月乃和熊(ツキノワグマ)のささやき

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零式艦上戦闘機(75) エンジントラブルを乗り越えて

2015-01-17 12:00:00 | 航空機・船舶(軍艦・機)
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零式艦上戦闘機(75) エンジントラブルを乗り越えて    

零戦が制式化される直前のこと。
中島飛行機が開発した栄エンジンは他の国産エンジン同様、量産が始まっても様々なトラブルが発生した。

中でも深刻だったのは250台くらい作ったエンジンのうち、50台もクランクシャフトが折れるという大問題。

この難問に取り組んだのが、発動機部研究一科の川田雄一技師(のちに技術少佐)だ。
川田技師は、ドイツの文献を研究して原因を発見した。

クランクシャフトには、コンロッド軸受けとの接触面に潤滑油をまわすために内径5mmの油孔があけられている。
クランクシャフトを強化するには、滲炭(しんたん)処理をしたあとに、油孔をあけなければならないが、滲炭処理をせずに油孔をあけると、クランクシャフトの捩じり振動によって、油孔からクラック(ひび割れ)が入り、クランクシャフトが折れてしまう。

この問題の有効な対策は、油孔を硬化することだ。
川田技師は油孔にベアリング用のボールを通すことで、孔の内面を硬化させる処理と同じ強度を持たせることに成功し、以後この問題は発生していない。

昭和14年 零戦が制式化される前に、12試艦戦のまま中国戦線に投入されると、飛行機が上昇中にエンジンがストップしてしまうという事故が頻発して、またまた大問題に発展した。

不時着した飛行機のエンジンを分解してみると、クランクケース内のオイルがきれいになくなっていた。

この問題解決には、12試艦戦(零戦)とともに漢口に同行した技術者が携わった。

一斗缶にオイルを入れて、バーナーを下からあててオイルを温める。
オイルを撹拌しながら、水を一滴、二滴と落とすと、突然オイルが沸騰して噴出した。

中国大陸は、駐機している飛行機のエンジン内にも水滴がつくほど寒い。
飛行機が離陸して上昇中に、エンジンが一定の温度に達すると、その水滴が災いして一気にオイルが蒸発して、エンジンが焼付いたのだ。

この問題は、エンジンの始動前に油だめに溜まった水を抜くことで解決した。

12試艦戦のまま中国に進出した零戦は、こうして多くの技術者とともに、問題を一つ一つ解決しながら仕上げていったのであります。


零式艦上戦闘機(76) 零戦を苦しめた空飛ぶ要塞B-17 2015-01-24 につづく~
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