ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」。ロシアの軍事作戦「非ナチ化」に正当性はあるのか?(釈量子)【言論チャンネル】 - YouTube
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ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」とは。
ロシアの軍事作戦に正当性はあるのか?
幸福実現党党首 釈量子
◆ロシアに軍事作戦の正当性はあるのか
ロシアのプーチン大統領は2月24日の演説で、ウクライナの「中立化」「非軍事化」「非ナチ化」を理由に挙げて、「特別軍事作戦」を行うと宣言しています。
つまり、ロシアは国家承認した「ドネツク共和国」「ルガンスク共和国」の2か国から軍事支援の要請を受けて、集団的自衛権の行使として「特別軍事作戦」を行っているということです。
国連憲章では、「武力の行使」を原則禁止(第2条)していますが、二つの例外を認めています。
一つ目は、自衛権、集団的自衛権(国連憲章第51条)です。
主権国家である以上、当然のこととして、「自分の国は自分で守る」権利である「自衛権」が認められています。
また、自国の防衛力だけでは守れない場合には、他国と同盟を結びます。これが、「集団的自衛権」です。
二つ目が、国連が決議して進める「集団安全保障」です。
例えば人道的危機が生じた場合、国連の安全保障理事会が、全会一致で決めたら、軍事介入できる場合もあります。
ただ常任理事国の5か国の意見が一致することは難しく機能していません。
ロシアの主張は、ウクライナへの「侵略」ではなく、国連憲章で認められた「自衛権の行使」だということです。
しかし、プーチン大統領が言うような「ウクライナにネオナチなど存在せず、東部のロシア系住民を排斥するような事態はなかった」と反論する人もいます。
◆ネオナチ「アゾフ大隊」とは
プーチン大統領が非難するネオナチとは、ウクライナの「アゾフ大隊」のことで、ウクライナ東部には、アゾフ大隊を含めて約40の極右グループが存在します。
アゾフ大隊の創設者、アンドリー・ビレツキーという人物は、ナチスの信奉者で、白人至上主義者として知られています。
日本の公安調査庁は「国際テロリズム要覧2021」でアゾフ大隊について次のように言及しています。
「アゾフ大隊は、欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ、同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2000人とされる」
しかし、不思議なことに、公安調査庁は4月8日、「この記述が誤解を生むので削除する」と発表しました。
◆「アゾフ大隊」が頭角を現した背景
2014年に親ロ派のヤヌコビッチ大統領が退陣に追い込まれた過激なデモ(マイダン革命)がありましたが、そこで「アゾフ大隊」は頭角を現しました。
この時、米政権がデモをバックアップしたことが、オリバーストーン監督のドキュメンタリー映画「Ukraine on Fire」に描かれています。
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その後、ウクライナ東部の民兵として、親ロ派勢力から港湾都市マリウポリを奪還しました。
この功績が認められ、アゾフ大隊はウクライナの正規軍に編入され、正式に「国家親衛隊」になりました。
2019年、米メディア「The Nation」は、「ウクライナは、ネオナチが正規軍になっている世界で唯一の国だ」と指摘しました。
ヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命してからは、アゾフ大隊の影響力は政治の世界にも広がり、アゾフ大隊の創立者アンドリー・ビレツキーは2014年に国会議員になっています。
他にも閣僚級を輩出するなど、ネオナチの影響力は軍隊のみならず、政治の世界まで及びました。
ネオナチが国家権力に浸透しているのは、世界の中でウクライナしかありません。
◆アゾフ大隊の残虐さ
ネオナチ「アゾフ大隊」の残虐さは、国連も調査しています。
国連人権高等弁務官事務所は、2015年の11月から2016年2月にかけて、紛争が起きていたウクライナ東部の現地調査を行いました。
現地住民へのヒアリングから、アゾフ大隊によって、民間人の殺害、拷問、虐待、略奪があったことを報告しています。
例えば、2015年1月28日、マリウポリの男性が「ドネツク共和国を支援している」との理由でアゾフ大隊によって拘束され、2月6日まで、電気ショックや水責めの拷問を受けた事例が載っています。
これは国際法違反であり、ミンスク合意違反です。
ヒューマン・ライツ・ウォッチが発表した2016年のレポートでは、ハリコフやマリウポリなどに秘密の監禁施設があり、親ロ派の住民を恣意的に拘束し、虐待していると指摘しています。
また、2014年5月に起きた「オデッサの虐殺」では、アゾフ大隊が大勢のロシア人を建物の中に追い込み、放火し火炎瓶で焼き殺しました。
これらの報告を見ると、プーチン大統領の指摘通り、親ロ派住民の安全は全く確保されていなかったことが明らかです。
◆アゾフ大隊の称賛が可能に
フェイスブックは2016年、アゾフ大隊を白人至上主義者のKKKやイスラム過激派のISISと同じレベルの危険組織と認定しました。
アゾフ大隊は、フェイスブックを通じて世界中から隊員をリクルートしており、2019年には、その利用が禁止されています。
同時期、米国下院議員40名がアゾフ大隊を海外テロ組織として認定するよう国務省に働きかけを行っています。
ところが、今年2月、なぜかロシアの特別軍事作戦後、アゾフ大隊のフェイスブックの利用禁止が解除され、アゾフ大隊を称賛することも可能になっています。
◆米欧が隠すアゾフ大隊の「不都合な真実」
3月8日の国際女性デーにNATOの公式ツイッターに、ウクライナの女性兵士の写真が4点アップされました。
その中の1点に、迷彩服の胸にナチスのシンボルである「黒い太陽」の紀章をつけた民兵が写っていたため、NATOは慌てて、削除しています。
「黒い太陽」は、聖書の黙示録の解釈として、中世から提唱されてきた理想の国家「第三帝国」の紋章で、ナチス親衛隊SSが神聖視していたものです。
また、ゼレンスキー大統領が、ギリシャ議会でネット演説した際に、ギリシャ人が数多く住むマリウポリを守る2人のウクライナ民兵を紹介しました。
しかし、そのうちの一人がアゾフ大隊の隊員であることを話してしまい、ギリシャの議員から反発の声が上がりました。
このように、ウクライナを支援する米欧にとって、アゾフ大隊は表に出したくない「不都合な真実」なのです。
◆ゼレンスキー大統領の責任
2014年以降、ウクライナ東部ではウクライナ政府と、親ロ派住民との内戦で1万4000人以上の死者が出ています。
少なくとも、ウクライナ政府には東部まで統治が行き届かず、大きな責任があります。
この紛争を止めるために、2014年9月にロシアとウクライナの間で結んだ「ミンスク合意」(ウクライナ、ロシア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国が調印)があります。
さらに、2015年には「ミンスク2」がフランスとドイツの仲介で結ばれ、ウクライナ東部の2つの共和国に幅広い自治権を認めるという約束がありました。
しかし、ゼレンスキー大統領は、親ロ派の自治権を認めるどころか、更なる攻撃を加え、低迷していた支持率を回復するために利用しました。
プーチン大統領の演説の通り、ウクライナ東部の2つの共和国を守ることを目的とした、「特別軍事作戦」だったことも一定の合理性があります。
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