小雨が降ってきたので、私は傘をさす。
「わたし、傘置いてきちゃった」
A子が私の傘に入った。
久し振りの相合傘!
埼玉美術館に向かう途中、相合傘をしていた私たちを見た通りすがりのおじいさんが
親指を立てた。
「がんばれよ~!」って言ってくれたみたい。
応援してくれてるんだ。
恥ずかしいようなうれしいような。
埼玉美術館で雨宿りをしようと思ったら、
がーん!!
本日定休日で館内に入れない!
雨が降る中、どうしよう。
カラオケボックス店開店まで1時間ある。
仕方なく美術館の入り口にある石のベンチに傘をさしたまま二人座る。
「雨、よく降るね」
「でも涼しくって気持ちがいいよ」
「うん」
小雨が降る中でのさりげない会話。
ふたりがゆっくり話すのは久し振り。
だから時間が経つのはあっという間だった。
あれ、もうこんな時間か。
再び、相合傘でカラオケボックスへ。
傘を持つ私の右手に彼女の髪がさらさらと触れる。
なんか気持ちがいい。
変態か、私は。
でもいいもんだ。
桜のようないいかほり。
カラオケボックスで二人、部屋に入る。
薄暗い。しかもコンパクトな部屋。
この部屋でA子と絵を描くのかあ。
内心ドキドキ。このトシで。超しあわせかな??
この部屋で結局5時間もいたのだ。
続きは次回~!!