父の靴

キー子の父は・・・
昔・・・銀行員だった頃・・・
いつもピカピカの革靴を履いていました。

手入れも自分でしていて
雨で濡れてしまった後は
古新聞を何重にもぎっしり巻いて靴に入れて水分を取り
毎週、
休みの日にはしっかり靴墨を塗り込んで手入れしていました．

キー子がＯＬになってハイヒールなどの革靴を履くようになった頃
日頃、叱られた覚えもない父、決して口うるさくない父に
「靴の履き方が悪い」
「靴の手入れが悪い」と何度か言われた経験があります
でも・・そう言いながら
自分の靴の手入れの後でキー子の靴も磨いてくれていたのを
知っています

父が最後に革靴を買ったのは何時だったのかしら？

足腰が弱ってしまってほとんど歩けなくなってしまった父
一緒に住吉大社まで散歩してからまだ2年もたっていないのに

実家に帰ると・・
玄関に・・・介護用の靴が置いてありました。
父の為に買った靴です。


キー子の記憶の中では・・・

父の靴は先の尖った黒の革靴なんです

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