木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

『妻を帽子とまちがえた男』

2013-10-04 12:47:12 | 日記


「妻を帽子とまちがえた男」オリヴァー・サックス


脳神経科医のサックス博士が綴る、
不思議な症状、それぞれの人生。
患者に穏やかに寄り添う博士の実録もの。


あららぁ。

感想&結論はひとつ──
“何でも起こりうる”
ある意味、ため息もの。


妻と帽子は間違えないよね、ふつう。
状況が見えん、想像できん。。。

眼で見る→見たものを判断するという一連の反応が上手くいかなくなり。
人の顔が把握できなかったり、靴と自分の足の区別がつかなかったり。
べつに視力に問題がある訳ではないという不思議。
見ているものを認識するには、記憶が大事なんやね。
部屋中見回して、いかに多くのものを一度に判断してることか。
一瞬で記憶に照らし合わせて、理解する機能。
おお、人間てスゴいな。


そのほかには。
自分の身体を認識できない症状。
ベッドで寝てたら、知らない人の足がぁ~!って
もはやホラー映画以外の何ものでもないがな。
その足を放り投げたら、自分もベッドから落ちた。。。
え?自分の足だったの?
って、衝撃の事実。
やっぱり、ホラーやないか。


記憶が止まってしまい、新しいことは覚えられない悲劇。
兄に会っても。
こんな歳とった奴知らない、兄は若いはずだ!
悲痛なエピソードの数々。

記憶喪失。
記憶は数秒も続かない。
──が、しゃべりまくる陽気な男。
個を持たない、よりどころがないという底なし状態。


頭の中から音楽が聴こえてくる。
ってもしかして、楽しかったりするんか?
→うっとうしいだけです。
本人曰く、「(その歌が)大嫌いになりました」

脳のある箇所を刺激すると、曲が聴こえてくる。
って何かの冗談かと思いきや、事実だとは。
しかも別に好きだった曲でもないときた。
脳みそって、どんだけ記憶しとんじゃー。
ご苦労さま、お世話さま。
脳みそ、さまさま。


突然、犬並みの臭覚に目覚めた男。
臭いをかぎながらだと、ニューヨークの街を迷わずに歩ける。
って、それ、なに自慢~?


IQは六十、計算は出来ない。
けど──。
落ちたマッチの数(3桁)は瞬時に分かるし、因数分解も得意。
なんせ、数字が見えるもんで。
二十桁の素数をやりとりする双子。

『レインマン』(1988年)にもマッチのシーンあったよーな。
最近では、『メランコリア』(2011年)のキルステン・ダンスト。
一瞬で数が分かるというよなシーンがあった気が。


説明のつかない様々な症状。
たとえ脳や、神経に障害があろうとも。
大切なのは心の質である──。

驚くべき人生の数々と、
博士の人柄が伝わってくる。
人間が人間について書いた本。


「妻を帽子とまちがえた男」オリヴァー・サックス

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