日本でもノーベル経済学賞候補(宇澤弘文氏)となった人はいたらしい。だが、未だにノーベル経済学賞の受賞者はいない。それほど経済学者の存在は薄いと言えなくもない。一つにはマルクス経済学という領域が幅を持っていたことも要因であろう。対する理論経済学が片肺飛行ですそ野が狭かったという側面もあるのだろう。そんな中で、一粒のきらりと光る経済学者で埼玉大学の名誉教授の暉峻氏が、朝日新聞の『語る-人生の贈りもの』に連載されていた。あの”豊かさとは何か”というベストセラーの著者でもある。
本の経歴紹介では窺い知れない人生の断片が書かれており、市民の生活に寄り添った経済学者としての生き様などを興味深く読ませてもらった。内容をかいつまんで紹介するのに次の副題がよさそうだ。
1.学問は生活からしか生まれない 2.科学者気質の父 女らしさを求めた母
3.魅力的な先生方 次々と招集されて 4.配給の紙にびっしり書いた「音楽史」
5.大学院で経済 人を知りたい 6.電車でばったり 宇野先生に質問
7.平和と学問への情熱 響きあい結婚 8.講師と子育てと博士論文の日々
9.サンタはいつか来る 幸せ願う絵本 10.対等で助けてくれた ドイツの学生
11.バブル期 日本の貧しさを論じヒット 12.難民キャンプの現実 セルビア支援
13.毎月の対話 認め合えば変革の力 14.誰もが諦めない 豊かな社会へ
実に幅広く活動された経済学者のようで、学者のお手本のような人生なんだと想った。詳細は著作権の関係で省略するが、90歳をとうに超えてなお著作を出版されたという。