ゆるふわ屋。 - 鏃キロク・若林浩太郎のブログ -

シナリオライター若林浩太郎のblogです

医龍 12巻 (コミック)(小学館 ビッグコミックスペリオール連載中)

2006年10月02日 18時16分21秒 | レビュー
医龍 12巻 Team Medical Dragon (12)

医龍(12)

このアイテムの詳細を見る


カテゴリはレビューにしておきましたが、
そんな大層なもんじゃ、ござんせん。

ドラマ化もして、それも終わりDVD化も決定した
「医龍」12巻が先月末に刊行されました。

で、今日買ってきて読んだわけです。
しかしながら私は連載誌を欠かさず立ち読みしているので
知らない部分は含まれておりません。

今回、12巻は波乱・激動の巻と言っても
過言ではないでしょう。

教授選は3つ巴、いいや4つ……?
そんな様相を呈してきます。
しかも、それまで「噛ませ犬」的な存在だと思われていた
霧島軍司が自分の色をしっかりと示し始めたことにより
全く読めなくなってきます。

主人公・朝田をスカウトした
「大学病院の改革」を訴える加藤助教授。

日本の医学界で根を張る医局というシステムの悪い部分を
象徴したかのような存在として存分に存在感を発揮している野口教授。

野口教授に呼ばれてやってきた、霧島軍司は
自分を「凡人」だと言い切ります。
「凡人であるからこそ、才能ある者を如何なる手段をもってしても
倒そうと立ちはだかるかもしれない」義理の妹である、
朝田の元カノ・ミキはそう言います。

まだ出ていない13巻の話になりますが、
霧島軍司はこう言います。
「朝田が才能を発揮すればするほど、
私の凡庸さが輝くでしょう……!」
霧島の言葉の裏に隠された意味とは……?

そしてUCLAの教授という座を捨て、
教授選に参加するためにやってきた男・国立笙一郎。
朝田と同じ匂いすら漂わせる、この男が描く未来とは。

国立を呼んだER(救急救命部)の鬼頭教授の
思惑は果たしてどうなるのか。

更にバチスタ・チームにも内側からヒビが入ります。

国立は朝田が同じ病院に存在することを
「人的資源の無駄だ」と言い切ります。
そして朝田に語りかけるのです。

「最先端医療に興味がないはずないだろう。
むしろ、誰より興味があるはず。
……UCLAに行けよ。推薦状を書いてやる」

この申し出を一旦は断る朝田、ところが……!?

ドラマ化、という「人気作品」の箔のような
お墨付きを貰った医龍が打ち出したのは、もしかしたら
自分の商業価値を自らの手でひっくり返すという
商業主義の象徴的な手法なのかもしれません。

「皆さんが思ったバチスタ・チームになって、それで
終わるのはつまらないでしょう?」
原作家が、漫画家が、そう言っているような気がしてなりません。

スぺリオールには他にも面白い作品が連載されています。

(原作・武論尊 漫画・池上遼一 の三国志とか)

女性なんかは手に取りにくいかもしれませんが、
一度通して読んでみるのもお勧めですよ。