木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

『ロリータ』

2013-10-16 14:23:42 | 日記


「ロリータ」ナボコフ


あらゆる意味で騒がしいロリータ・カルチャー。
定着してたり、定着させちゃいけなかったり。
ま、色々ですけど。
とりあえず諸々は置いといて~。と。

けっこう分厚い書物。
いったい中で何が行われとるんか?
色々と想像。
一瞬、サド侯爵の姿(というかジェフリー・ラッシュ)が脳裏をかすめる。

しかして。
フツーに楽しめる逃亡劇。
ロードムービー的な部分と、復讐譚。
で、中年オヤジの熱烈愛。
たまたま相手が少女だったのが、運のツキ。
人はそれを、変態とよぶ─。

ヘンタイには違いないが、むしろ滑稽さが強い。
ロリータを愛でて、悶々とするさま。
恋におちたオヤジの心高ぶる姿。
白いソックスに興奮し過ぎやろ。
こまごまとしたロリータ賛歌が、可笑しい。
そこかよ!と思わずツッコミいれつつ。

ひとりで勝手に盛り上がってる中年オヤジ。
不器用なはずのオッさんの、悪巧みが激しいのな。
偶然が重なり、もはや止めるものがなくなったため。
オヤジ暴走。
で、犯罪の領域に突入。
やってることは、卑猥ですけど。
描写に猥褻さはなし。
ちなみに、ロリータもそこそこのバッド・ガール。

そんなこんなで、ふたりの逃亡劇が始まるわけですけど。
結局、オヤジの逃避行であって、ロリータに選択肢がない。
保護するはずの人が、略奪してる現実。
その後、“ロリータの可能性を奪った”とオッさん自ら反省してますけど。
もの凄い的確な反省ぶりにも関わらず、今さら遅いっすよぉ。

始めから終わりまで事件。
ミステリ分野に片脚つっこんでる偏愛小説。
編集者に、“こんな変態の告白文読めるか!”とさんざんつき返されたという本書。
たしかに。
中年オヤジの熱烈モンモンぶりにうんざりする人は多かろう。

しかし。
もはや少女ではなくなったロリータとの再会。
それでも、“わたしのロリータ”であり。
愛情ほとばしるオッさんの様子が、泣ける。
むしろ恋愛小説か?

ナボコフの文章力と、詩人魂によって紡がれる。
一方的な愛の物語。


全ての変態よ、詩人たれ!
変態→ポエマー化計画を推奨したくなる一冊。

「ロリータ」ナボコフ

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