「妻を帽子とまちがえた男」オリヴァー・サックス
脳神経科医のサックス博士が綴る、
不思議な症状、それぞれの人生。
患者に穏やかに寄り添う博士の実録もの。
あららぁ。
感想&結論はひとつ──
“何でも起こりうる”
ある意味、ため息もの。
妻と帽子は間違えないよね、ふつう。
状況が見えん、想像できん。。。
眼で見る→見たものを判断するという一連の反応が上手くいかなくなり。
人の顔が把握できなかったり、靴と自分の足の区別がつかなかったり。
べつに視力に問題がある訳ではないという不思議。
見ているものを認識するには、記憶が大事なんやね。
部屋中見回して、いかに多くのものを一度に判断してることか。
一瞬で記憶に照らし合わせて、理解する機能。
おお、人間てスゴいな。
そのほかには。
自分の身体を認識できない症状。
ベッドで寝てたら、知らない人の足がぁ~!って
もはやホラー映画以外の何ものでもないがな。
その足を放り投げたら、自分もベッドから落ちた。。。
え?自分の足だったの?
って、衝撃の事実。
やっぱり、ホラーやないか。
記憶が止まってしまい、新しいことは覚えられない悲劇。
兄に会っても。
こんな歳とった奴知らない、兄は若いはずだ!
悲痛なエピソードの数々。
記憶喪失。
記憶は数秒も続かない。
──が、しゃべりまくる陽気な男。
個を持たない、よりどころがないという底なし状態。
頭の中から音楽が聴こえてくる。
ってもしかして、楽しかったりするんか?
→うっとうしいだけです。
本人曰く、「(その歌が)大嫌いになりました」
脳のある箇所を刺激すると、曲が聴こえてくる。
って何かの冗談かと思いきや、事実だとは。
しかも別に好きだった曲でもないときた。
脳みそって、どんだけ記憶しとんじゃー。
ご苦労さま、お世話さま。
脳みそ、さまさま。
突然、犬並みの臭覚に目覚めた男。
臭いをかぎながらだと、ニューヨークの街を迷わずに歩ける。
って、それ、なに自慢~?
IQは六十、計算は出来ない。
けど──。
落ちたマッチの数(3桁)は瞬時に分かるし、因数分解も得意。
なんせ、数字が見えるもんで。
二十桁の素数をやりとりする双子。
『レインマン』(1988年)にもマッチのシーンあったよーな。
最近では、『メランコリア』(2011年)のキルステン・ダンスト。
一瞬で数が分かるというよなシーンがあった気が。
説明のつかない様々な症状。
たとえ脳や、神経に障害があろうとも。
大切なのは心の質である──。
驚くべき人生の数々と、
博士の人柄が伝わってくる。
人間が人間について書いた本。
「妻を帽子とまちがえた男」オリヴァー・サックス