山本文緒作「子供おばさん」は「ばにらさま」という単行本の中にある短編です。
本が出されたのは2021年9月10日
山本さんが出した最後の本でしょうか?
作品は7~15年ほど前に書かれたものの短編集です。
(本当だったら、ここにもう1作、新しい作品が加わる予定だったのに残念です)
「子供おばさん」2011年7月の作品
たぶん山本文緒さんの作品の中でいちばん好きだと思う。
主人公は47歳の独身の女性
中学時代の友人が肺炎で亡くなり、後にその友人のエンディングノートが見つかり
そこには、主人公夕子への負担付遺贈が記されていた。
内容は、現金500万円を遺贈する代わりに、友人である美和の愛犬を引き取り大事に飼育するというもの。
(愛犬はゴールデンレトリバー雌6歳、名前はリリー)
夕子は美和と疎遠になっていて、最後に会ったのは7年前でかなり戸惑うが
最終的に犬を引き取ることにする。
そして500万円は受け取らないかわりに
美和が生前犬と一緒に暮らしていたテラスハウスを譲り受けることにする。
主人公は引っ越しをして職場が遠くなったので、仕事を辞め
生活のためにホームセンターの園芸コーナーでパートとして働き始める。
パートと言っても開店から閉店まで、仕事は屋外の作業が多いし
犬の散歩も当然外を歩き回るため、真っ黒に焼け体重はするする落ちる。
週に5日仕事にゆき、休日は犬の散歩と買い出しをし、夜は友人や家族と食事をしたり
風呂の中で推理小説を読んだりする。日常に倦むことはない。
この作品の最後の2行が好きです。
共感しました。
↓
「何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず
幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま、確実に死ぬ日まで。」
主人公の夕子は夜型から昼型になり、健康的な生活を送ることになりますが
今の私の目標がこれですね!
深まる秋の公園のベンチで、夕子が家で淹れてきたコーヒーを、サーモマグから飲む場面も好きです。
私も秋になったら、あったかい紅茶をサーモマグにいれて公園へ行こう♪
もちろんカメラも持って♪
人生も後半になってくると、そんなに幸せでもないけれど、不幸でもない
真ん中ぐらいがちょうどいいんじゃないかなぁなんて思いました。