東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館トーキョーアーツアンドスペースは、2018年に中堅アーティストの更なる飛躍を促すことを目的に「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」を創設した。
受賞者は各回2組とし賞金の他に翌年度の海外活動の支援等複数年に渡って支える。
今回の展覧会は第2回の受賞者2組。
藤井光と山城知佳子。
藤井光。
藤井は、1946年に東京都美術館で占領軍関係者に向けて開催された戦争記録画の展覧会を、アメリカ国立公文書館に現存する資料をもとに考察した映像と再現したインスタレーションを展開する。
東美館でその時どんな展覧会が行われていたのか、というよりそんな展覧会が行われていたんだとは、敗戦後の生活苦に喘ぐ圧倒的多数の日本人は知る由も無しだったと思う。
更には、私だって知らない時代なんだから私より一回り下の藤井はもっと知らないはずなのに、時代の地続きを感じる不思議さ。
山城知佳子。
名護市辺野古で建設が進む米軍基地に運ぶ土砂を採掘する鉱山周辺の集落を舞台に二つの家族が登場する映像作品。
矛盾を生きるのは世界中どこも同じだけど、ことさらに沖縄には凝縮される。
どんな仕事であれたつきを立てるために働くことや開発に伴う環境破壊や人の心情の変化を、オペラや流歌や沖縄芝居を取り入れて表現する。
人とはどこまでもせつない生き物なのかもしれない。