたび。
田舎の巻、みたび。
こんな感じかな・・・。