未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第18章 見えない明日 ⑤

2021-04-04 17:25:22 | 未来記

2012-04-19

5.どこへ行くんだ?

 

仲間の乱闘騒ぎが始まり、タケルはあわててキララに助けを求めようとしたが、キララはひとり冷静に、呪文のようなものを唱えていた。

 

そこへ、別の乗組員がどなりながら、タケル達のいる部屋に入って来た。

 

「何騒いでるんだ!

 

もうすぐ、宇宙パトロール隊がやってくるぞ!

 

オレ達は救助活動しなくていいから、進路は変更だ。

 

少し遅くなったから、スピード上げるってさ。

 

なんだ? こいつら…」

 

殴り合いをしていた少年達も、声の大きさにびっくりして、入って来た乗組員の方を見た。

 

「こいつら、へんな奴らなンだ…。

 

この部屋開けたら、知らないガキばっかり立ってて、

 

ひょっとしてエイリアンかもと思って、ヒヤっとしたけど

 

下手な共通語でさ、誘拐されて逃げて来たとか言いやがるし、

 

こいつら勝手にケンカも始めるし…」

 

 

「何~? 誘拐された?

 

おまえら、勝手にこの船に乗り込んで来やがって、何言ってるンだ!

 

そういうのをなぁ、不法侵入って言うンだ!

 

ちょうどいい、宇宙パトロール隊が来てくれるンだ。

 

一緒に、しょっ引いてもらえばいいさ。

 

おい、お前達、仲間を呼んで縄で縛ってやるから、おとなしくしてろ!」

 

その乗組員は、すぐにMフォンで連絡を取り始めた。

 

それを聞いたタケルや、他の少年達もあせって、それを止めようとした。

 

すると、その乗組員は少年達に向かって、怒鳴りあげた。

 

「てめえら、そこでじっとしてな!

 

動くんじゃねえぞ~!

 

動いたら、オリに入れるぞ~~!!」

 

その声の凄まじいくらいの大きさに、少年達はその場で固まったように動けなくなってしまった。

 

『ナンなンだ…?

 

このままじゃ、オレ達って、不法侵入でつかまっちゃうのか!?

 

被害者なのに、加害者にされちゃうのか?

 

これじゃ、スクールにいた時の裁判と一緒ジャン!

 

キラシャも、オレも、イジメられてる方をかばおうとして

 

相手をやっつけたら、加害者だって訴えられて…

 

でもこれって、犯罪っていうか、逮捕されちゃうの?

 

この話、パパやママが聞いたら、いったいなンて思うだろう…』

 

途方にくれたタケルは、キララをただ見つめた。

 

キララの呪文が一区切りつくと、タケルの心にもキララの声が聞こえた。

 

『みんな、消えるよ。

 

悪いようにはさせない。

 

自分を信じて、集中するんだ!』

 

『キララ、一体どこへ行くんだ?

 

オレ、お前を信じていいのか?』

 

『アタシは、アンタらを助けたいンだ!

 

つべこべいわずに、集中しな!!』

 

再び、白い煙のような“気”に囲まれるようにして、キララとタケルと少年達の姿が消えた。

 

コメント
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