ちょっと前まで、柴田トヨさんは、単なる長生きしたおばあちゃん、というイメージでしかなかった。
先日、有楽町の相田 みつを美術館に行ったときに、柴田 トヨさんの展示も行っていたので見たら、
イメージが一変してしまった。
超プラス発想のとっても、とっても優しいおばあちゃんだったのだ。
柴田 トヨさんは90歳を過ぎてから詩をつくりはじめ、2009年、98歳のときに
「くじけないで」を出版、168万部を売上げ、ベストセラーに。
残念ながら2013年1月に101歳でお亡くなりになられた。
さり気ない日々の暮らしを慈しみ、自らの老いもユーモラスな視線で見つめた作品は
今や、海外7カ国に翻訳されて読まれています。
「こおろぎ」
深夜 コタツに入って
詩を書き始めた
私、ほんとうは
1行書いて
涙があふれた
何処かで
こおろぎが鳴いている
鳴く人 あそんであげない
コロコロ鳴いている
こおろぎコロスケ
明日もおいでね
明日は笑顔を
待ってるよ
騒がしく多くの情報が行き交う世の中。
テレビやパソコン、携帯での情報に心を奪われがちですが、
柴田さんは。そんなことよりもコロコロとなくこおろぎに耳を傾ける。
悲しい気持がこおろぎに勇気づけられる。ありがとう。また明日もきてね。
やさしい心を持った柴田さんの人柄がわかります。
「くじけないで」
ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきはしない
夢は
平等にみられるのよ
わたし辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
やはり、柴田さんの視点は自然なのだ。
100年にも及ぶ長い人生から得たこと。
それは
「生きていてよかった。くじけないでよかった」
なのだ。
重みの在るやさしい言葉で人を勇気付ける。
柴田さんは常に人や自然に感謝する。二言目には「ありがとう」なのだ。
何事にも感謝の気持を持つことが、人徳となり、
柴田さんの表情にやさしさとなって滲み出ているのだ。
顔にはその人の人生があらわれる。
みにくい顔にはなりたくないですね。
そんな顔で歩いているとその人がかわいそうになる。
たった一度の人生しかないのに。
すごく哀れ。
柴田さん、ありがとう。