
「ロリータ」ナボコフ
あらゆる意味で騒がしいロリータ・カルチャー。
定着してたり、定着させちゃいけなかったり。
ま、色々ですけど。
とりあえず諸々は置いといて~。と。
けっこう分厚い書物。
いったい中で何が行われとるんか?
色々と想像。
一瞬、サド侯爵の姿(というかジェフリー・ラッシュ)が脳裏をかすめる。
しかして。
フツーに楽しめる逃亡劇。
ロードムービー的な部分と、復讐譚。
で、中年オヤジの熱烈愛。
たまたま相手が少女だったのが、運のツキ。
人はそれを、変態とよぶ─。
ヘンタイには違いないが、むしろ滑稽さが強い。
ロリータを愛でて、悶々とするさま。
恋におちたオヤジの心高ぶる姿。
白いソックスに興奮し過ぎやろ。
こまごまとしたロリータ賛歌が、可笑しい。
そこかよ!と思わずツッコミいれつつ。
ひとりで勝手に盛り上がってる中年オヤジ。
不器用なはずのオッさんの、悪巧みが激しいのな。
偶然が重なり、もはや止めるものがなくなったため。
オヤジ暴走。
で、犯罪の領域に突入。
やってることは、卑猥ですけど。
描写に猥褻さはなし。
ちなみに、ロリータもそこそこのバッド・ガール。
そんなこんなで、ふたりの逃亡劇が始まるわけですけど。
結局、オヤジの逃避行であって、ロリータに選択肢がない。
保護するはずの人が、略奪してる現実。
その後、“ロリータの可能性を奪った”とオッさん自ら反省してますけど。
もの凄い的確な反省ぶりにも関わらず、今さら遅いっすよぉ。
始めから終わりまで事件。
ミステリ分野に片脚つっこんでる偏愛小説。
編集者に、“こんな変態の告白文読めるか!”とさんざんつき返されたという本書。
たしかに。
中年オヤジの熱烈モンモンぶりにうんざりする人は多かろう。
しかし。
もはや少女ではなくなったロリータとの再会。
それでも、“わたしのロリータ”であり。
愛情ほとばしるオッさんの様子が、泣ける。
むしろ恋愛小説か?
ナボコフの文章力と、詩人魂によって紡がれる。
一方的な愛の物語。
全ての変態よ、詩人たれ!
変態→ポエマー化計画を推奨したくなる一冊。
「ロリータ」ナボコフ