一条きらら 近況

【 近況&身辺雑記 】

敬遠したい男性

2001年03月17日 | 女のホンネ
 外でお酒を飲む機会は、そう多くない。月に1度か2度ぐらい。知人の女性編集者は、仕事関係とプライベイトな付き合いで、週に2、3日は飲むことになるらしい。
 先日、彼女と電話でお喋りしたのだが、シングル同士のせいもあって、いつものごとく男性の話題が出た。
「まさか、この人が、って思う男性が、酒乱だったりするのよね」
 彼女は残念そうな口調で言う。残念なのは、好きなタイプの男性だったかららしい。彼女の話によると――。
 3軒目のバーを出る時、代金を払おうとして彼は財布を手にしたまま、なかなかお金を取り出せない。〈からみ酒〉が始まっていたのだ。店のママは、その〈からみ酒〉発言に適当に合わせながら、彼の手元の財布を不信の眼で見据えている。
 それが何ともおかしくて彼女は笑いをこらえて見ていたという。
 店を出てタクシーに乗った。今度は彼は、
「運転手さん、ここ、どこ?」
 のセリフを何度も繰り返す。道路が渋滞していてタクシーはスムーズに走らず、メーター料金が気になるのか、彼の〈からみ酒〉は、運転手にからみ続ける。
 一緒に乗っているのが、彼女は恥ずかしくなる。
 新宿でようやくタクシーを降りたものの、今度は私がからまれる――と怖くなり、運転手に料金を払っている彼を置き去りに、さっさと帰って来てしまったと言う。
「あとで、つくづく思ったんだけど、酒乱ていうのは、仕事と家庭と、人生に、不満だらけの男の正体みたいなものね」
 彼女は断言するように、そう言った。シラフなら好感の持てる彼が、アルコールが入るにつれて、それまでとは一変して〈からみ酒〉になる。粗暴になるというわけではないが、それは、まさしく酒乱だと彼女は言うのだ。
 以前、親しい先輩作家が、ある男性編集者のことを、
「彼は酒乱だから、気をつけたほうがいいよ」
 そう忠告して下さったことがある。
「飲み始めて最初のうちは、ぼくのことをいつものように先生と呼んでいるが、しばらくすると、先生ではなく○○さんと呼び、それから、○○と名前を呼び捨てにして、からんで来るんだ」
「ええッ!」
 と、驚き、私は絶句。すぐには信じられなかった。礼儀正しく、思いやりがあり、さわやかな男性という感じのその編集者が、流行作家を呼び捨てにして、からむなんて――。
 すると彼も、酒乱はウンザリという女性編集者が言うように、仕事や家庭や人生への不満を、胸に秘めているのだろうか。そんなふうには見えないのに。
 だから男性って、人間て、面白い、とも言えるし、そんな男性の変身ぶりを見てみたい好奇心もあるけれど、やはり一緒に飲めば不快な思いをさせられそうだから、そんな男性は敬して遠ざかっているほうが、賢明かもしれない。
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