木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

『ヴィオルヌの犯罪』

2013-04-15 21:35:42 | 日記


「ヴィオルヌの犯罪」マルグリット・デュラス

1954年のフランスで実際に起こったバラバラ殺人事件。
デュラスが犯人に面談してまで追求した無動機殺人。
事件を基にはしていても、あくまでも、フィクションですが。
狂気をいかに描くか?にとことんこだわった作品。

インタビュー形式で綴られる事件の全貌。
録音という作業によって、独特の対話、沈黙が生まれる。
奇妙な緊張感。
また、録音の録音などの入れ子式のインタビューもあり、かなり複雑。
デュラスの試行錯誤が伺われる。

‘狂気’の壁にぶち当たった場合、
やはり理解など有り得ないのだと気づく。
思考回路が違うこと自体は必ずしも悪いことではないが。
殺人に至った回路が不明という異様さ。
‘狂気’においては‘こだわり’もまた異常。
繋がらない話、的を得ない語り。
聴いている者が、決して埋められない空白。
この恐ろしさが、ジワジワと伝わってくる本。



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