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ペルソナ3(P3) レビュー その2

2006年10月07日 21時12分07秒 | レビュー
ペルソナ3 公式パーフェクトガイド

エンターブレイン

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大作RPGでよくありがちなのは
主人公はもちろん名前は決まっており、
我々が住む世界とは全く関係のない共通点の見出せない
世界で暮らす人間であること。

その世界の常識を知らないプレイヤーに説明などを
行うこともなく、当たり前に使われている言葉をベラベラと
ご丁寧にボイス付きで喋って「置いてけぼり」にしてくれます。

挙句の果て、そのゲームのゲームとしての売りである筈の
楽しさ……たとえば戦闘システムなどを説明することもなく
勝手にスタートしたり……。

そしていざ、説明書を手に取って開いてみても
自分が勘で触った以上のことは書いておらず、
そこに創意工夫やその先にある達成感を得られないまま続いていきます。

かくして作業感は募り、納得のいかない展開が続いて
プレイを中断、私の場合はゲームソフトショップに売却してしまいます。

(そしてまた違うものを試すわけです)


話を戻しましょう。

P3の場合、物語は主人公が月光学園(高校)に
転校する前夜から始まります。

両親を早くに亡くした主人公は寮に入ることになったようで、
巌戸台分寮という名の学生寮に入寮します。

そこに到着する予定時刻は遅く、
日付が変わりそうな時間に最寄の駅に到着する主人公。

日付が変わった瞬間、このゲームの世界観の中心を担う
怪異が訪れます。

怪異が起こる時間を、
主人公の仲間たちは『影時間』と呼びます。

日付と日付の間に隠された、普通の人間は
自覚することのない時間。

それを目の当たりにし、不思議に思いながらも
動揺することなく学生寮へと足を運ぶ主人公。

ここら辺は公式HP内に、実際にゲーム中で使われている
アニメが載っていますので見てみると分かりやすいと思います。

時を同じくして、寮では同じ高校の女子生徒が自室で
拳銃らしきものを自分の額に向け、引き金を引こうとして
躊躇っている姿が描かれています。

結局、彼女は引き金を引けないのですが……
主人公が寮に到着して最初に出迎えるのは彼女です。

彼女の名は岳羽ゆかり。

ゆかりは「自殺しようとしていた」にしては、
至って普通っぽい反応で主人公を出迎えます。

不思議ですよね。

しかしその疑問は、直ぐに解けることになります。

シリーズ通しての共通点である
人間が「ペルソナ」と呼ばれる能力を使って
怪異に立ち向かうという設定は今作でも健在です。

そのペルソナを呼び出すための「召還機」が、
この銃なのです。弾ではない何かが銃口から発射され、
それが頭を打ち抜いた時……!

世界各国の神話・伝承・民謡ありとあらゆる逸話に
名を連ねた神々がペルソナという形で姿を現し、
主人公たちに力を貸します。

つまり彼女は自殺しようとしたわけではなく、
ペルソナ使いとして頭を撃ち抜くがごとき行為に
慣れようとしていたわけですね。

ペルソナの種類は、女神転生シリーズからの流れでも
お馴染みのものが多く登場します。たとえば、
メジャーなところではケルベロス・ジャックフロスト・
ガネーシャ・ピクシー・リリム・オーディン・トールなど……。

不思議なことをプレイヤーに、
しっかりと「不思議だ」と思わせておいて、
もったいぶることなく伏線を回収していく展開で
置いてけぼりをくらったようには感じませんでした。

そして、物語の大筋としての伏線と受け皿は
しっかりと最初から配置されています。
それをプレイヤーに忘れてもらわないように、
一定周期ごとにその伏線は現れます。

主人公が寮生活をはじめて数日、何度目かの晩。
満月の夜に、怪異……『影時間』にしか姿を現さない存在
シャドウが寮を襲います。

先輩が食い止めている間に逃げる主人公とゆかり。
しかし逃げた先の屋上で、先回りした巨大シャドウが立ち塞がります。
ペルソナを召還する勇気がない、ゆかり。

彼女の手から離れた召還機を手にする主人公は緊張し
額から汗を流しながらも、引き金を引きます。

まさに:y=-( ゜д゜)・∵;; ターン!!

そして召還される彼のペルソナ「オルフェウス」。
が、しかし!?

オルフェウスを内側から突き破り、謎のペルソナが姿を現します。
力は圧倒的で、巨大シャドウを押さえつけた挙句、剣で真っ二つにします。
表現が許されたなら、そのまま喰らっていたかもしれません。

発現した力を行使したことによって極度に
疲労した主人公は眠りにつきます。

それ以降、主人公は一定の周期ごとに夢の中で
謎の少年と出会います。

彼こそは、主人公が入寮した折に「契約書にサインしてね」と
言った全く謎の存在。(冒頭のこのシーンで名前を決定します)

仲間も増え、謎も深まり、一定の周期ごとに現れる少年が
主人公に語りかける内容も変化していきます。

こういった運び方も上手いと思いました。
謎を何度も違う形で繰り返すことによって、
忘れてもらわないようにする工夫ですね。

主人公と謎の少年の関係は……?

他の誰もがペルソナを1つしか持てず使えないのに、
幾つものペルソナを使いこなせ入れ替える力を持つ
主人公の特別さ、その理由とは……?

主人公に感情移入、その究極である
「プレイヤーが主人公と同化する」という感覚が
僅かでもなければ、そのような物語の謎にも興味は湧かないでしょう。

だがプレイヤーが主人公を操作しゲームを進めていくたび、
「自分が特別な存在である」と、良い意味で勘違いできるように
P3は構築されています。

なぜなら主人公はゲームの目的を達成するための存在であり、
プレイヤーの分身なのだから……。

如何なる困難にも立ち向かい、プレイヤーの選択によって
乗り越え、そして未来を掴み取るのです。


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